今、「群馬怪談 怨丿城」(戸神重明 編著 竹書房文庫)を読んでいた。
その中に「八月の遊女」という怪談があった。
もう四十代となった男性が高校生の頃、陸上部の大会に出るため早起きし、まだ夜も開けていない中、何気なくテレビをつけた。
モノクロの戦争の記録映画のようだった。「世界中で、何千何百万もの罪のない命が奪われ」と男性のナレーションが入り、「大会前に縁起でもない」と思いチャンネルを変えようとしたら、突然カラー映像に切り替わり、時代劇のような作品になった。遊郭が火災で燃える映像がでてきた。
大勢の丁髷の男性、日本髪の女性が着物で出てくる。
やがて炎の中、派手な着物を着た女性が歩いている、女性はニタニタ笑い「坊や・・・・・早く、こっちへ、いらっしゃい・・・・・・」と言い、また口から血を吐き出す。
男性は自分に言っているようで気味悪くなり、テレビを消した。
後で気になったが、新聞を読んでその時間にテレビはやっていなかった。
高崎大空襲があった日に近かったので、その関連かと思ったが、最初のモノクロ映像はともかくカラー映像のところがわからなかった。
後年いろいろ調べ、映画好きの友人から「この作品では?」と言われたがまったく違っていた。
今でもその作品はわからないそうだ。
インターネットの時代はひじょうに便利で、わずかな記憶だけでも映画や歌を探し当てることができる。
ちょっと長くなったので、上下にしますね。
ログインしてコメントを確認・投稿する