続きました。
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北横岳
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【山行編】
さて、やっと山行編に辿り着きました。なんかもう、想定外の車スタックどうしたもんかトラブルのせいで気分的には下山してもいいんでないか？な気分です。スタック脱出でかなりの達成感だったしね。前日の夜も下山後の打ち上げばりに飲み食いして、かなり満足度高かったしさあ。とは言えさ、折角来たんだから雪山、登りまっせ！
外のベンチとテーブルに装備を広げ、身支度開始。まずは上下にレインウェアを着込む。4人中、ハードシェルを着るのは弟氏だけ。いいなあ、ハードシェル。自分も今のスキーウェアがお釈迦になったらハードシェル買って雪山とスキー、兼用にしようかと考えてますよ。続いてゲイターを装着。首から上は面倒なので、ここでもうバラクラバを被りヘルメットも被っていってしまうことに。
トイレの洗面台に移動して顔の露出部分に入念に日焼け止めを塗る。顔に何か塗りたくるのはホントは大嫌いなのですが、雪山は紫外線対策を取らないとホント、日焼けとかそういうレベルでは済まないっすからね。火傷ですよ火傷！唇には登山用のUVカットのリップクリームをぬりぬりする。
真上の天井をガタゴトと人が歩く音がする。改札が始まったらしい。ザックを背負って列に並ぶ。マスク着用じゃないと切符売りません、みたいな案内が出ているが、バラクラバを被っているので問題無しです。これで鼻までスッポリと隠れるからね！
ロープウェイは10分間隔で運行しているので、それほど始発に拘る必要は無かったかも知れぬ。2本目の便で上に上がる。ピラタスから山頂駅まではものの7分程度。100人程度収容する大型のロープウェイなので、中は朝の通勤電車状態。キャビン内での会話は厳禁！とアナウンスが流れるも、みんな結構お構いなしにおしゃべりしとるやん！
到着したら直ぐ外に出る。建物の中はアイゼンやスノーシューは厳禁とのことで、建物内での支度は無理そうだ。外は一面の銀世界。別に珍しくは無いんですが、スキーヤーやボーダーが皆無で登山者しかいないこの光景は何気に新鮮ですよ。
ザックを下ろして各人、アイゼンを装着する。装着したらしばらく周囲をウロウロ歩いて感覚を確かめる。自分は少し歩いたら緩みが発生したので、ストラップの増す締めをば。これ、コツと言うか、10本爪以上のアイゼンって前後が分かれていてスライドするプレートで連結してるじゃん？なので前後の爪が雪に乗った状態でストラップを締めてもダメなんですよ。前を浮かせて締めないと、前部分が後ろに動かないのでね。
「みんな準備OK？そろそろ出発しましょう！」
坪庭の散策路を時計回りで歩き出す。おそらく自分と弟氏は幼少の頃、ロープウェイで山頂駅までは来ているはずなんですが、全く記憶に無いんだよねえ。子供の頃、家族旅行に出かけると、リフトやゴンドラがあると必ず乗ったので。特に霧ヶ峰や美ヶ原界隈は何度も来ており、車山や蓼科山、そしておそらくここ、北横岳にも来ているはず・・・なのです。
しかし凄い人出だよ、続々と登山客が上がって来る。第一休憩所と第二休憩所を過ぎたら、周回コースとなる第三休憩所へは向かわず、北横岳への登山道へ入る。ここからは樹林帯だ。積雪の樹林帯、登山道の段差が雪で埋められているので頗る歩きやすい。歩幅や段差を地形に強要されないので、とても快適。いいなあ、雪山はやっぱり！しっかし日の射す場所は暑いよ、暑い！
程なくして北横岳ヒュッテ前に到着。ヒュッテの前も凄い人だかりだ。暑いのでここでウェアリング調整をすることに。自分はミドルに着ていたソフトシェルを脱いでザックにしまう。念のためトイレにも行く。が、毎回アイゼンを脱着しないといけないのか、ﾌﾑ。まあ、面倒だが仕方あるまい。トイレから戻り再度アイゼンを装着する際は、先程みたいに緩まないように爪先を雪から離してストラップを締めたら、一発でジャストフィットした。よし！
北横岳ヒュッテから山頂まではほんのわずかな距離だが、傾斜は少しキツくなってくる。周囲を見るとピッケルはみんな持参しているが、基本使っているのはトレッキングポール。ピッケルは不要のコースだけどやっぱり使いたいじゃん！ってことで、自分と弟氏はポールをしまってここからはピッケルを出す。殆どが手でブラブラ下げているだけで、使うことは無いのだが、山頂直下で2ヶ所ほど出番があった。というか無理やり出番を作ったのよー。
九十九折のトレースとは別に、それらをショートカットするような直登のトレースがいくつか出てきましてね。この直登の斜度ならピッケルの出番ですぜ！ピッケルはケインポジションで保持、キックステップでガンガン登って行ける！おかげで九十九折のコースを歩くHGさんとONZKさんとだいぶ距離が離れてしまったYO！
最後のショートカットを一気に登ったら北横岳の南峰に登頂じゃ！でもさあ、ガスで眺望は皆無ですよ、残念。もしかしたら復路でここを通過する時はガスが晴れるかも知れないので、南峰には滞在せずに後続の2人と合流したら、最高標高地点の北峰へ向け直ぐに移動を開始。南峰から北峰はコルを挟んでホントに目と鼻の先。コルの稜線脇の樹木は樹氷になっていて素晴らしい景観でした。そこいらに「エビの尻尾」が出来ている。風の向きが一目瞭然ですね。
北峰に着いたらしばらくは写真撮影タイムです。と言ってもここも眺望はサッパリなんですが・・・。でも、残雪の北横岳(2480m)に初登頂〜！なのです！この標高の雪山は北穂高岳以外では初めてなんじゃないかな？雪が残っている山、なら他にも沢山あるけど、アイゼン使って登る山って意味ではね。
さて、山頂周辺で大休止適地を探すも、稜線から少し外れた風が避けられそうな良さげな樹林の中は全て、先客で埋まっている。仕方ないので南峰に戻ってそこで探すか、とコルへ降りて行くと、良さげな場所を発見！
「お、ここ良いんじゃねえの？整地しようぜ！」
と、ザックを下ろした弟氏がスノースコップを組み立て出す。低木に囲まれた二畳程の窪みである。自分もザックを下ろし、今回初使用となる「Snow Claw」を取り出す。二人で掘炬燵状に雪を堀り、掘った雪を周囲に積み上げ、固めて椅子にしていく。自分はドジョウ掬いの要領で雪を掘るので、短時間で腰が痛くなってしまったよ。10分もしない内に、登山道側を開口部にコの字型の堀炬燵が出来た。椅子のように腰かけられるのは自分やHGさんなどのデブーズには大変ありがたい。
というのはさておき、雪面に胡坐かいて座ると、接地面積が多過ぎて体温奪われるからアカンのですわ。弟氏はクローズドセルのマットを敷き物に、自分はSnow Clawを座布団にしてさらにその上に折り畳み式のマットを敷く。足を下ろして座れるしお尻も冷たくないし、樹木に囲まれているので風も遮れるし、バーナー使う人は足元でやれば無風を確保できるので、これは快適じゃ！いいねえ、この秘密基地感！うひょー、楽しいぜ！
お昼と言っても軽めですわよ。自分はサーモスのお湯で出来る範囲のものだけ。コンビニ調達の総菜パンとフリーズドライのスープをお湯で戻す。残りのお湯でドリップコーヒーを淹れる。吹雪いたりするとさ、コーヒーのドリップは無理じゃないですか。なので紅茶のティーバッグも持参したのですが、幸い風も無く穏やかな天気なのでコーヒーを淹れるのです。弟氏はバーナーを出してお湯を沸かして何やらラーメンぽいものを食べてる。
喫煙者の自分ら兄弟は食後のコーヒーを飲みながら完全にまったりモードですが、ONZKさんとHGさんは既にパッキングが終了して出発待ちの状態。
「HGさん、ONZKさん、じっと座ってるだけだと寒いと思うので、先に出発して下さい。自分らはもう少し寛いでから後を追いますよ！」
「了解、そうしていただけると助かるよ。動かないでいたから結構身体が冷えちゃって」
「では待ち合わせは北横岳ヒュッテ前で良いっすか？」
「OKです。スマホは圏外なので何かあったら連絡は無線で！ﾖﾝｻﾝﾏﾙのメイン待機でよろしくね！」
二人を見送ってから、自分らも片付けとパッキングを始める。確かに動かないでいるとジンジンと冷えてくるねえ。こりゃあこの装備でもし雪上ビバークとかなったら凍死するだろうねえ。
「さて、んじゃうちらも出発しますかね！」
コルの脇に作った陣地を抜け出し、自分が先頭で歩き出す。南峰に戻って来たが、山頂はやはりガスで真っ白。風も吹いてきたので長居はせず下山を開始する。しばらく進むと稜線から急登になる手前辺りで先行の2人に追いついた。あれ？時間差は相当あったはずだが、どうしたんだ？
「あれー、HGさん、ONZKさん、どうしたんです？何かトラブル？」
ONZKさんの話ではHGさんがアイゼンの前爪を自分の足にを引っ掛けて、ド派手に転倒してしまったのだそう。アイゼン「あるある」ですね！
「いやいや、前に人がいなくて良かったですよ。前方に一回転したので、いたら巻き込んでただろうし、もう少し先だったらこの先の急斜面を転がり落ちてたと思うので！」
と、ONZKさん。
HGさんの話だと、転倒した後に助けてくれた他の登山者から、ここはポールじゃなくてアックスの方がいいよ、と言われたので、脇に寄ってトレッキングポールをしまってピッケルを出している最中とのこと。いずれにしても怪我は無く無事とのことで、良かった良かった！
★自分・HGさん・OG原さん・こーたろくん チーム滑落
★自分・HGさん・OG原さん・Hりさん チーム転倒
★自分・HGさん・ONZKさん・弟氏 チーム大転倒←New！
ま、こんな感じでしょうか？
ピッケルの3人は往路と同様、復路も直登のショートカットを使って降りて行く。程なくして北横岳ヒュッテの前に到着するが、往路とは比べ物にならないくらい人で溢れかえっている。正直、立ち休憩も無理なレベルです。ここでお昼ご飯にしないで大正解でした。立ち止まらずにスルーします。
樹林帯をサクサク歩いて坪庭まで降りてきました。途中すれ違ったおそらくお父さんと息子の二人組がいたんですが、服装は山要素ゼロ、完全に街着で二人ともジーンズを履いてました。靴も普通に街用の靴。それに滑り止めのバンドみたいなのを付けているだけ。今回目撃した中でダントツのなめプでしたYO！なめてると言うか、雪山を全く知らないだけなのかも知れませんね。いくら北横岳とは言え、ありえんよ、街歩く格好そのままで雪山に入るなんて。多分、足とかびっちょびちょに濡れて不快な思いするんだろうなあ。
坪庭に降りたらそこはガスの下。良い天気です。HGさんが持参した風速計で計ったら風は5m/sでした。雪原にはスノーシューのトレースが何本も走っている。少し離れた場所でドローンを飛ばしている人もいる。いやー、爽快ですよ、爽快！気持ちｅ〜！
復路は来た道戻るではなく、坪庭の周回コースを辿ることに。時間はプラス30分くらいだが、まだお昼過ぎだし全然OKでしょう。途中、ONZKさんの雪上ダイブを撮影したり、指導標に出来た「エビの尻尾」をピッケルで叩いて剥がしてみたり、シュカブラを見て感激したり、色々雪遊び的なことをしながら歩いて行く。縞枯山荘への分岐点で、良い感じの斜度と高さの雪壁を発見。ここでザックを下ろし、全員で予定通り滑落停止訓練を行う。
も、雪が腐っていて斜度はあっても滑落することの方が難しい感じ。尻セードも同様。雪にめり込んでしまって全然滑らない。まあでも、実際に身体を動かしたので、感覚だけは何となく掴めたでしょ。急斜面を何度も登っては落ちる、を繰り返したので、流石に息が上がってきた！適当なところで滑落停止訓練を切り上げ、ロープウェイの山頂駅まで戻ってきた。この時間だとスキーヤーやスノーボーダーがわんさかといる！
取り合えずアイゼンを外し、専用ケースに入れたらザックへイン。ピッケルはカバーを付けて手持ちでそのままロープウェイに乗り込む。行きと同じ乗り場下のベンチでゲイターを外したり靴を履き替えたりと撤収準備。車に乗り込み、本日の宿泊地である石和へ移動開始。
早朝、カチンコチンに凍結していた道路は完全に融雪して、何事も無かったかのように普通の舗装路に戻っている。ヘアピンカーブの手前、道路に岩が2つほど転がっていた。
「あぶねー、なんで道路の真ん中に岩が置いてあるんだよ〜！」
と運転しながらボヤく弟氏。
「あれさ、今朝うちらが輪留めに使った岩じゃね？片付けるの忘れてたわ・・・」
出だしからまあ、今回は色々とありましたが、無事下山。この日は石和の健康ランドで一泊して、三連休の最終日の早朝にチェックアウト、お昼前には各人、無事帰宅できました。
【まとめ】
一言で言うと「メッチャ楽しかった！」ですよ。当初雪山なんてやらん！って思ってましたが、実に楽しいじゃないか！装備的に厳冬期は無理でも、残雪期なら今後も色々行ってみたくなってしまったよ。まずは次回、今回と同じプラニングで反対側の縞枯山の方に足を運んでみたいです。それか、美濃戸からの硫黄岳ピストンとか。これは今後の楽しみが増えたなあ。
そうそう、最後に雪山デビューの弟氏。結果的には全然OKでした。次回の北穂チャレンジを見据えて結構小まめに観察してたんですが、少なくともアイゼン歩行に関しては全く問題無し。
・始終、ちゃんと壺足で歩けている。
・ので、初めての12本爪アイゼン装着状態でも、自分の前爪で自分の足を引っ掛けることは一度も無かった。
・急登部分では事前の予習なのか自然に体が対応したのか、登りではダックウォーク、下りではスリーオクロックを使い分け、安定した登降をしていた。
これなら昨年中止になった残雪期の蝶ヶ岳とかも心配はなさそうですよ。まあピッケルに関しては今回、本当にピッケルが無いと登降出来ないシチュエーションが無かったので何とも言えませんが、この辺りは「習うより慣れろ」的な要素が強いので、大丈夫じゃないかと思いますよ。自分もそうだったしね。
次の雪山はGW、残雪の北穂高岳かあ。楽しみです！
■写真解説
�…敖蹐魘瓦鵑破眠３戮糧紳仟Δ砲△觴文六海任后�今回は登山半分・雪上トレーニング半分のプランだったので足を運びませんでしたが、次回は行ってみたいなあ！
�△◆次�要救発見！行き倒れかな？正解はスノーダイブして遊んでいる同行のONZKさんでした。予想以上に雪がクラスト化していて、顔を強打した模様。
��ロープウェイの山頂駅前で集合写真など取ってみる。冬装備の時は基本、みんな顔が隠れているのでね、たまには良いでしょう、こういうノリも！
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