立春過ぎの夜に

「こんなの雪積もる天気じゃねえよ」
「うん。僕もそう思う」
「雪ぐらいで慌てすぎ」
「東北暮らしの君がそう言いたくなるのはよく分かる」
「だろ。なんでみんなああなの？」
「これば僕の私見なのだけれど、」
「うん？」
「トラウマ　かな」
「雪がトラウマてwそこ詳しく」
「首都圏の公共交通機関にとっては雪は天敵と言ってよい」
「それほどかー」
「うん。たとえば昔……ん−とまだ20世紀末のころだったかな、10cmも積もろうものなら雪道での運転に慣れていない車＆どっかで事故やらかした車のせいで幹線道路は路線バスとタクシーを道連れに壊滅」
「電車は？」
「到着遅れで駅のホームでえんえん待たされて　ってくらいならまだましで、最悪だったのは"雪の重さに耐えかねて送電線がちぎれて停電で全線不通"なんてね。定時に仕事場を出て家に着いたのは時計の針てっぺん超えかけたころ」
「ぼろっぼろだな」
「ほんとぼろっぼろだったよ。今は対策が進んでそんな酷いことにはならなくなったけどね。むしろ僕は雪のことだけじゃなくて12年前のあの出来事もみんなの心の中に混ざって染み込んで拭い去れずにいるせいで毎度こういう状況になるのでは　と見ている」
「……あの地震のこと？」
「うん。あくまで僕の私見だけどね」

--
♪You're not alone / Revolution Saints
al."Revolution Saints"
https://www.youtube.com/watch?v=M9dRyyV1FKQ&list=RDuEy5-jZXjZc&index=13

"You're not alone."(あなたは独りではありません)と歌いながらも寂し気に締めくくるアウトロの独特な余韻。しびれるぜ。