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2022年10月22日09:49

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『千夜、一夜』感想

〜北の離島にある美しい港町。登美子は30年前に突然姿を消した夫の帰りを待ち続けている。漁師の春男は彼女に思いを寄せているが、彼女がその気持ちに応えることはない。そんな登美子の前に、2年前に失踪したという夫・洋司を捜す奈美が現れる。奈美は自分の中で折り合いをつけて前に進むため、洋司がいなくなった理由を求めていた。ある日、登美子は街中で偶然にも洋司の姿を見かける。
主人公・登美子を田中裕子、奈美を尾野真千子、春男をダンカン、洋司を安藤政信が演じる〜<映画.comさんより>

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危険・警告そこそこ内容に触れていますので、ご注意下さい。

わかっていた通り、期待していたとおり、田中裕子さんありきの作品。
やはり田中裕子さんは、素晴らしかった!
細やか、かつ、巧みな表情を、次から次へと浮かべることができる恐るべし女優さん。
田中裕子さんの演技は、言わずもがな、5つ☆

冒頭すぐ、登美子と何人かの女性たちがイカをさばいていて、その後、それを日干ししながら「まだ待ってるの?」という会話が始まる。
ここ好き。この場面からスムーズに流れに乗って行けたので、この作品は私に合うと確信。

北朝鮮による拉致っていう、台詞も出てきたので、舞台の設定は新潟だったのかな。

登美子の母親が亡くなる。
布団をめくると、義足を抱きかかえていた。(どうやら父親が使っていたもの)
登美子は義足を棺桶に入れてほしいと望むが「入りません」と断られてしまう。
登美子としては’微妙な’思い出が残っているものは、母親に持って行ってもらいたかったのだろう。
夫の思い出だけで手いっぱいゆえ・・・。
葬儀では、近所の人たちが、いきなり三味線の音とともにるんるん佐渡おけさを歌う。
何も知らなかった登美子は、ビックリ。
あとで、それは、母親が「自分が亡くなった時に葬儀でこの曲を歌ってほしい」と登美子の友人に頼んでいたのだとわかる。
登美子「皆、どうして、言ってほしいことは言わないの?勝手よ!」
このあたりの展開、面白かった。

ダンカンが演じる春男がとにかくウザイ。(←言葉悪くて、すみませんあせあせ(飛び散る汗)
春男は登美子と一緒になりたい。だが登美子は全くその気がない。
登美子「私はまだ結婚してるの」
春男は連日ヤキモキして、仕事にも気合が入らず、どこかおかしくなってゆき、母親が心配する。
後日、登美子は春男の母親からも春男と一緒になることを頼まれる。
登美子が次第にキレる。
「もう、どこかに消えちゃって」
春男が失踪してしまい、春男の母親が、待つ身になる・・・。
登美子と’待つ身の辛さ’が共有される。

田舎って、今も、こういうものなのかなあ。
なんていうか、地域の中で、身内の中で、人生が完結しちゃうみたいな。
皆が皆のことを知ってて、良いことも悪いことも、全て筒抜け。
皆がおせっかい焼きなのは、頼りになるけど、うっとうしい時もある。

登美子が、奈美の夫の洋司を見かけた時が、起承転結の「転」
心の奥底で、長く渦巻いていた様々な想いが一気に溢れ出る。
自分の夫のセーターを着た洋司を・・・抱きしめる。

※予告編
https://youtu.be/1WfS0ZdblvE

しかし、尾野真千子さん、よく見かけるなあ。
上手いんだけど、今作では、奈美の描写が不十分で、十分に魅力が発揮されておらず、残念。

場面転換での自然描写は美しかった。
浜辺に流れて着いたゴミもしっかり描いているのもいい。
でも、なんだかんだ、最後まで春男がうっとうしくて、余韻の一部がそっちにもっていかれたのが、悔しすぎる。
それでも「待つ」vs.「待てない」は考えさせられるし、とにもかくにも、田中裕子さんの演技を堪能するだけでも、観る価値はあります!
あとは、波にまかせて〜。3.5☆

※どうでもいい追加
カセットテープのテープの修復、あれじゃダメじゃね。
8 8

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