マイミク・クロエさんのつぶやきに、数字入りのバンド名を知っていますかという質問があった。数えてみるとプログレだけでもずいぶんある。ユニヴェル・ゼロ、21スト・センチュリー・スキゾイド・バンド、3（スリー）といったメジャーバンドもいいけど、マイナーバンドにわくわくするほど好きなバンドが多数あるので、今回はマイナーバンドで10選を作ってみることにした。
曲 バンド アルバム
�� Hand of make-believe / Orpheus Nine [ Transcendental circus 2017 USA ]
オルフェウス・ナインは、アメリカの4人組で、ジェイソン・クレージュがヴォーカルとキーボードを担当する。粘着的なギターに広大な空間を表現する豊穣な色彩のキーボード。それに乗って出てくるヴォーカルは、若々しい青年風のハイトーン。叙情的なメロディに乗せたみごとな表現力だ。私にとって、まさに理想的なシンフォニック・ロック。間奏のギターは泣き、一方キーボードは早弾きでうなりを上げる。楽曲が複雑であるにも関わらず、リズム隊が非常にしっかりしているのもこのバンドの魅力。壮大なオーケストラを取り入れた曲もある。
�� Time pieces / RC2 [ Future awaits 2008 Venezuela ]
南米ベネズエラの本格シンフォ・バンドＲＣ２は４人組で、フェリックス・ドークが専任のヴォーカルを務める。ベネズエラは文化水準が高く、 優れたプログレ・バンドが多い。ヴォーカルの歌い出しから繊細なハイトーン少年声が切々と訴えかけるように響いてきて、ぐっと胸に迫る。演奏はかなりハードだが、一転して静寂なパートが展開。なめらかなギターに導かれるようにして、次々と 曲調が変転していく。11分ある長い曲が次々と変化し、ヴォーカルも表現力豊かに変化しながらサウンドを牽引していって、飽きさせることがない。シンフォ の鏡だ。
�� Superhuman / Section �� [ Superhuman 2015 UK ]
英国の現代バンド・セクション4は６人組で、専任のヴォーカル・サム・リネイのほかに専任のアコースティック・ギター奏者がいる。このバンドもハイトーン・ヴォーカルに加えてメロディアスなので好きなのだが、このバンドの場合は、ともかくイントロから最後まですべてが壮大なのだ。ある意味で幻想の極致。あまりにも壮大なので、メジャー・バンドの風格さえ感じる。演奏にも一分の隙もなく、特にドラミングが素晴らしい。ヴォーカルはまるでイタリアンロックのように、フレーズのサビの部分で声を張り上げる。キーボードの音響はもちろんのこと、メンバー一体となって極端なまでの壮大さを追求している。音響空間のこの広大さが、このバンドへの好みを分けるかもしれない。12分ある曲の途中で何度も生じるリズムの切り替えもみごと。
�� Thunder of the dragon / Mau2 [ Another heaven 2014 Japan ]
マウマウは日本の4人組で、井上銀河の多彩なキーボードを中心とする。「マウツー」ではないが、バンド名に数字が入ってるのでこのバンドも選に入れた。 日本のバンドには珍しい王道の本格シンフォで、英語の曲と日本語の曲があるが、この曲は英語なのでインターナショナルな雰囲気がある。ヴォーカルのK.T.ミッキーは、これまた日本に珍しいほどのハイトーン。若干のコーラスもあるので、イエス・タイプのバンドと言えるだろう。メンバーが一丸となって、スピードの速い演奏が疾走し、それがカオスの様相を呈していて、実にスリリングだ。
�� Zakon / Progres 2 [ Treti kiniha dzungli 1983 Czeck ]
プログレス2は、チェコの古いバンドである。４人組中ヴォーカルが2人いて、1人は大人の男性の声。もう１人が少年声。この掛け合いで進んでいくシンフォニック・ロックは意外に珍しい。ロック自体が禁止されていた共産圏チェコにあって、これほどみごとなシンフォ・バンドがいくつも存在していたことに驚くしかない。地下活動をしていたのだろうか。その割には演奏はしっかりしていて、間奏で聴かれるキーボード・ソロなどからは、機材も西欧並みのもののように思える。白熱のインタープレイに続き、順序逆転してのヴォーカルも刺激的。
�� Crow / 7 Pines [ Exit 2011 Swiss ]
スイスの３人組セブン・パインズは、シシフォスの後継バンドで、ともかく演奏がうまい。ジェントル・ジャイアントのドラムスとキーボードをさらに強化したようなサウンドだ。演奏もトリッキーなら、左右から交互に出てくるドライなヴォーカルもトリッキー。それでいていながらちゃんと哀感のあるメロディーをなしていて気持ち良いことこの上ない。間奏はテクニカルで、フュージョン 風になる。複雑な楽曲が一糸乱れず緻密に進行していく様子は、一体どれほど 才能のある人たちなのかと舌を巻くしかない。この曲は15分あるものの、演奏のみごとさに驚嘆していると、あっという間に過ぎていく。超絶技巧の嵐だ。
�� Well…not Chickenshit / 5 uu’s [ Hunger’s teeth 1994 USA ]
米国の５ＵＵズは、アヴァンギャルド界でちょっと知られたロバート・ドレイクがヴォーカル、ギター、ヴァイオリンを担当する４人組。他の３人も、キーボード奏者、マルチプレイヤー、コンピューターサウンド奏者と才人ぞろいだ。何人かの人の叫び声で開始すると、少年声の優しいヴォーカルが入る。声が頼りなくてふわふわと宙に浮いているような感じがする分、ドラムスの音量が太くてしっかりとした地面を形成する。ところがギターが入るとまるで無調的で、全体が混沌と化す。やがてすべてはどろどろの金属となって溶けていく。アヴァンギャルド・ロックの暗黒美と底知れぬパワーを、余すところなく見せつけている。
�� There is no place for a dream / Group 309 [ Dreams of sea 2010 Russia ]
ロシアのグループ309は4人組で、同じロシアのリトル・トレジャディーズにn似た田舎っぽい朴訥したヴォーカルも聴けるが、この曲では切々としたヴォーカルは、英語で歌われるハイトーンで、張り上げる声が哀愁たっぷりだ。この曲のギターはかなりハードだが、メタルには近寄らない範囲で、ときとして細い音になる。やはりロシア的な土着性が感じられる一方で、西洋プログレの透明な美しさが混在する。間奏は生ギターがつまびかれ、哀感を基調とした叙情的な曲である。「夢の場所がない」という曲タイトルが、まるで今のロシアの状況を象徴してるかのようだ。
�� Autumn / Twenty Sixty Six and Then [ Reflections 1972 Germany ]
2066アンド・ゼンは、ドイツの４人組で、ツイン・キーボードを特徴とし、このほか、フルートとドラムスのゲストが加わっている。EL & P タイプのバンドでキーボードが活躍。ドイツ70年代には、ハモンド・オルガンを弾きまくるいわゆるオルガン・ハードのバンドが多数輩出した。ギターのイントロに続くヴォーカルはブルージーな感じであり、ギターはサイケデリックな色彩が強い。古めかしいサウンドだが、それが却って今では新鮮かもしれない。この曲のラストは、コーラスによってやや宗教がかった荘厳な雰囲気を醸し出している。
�� Like you’ve never been / Nine Books [ Nine Books 2011 Hungary ]
ハンガリーのナイン・ブックスは2人組のデュオだが、ヴォーカルはゲストが担当している。かなりハードなサウンドで、2人とは思えないほどの爆音だ。一方でヴォーカルは、牧歌的にゆったりした感じの低音。2声でのコーラス部分も田園的な味わいがあり、メロディに郷愁を感じさせるところがある。ハードな部分では、メタルすれすれというほどギターのエッジが立っているものの、キーボードは丸っこい音を出していて、その対比が印象的だ。激しさと穏やかさが同時の空間に共存しているところが、ユニークといえばユニーク。
[次点] Not knowing you / Tomsix [ Soundbones 1994(1974-79) USA ]
次点は候補バンドが多いと、いつもちょっと迷うのだが、今回は圧倒的なメロディーの美しさ、叙情性からこの曲にした。米国のトムシックスは、トムシック３兄弟に、従兄でヴォーカルのアラン・ピルナット、ドラマーが加わった５人組。７０年代に活動し、録音もしていたが未発表に終わり、９４年に至ってアルバムを出すことができた。ヴォーカルが少年声だというだけでなく、懐かしいようなメロディーラインを持ったラブソングだ。自主制作だろうと思われる音質の悪さのため、このアルバムを選ぶことはないだろうと思っていたのだが、一応聴いてみたら、有無を言わせぬメロディーの豊かさに打ちのめされた。
〇他に候補にしたバンド (47)
Amon Duul ��,Capitolo 6, Comunidad S8, Circus 2000, District 97, Equipe 84, Evolve ��, Formula 3, Four Men and A Dog, 5 Bridges, 4/3 De Trio, 41 Point 9, Gruppo 2001, Hypnos 69, K2, Level 41, Nine Days Wonder, 9 Stone Clouse, 9:30 Fly, Opus 5, PB ��, Paraller Or 90 Degrees,
PI 2, Quarteto 1111, Quatermass ��,Roswell Six, Radio Piece ��, Stormy Six, Spin �将升�, Seven Steps To The Greendoor, 707, Seven Impale, Twelfth Night, 21 Century Schizoid Band, T 2, Ten Point Ten, Think Of One, Three Seasons, �� Milenio, 3 (Three), 3.2, Univers Zero, Uno, 13 Of Everything , 7 Ocean, Seventh Wave, 10cc,
〇 Uni のつくバンド名 （8）
Unitopia, Univers Zero, Unifaun, Unicorn(UK), Unicorn(Sweden), Unisphere, Univerve, Unified Past,
〇 Tri のつくバンド名 (12)
Triana, Trianvirat, Triade, Trion, Trilogy, Trip, Trillion, Tritonus, Triangle, Tripod, Trigemino, Jaime Rosas Trio,
他に類似(4) Trettioariga Kriget, Tryo, Tryptic, Third Ear Band
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