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2022年01月19日11:19

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【オリジナル短編小説】退屈なバレンタインを楽しいものにしたくて

とある世界のとある時代のとある王国
バレンタインの風習があったりした

その日、国の姫は
王座に座り
並びに並ぶ男たちから
贈り物と決まりごとのような
求婚と赤い花束を受け取るのです

どれほど求婚しても
決めるのは王の方
今日は皆、形式だけの求婚なのも知っていました
賓客をもてなすだけの
このバレンタインの行事には
姫も退屈でたまりません

日が沈むころ
全ての客人への挨拶を終わると
姫君は具合が悪いと
自室に帰って
その日の賓客をもてなすパーティはキャンセルしました

これも毎年の事なので
もう最初は小言を言ってた女王も
賓客に謝りまわってた王も
慣れたもので
来る客の方も慣れたもので
順調にパーティは進行していました

姫の方はと言うと
寝ていると
バルコニーがノックされるので
誰と聞くと
兄様付きの近衛兵でした
顔も見知ってるので
鍵をあけ要件を聞くと
なんでも家へ招待したいとのこと

姫君は招待なんかはどうでもいいけど
窓から外出するという
スリリングに誘われて
でかけてしまいます

この近衛・・・実は無類の薔薇好きでして
自宅の庭を薔薇園にして
薔薇の選択やレイアウトに口出しし
見事なお庭を作っていました

家が近づくと
姫君も気が付いたのか
早く見たくて小走りに向かっていきます
慌ててついて行く近衛

庭をしばらく好きに散策してもらい
その間に茶の準備をメイドにしてもらい
姫君を薔薇のアーチへ招待します

ちょっとした感動の長さのアーチです
アーチの薔薇を指しながら
近衛が言いました

「俺はこのアーチの薔薇スカーレット・メイディランドを姫に捧げたい。
小花だが蔦で賑やかだ

姫とその周りが常にこのアーチのようにあって欲しい」

姫は最高の笑みを浮かべてアーチを走り抜けると
そこにはちょっとしたドームが建てられていて
お茶の支度ができている

姫はいろんな薔薇をみていろいろ楽しそうに語ってくれる
二人でお茶をしながら
近衛は思う

姫の曇り顔など半日以上見てたらもう十分だ
この笑顔がいつまでも続いてほしいと

姫に栄光あれ


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