3曲目が楽しめたから良いとしましょう。
大阪 ザ・シンフォニーホール
センチュリー第270回定期演奏会
久石 譲指揮 日本センチュリー交響楽団/九州交響楽団
(コンサートマスター 西本幸広(九響))
久石 譲:Metaphysica(交響曲 第3番)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
マルケス:Danzon 第2番
(アンコール 久石譲 となりのトトロ)
1曲目は苦痛以外の何者でもない。ミニマルなのは自明としても、あまりにアンサンブルが雑に過ぎるし、曲自体も平板に過ぎる。これに40分近く付き合わされるこっちは、まあたまりませんな。九響はセンチュリーに比べるとやや技量的に劣ると思われ、それがさらに拍車をかけたような気がします。
「春の祭典」はそれに比べると、九響も演奏経験があるのでしょう、演奏のクオリティはずっと上がったのだけれど、久石さんの指揮が即物的にすぎる。この曲の持つ「拍子」の「変化」が「リズム」にならないと言った感じで、単に機械的に物理図形を棒で描いているだけ。加えてあまりにもサクサクと早く早く行ってしまうものだから、味わいにかけること甚だしい。この早いハルサイに振り回されるオケには同情を禁じ得なかったですね。
そんなもんで、ようやく久石さんの腕が振れて、音楽に表情が宿ったマルケスの作品にふれられたときは、本当にほっとしました。ラテンの哀愁漂うこの曲、確かに曲自体も魅力的なのだが、久石さんの持つ歌心が素直に乗っていたようにおもいます。
お約束のようなアンコールに自然に繋がって行ったこの3曲目で救われた気持ちになったのは、完売の聴衆の中に少なくなかったんじゃないかしら? 兎にも角にも、来季の久石さんの回が憂鬱ですな。
ログインしてコメントを確認・投稿する