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2023年06月04日10:38
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『aftersun アフターサン』感想
〜11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく〜＜映画.comさんより＞
ポール・メスカルという俳優がずっと気になっていて、今作を待ちわびていました。
だって、今作で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされてたんですよ。
『ノーマル・ピープル』というドラマでイギリスでは相当人気が出たそうで。
私は『ロスト・ドーター』で、ちらっとその姿を見たんですが、本当に脇役だったので、実際どんな俳優さんなのかは、わからないまま。
ちなみに、今作、プロデューサーの一人にバリー・ジェンキンスが入っていて、ビックリ。
で、２回観ました（←最近多い
）
１回目は観方を誤ってしまって、組立の素晴らしさを十分に理解できず。
途中でそれに気づき「しまった〜！」と。
２回目は冒頭から多角的な視点で観て、うん、よっしゃ、わかったぞ。
（っていうか、難しいお話では全くないです、私の理解度が低いだけで
）
今作は、まずかつてのビデオカメラ映像があって、そこに自分の記憶を重ねて人物（物語）を動かし、そこに現在の自分も挿入するという構成。
あの時はわからなかった父の痛み。哀しみ。
ビデオを再生し、思い出し、考えていくことで、次第に、それが、見えてくる。
冒頭、トルコに到着。父と娘の再会旅。思いっきり楽しもう。
いや、でも、カラムの様子がどうもおかしい。
まず右腕にギプスをしている。どこかで転んだということだが・・・。
ホテル到着後、ソフィが眠った後の、ベランダでの動き。
鏡に唾を吐く。道で車（トラック？）に轢かれそうになる。バルコニーのフェンスの上に立つ。
スキューバダイビングのインストラクターに「僕は４０才まで生きられるとは思わない」
好きだったカラオケの曲を歌わない。
（結局ソフィが一人で歌うだが、それがREMの名曲
Losing My Religeon。歌詞が深くて切ない）
そしてカラムは・・・暗い夜の海に入っていく。
ソフィは年上の若者たちが気になる、少し背伸びしたいお年頃。
仲間に入れてもらえたり、入れてもらえなかったり。
一緒に違和感なく遊べるのは、同じ年ごろのマイケルなれど〜。
ソフィ「同じ空を見てるっていいね。別々の場所にいても、一緒だって感じられる」
カラム「生きたい場所で生きればいい。好きなことをやるんだ」
カラムは金銭にさほど余裕がないのが、いくつかの場面でわかるのだが、そこそこ高額な絨毯を購入する。
「１つ１つの絨毯には物語がある」
その絨毯は・・・３１歳のソフィがパートナー（＆子供）と暮らす家の床に引かれている。
演出があれこれ素晴らしい！！！！
・カラムがソフィのある質問に対して「カメラを止めて」と言って、ソフィはまあ止めるんだけど、その後の２人の姿がテレビ画面に映ってて・・・うわっ、スゲ〜と。
ソフィ「私の心のカメラに残すから」
・誕生日を祝ってもらっているカラムの背後に、別のカラムの哀しげな背中が浮かび上がる。
・空には、ふわふわパラグライダー。
・レストランで撮ってもらったポラロイド写真。カメラは会話している２人の姿は映さず、じわじわ出来上がってくる写真を撮る。
旅の最後の夜Under Pressureが流れて、カラムはソフィに言う。
「踊ろう。最後の夜だ」
で、歌詞が和訳されるんですが、これがドンピシャの切なさ。
あまりにも有名な曲ゆえ、監督もおそらく最初は使用を迷ったとは思うんですが、いや、もう、あの場面はこの曲で間違いなかったと思いました。
複雑なカラムの気持ちを語ってくれてる。辛いけど、今はソフィと楽しもう。
明日はどうなるかわからないけど・・・。
※予告編
https:/
カラムの危うい精神状態。その理由は語られてはいない。
キースという友人とロンドン郊外に住んで、仕事をするって言ってたけど・・・。
思うに、カラムはゲイだったのかな〜と。
アンダープレッシャーが流れたっていう以外にも、無理矢理ギプスを外すところとか、ソフィの母親（元妻）への優しい話し方とか、なんていうか、そんな感じがしたなあ。
空港でのラストシーンは・・・もう見事としか。本当に素晴らしかった。
あれこれそぎ落として、ゆえに、深い余韻を残した。
カメラは時計まわりで、４つの姿をとらえていく。
�．愁侫�がゲートへと消える（そのストップモーション）
��現在のソフィが座っている
�▲�ラムのビデオ撮影が終わる。’自分’の出口へと向かう
��カラムが空港の外に出る。フラッシュの光を浴びる
しばらく椅子から立てなくなるような衝撃。
こんなシンプルなシーンに、こんなに圧倒させられるとは！
何の前触れもなく、いきなり襲われる深い悲しみ。
ソフィは父が理解できたのだ。
そして・・・あの時の自分の無邪気さが許せなかった。
今はもう、どうしようもないのだけれど。
いやあ、まさかここまで良いとは思わなかった。
ソフィ役のフランキー・コリオさん、上手かった〜。
監督が時々、彼女のアップを撮っていたのも頷けた。
そして、ポール・メスカルが、やはりというか、素晴らしかった。
あのダンスシーンの表情が何度も思い出されて、泣いてる私。
監督はスコットランド出身のシャーロット・ウェルズ。なんという才能！
タイトルの『aftersun』って、日焼けした後に塗るローションのことだとか。
実際、劇中で、２人が何度か塗っていて・・・うん、ダブルミーニングで上手いタイトルです。
好きな人はかなり惚れこむ作品。私は大好きでした。今年のベストテン入りもあり。４つ☆
ポール・メスカルという俳優がずっと気になっていて、今作を待ちわびていました。
だって、今作で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされてたんですよ。
『ノーマル・ピープル』というドラマでイギリスでは相当人気が出たそうで。
私は『ロスト・ドーター』で、ちらっとその姿を見たんですが、本当に脇役だったので、実際どんな俳優さんなのかは、わからないまま。
ちなみに、今作、プロデューサーの一人にバリー・ジェンキンスが入っていて、ビックリ。
で、２回観ました（←最近多い
）
１回目は観方を誤ってしまって、組立の素晴らしさを十分に理解できず。
途中でそれに気づき「しまった〜！」と。
２回目は冒頭から多角的な視点で観て、うん、よっしゃ、わかったぞ。
（っていうか、難しいお話では全くないです、私の理解度が低いだけで
）
今作は、まずかつてのビデオカメラ映像があって、そこに自分の記憶を重ねて人物（物語）を動かし、そこに現在の自分も挿入するという構成。
あの時はわからなかった父の痛み。哀しみ。
ビデオを再生し、思い出し、考えていくことで、次第に、それが、見えてくる。
冒頭、トルコに到着。父と娘の再会旅。思いっきり楽しもう。
いや、でも、カラムの様子がどうもおかしい。
まず右腕にギプスをしている。どこかで転んだということだが・・・。
ホテル到着後、ソフィが眠った後の、ベランダでの動き。
鏡に唾を吐く。道で車（トラック？）に轢かれそうになる。バルコニーのフェンスの上に立つ。
スキューバダイビングのインストラクターに「僕は４０才まで生きられるとは思わない」
好きだったカラオケの曲を歌わない。
（結局ソフィが一人で歌うだが、それがREMの名曲
Losing My Religeon。歌詞が深くて切ない）
そしてカラムは・・・暗い夜の海に入っていく。
ソフィは年上の若者たちが気になる、少し背伸びしたいお年頃。
仲間に入れてもらえたり、入れてもらえなかったり。
一緒に違和感なく遊べるのは、同じ年ごろのマイケルなれど〜。
ソフィ「同じ空を見てるっていいね。別々の場所にいても、一緒だって感じられる」
カラム「生きたい場所で生きればいい。好きなことをやるんだ」
カラムは金銭にさほど余裕がないのが、いくつかの場面でわかるのだが、そこそこ高額な絨毯を購入する。
「１つ１つの絨毯には物語がある」
その絨毯は・・・３１歳のソフィがパートナー（＆子供）と暮らす家の床に引かれている。
演出があれこれ素晴らしい！！！！
・カラムがソフィのある質問に対して「カメラを止めて」と言って、ソフィはまあ止めるんだけど、その後の２人の姿がテレビ画面に映ってて・・・うわっ、スゲ〜と。
ソフィ「私の心のカメラに残すから」
・誕生日を祝ってもらっているカラムの背後に、別のカラムの哀しげな背中が浮かび上がる。
・空には、ふわふわパラグライダー。
・レストランで撮ってもらったポラロイド写真。カメラは会話している２人の姿は映さず、じわじわ出来上がってくる写真を撮る。
旅の最後の夜
Under Pressureが流れて、カラムはソフィに言う。
「踊ろう。最後の夜だ」
で、歌詞が和訳されるんですが、これがドンピシャの切なさ。
あまりにも有名な曲ゆえ、監督もおそらく最初は使用を迷ったとは思うんですが、いや、もう、あの場面はこの曲で間違いなかったと思いました。
複雑なカラムの気持ちを語ってくれてる。辛いけど、今はソフィと楽しもう。
明日はどうなるかわからないけど・・・。
※予告編
https:/
カラムの危うい精神状態。その理由は語られてはいない。
キースという友人とロンドン郊外に住んで、仕事をするって言ってたけど・・・。
思うに、カラムはゲイだったのかな〜と。
アンダープレッシャーが流れたっていう以外にも、無理矢理ギプスを外すところとか、ソフィの母親（元妻）への優しい話し方とか、なんていうか、そんな感じがしたなあ。
空港でのラストシーンは・・・もう見事としか。本当に素晴らしかった。
あれこれそぎ落として、ゆえに、深い余韻を残した。
カメラは時計まわりで、４つの姿をとらえていく。
�．愁侫�がゲートへと消える（そのストップモーション）
��現在のソフィが座っている
�▲�ラムのビデオ撮影が終わる。’自分’の出口へと向かう
��カラムが空港の外に出る。フラッシュの光を浴びる
しばらく椅子から立てなくなるような衝撃。
こんなシンプルなシーンに、こんなに圧倒させられるとは！
何の前触れもなく、いきなり襲われる深い悲しみ。
ソフィは父が理解できたのだ。
そして・・・あの時の自分の無邪気さが許せなかった。
今はもう、どうしようもないのだけれど。
いやあ、まさかここまで良いとは思わなかった。
ソフィ役のフランキー・コリオさん、上手かった〜。
監督が時々、彼女のアップを撮っていたのも頷けた。
そして、ポール・メスカルが、やはりというか、素晴らしかった。
あのダンスシーンの表情が何度も思い出されて、泣いてる私。
監督はスコットランド出身のシャーロット・ウェルズ。なんという才能！
タイトルの『aftersun』って、日焼けした後に塗るローションのことだとか。
実際、劇中で、２人が何度か塗っていて・・・うん、ダブルミーニングで上手いタイトルです。
好きな人はかなり惚れこむ作品。私は大好きでした。今年のベストテン入りもあり。４つ☆
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