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2021年09月17日10:01

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ラクサンポ214

私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。川口が考えながら、外を歩いている。

川口
「橋本さんが、ボランティアに採用されたらしい。さっき、メールが来た。よかった。履歴書は別に、手書きでなくても、問題はなかったようだ。履歴書を書くだけで、数日、無駄にするのはこりごりだ。俺も、昔、履歴書を書くのに苦労したな。数十社、履歴書を送っても、面接までに行くまで、たいへんだった。10社、送っても、全然、返事が来なかったしな。コロナ禍で、倒産して、仕事がなくなった人も多いらしい。仕事があるだけ、感謝しなければならない」

道行く人々は、みなマスクをしているので、不気味に見える。
「ああ、早く、マスクをしなくても、許される日々が戻って、来ないかな」

横断歩道を渡って、立ち止まった。
「次の依頼も、オンライン上で、書類書きの手伝いらしい。書類を書くのが、たいへんな人たちが、多くいるのかもしれないな。まったく代理で、ゴーストライターが書くのは難しいから、NPOが支援するしかないかもしれないな」

又、歩き出し、独り言を続ける。
「AIが発達したら、簡単に履歴書を書いてくれるかもしれないけど。本人しか、わからない情報もあるから、聞き出さなければならない。子どもの宿題を手伝っている、家庭教師になった気分だ。発達障害当事者が喜ぶ姿を見るのは嬉しいから、この仕事が続くんだな」

横断歩道、視覚障害者用オルゴールの音
「俺の仕事って、このオルゴールと同じだな。自分は困った人々の役立っている」


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