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2021年09月16日21:57

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神尾真由子のメンデルスゾーンがこんなにいいとは・・・東京ニューシティ豊中公演

ちょっと驚きを持って聴いてました。

豊中 豊中市立文化芸術センター大ホール
オーケストラ・キャラバン
東京ニューシティ管弦楽団 豊中公演
飯森範親指揮 東京ニューシティ管弦楽団
ヴァイオリン独奏 神尾真由子
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

コロナに苦しむオーケストラに救いの手を、という意図の文化庁の企画。この間のセンチュリーの三重公演もこの企画の一環に組み込まれていたが、こんな機会でもなければきっと一生聴くこともないだろうオーケストラ。

正直に言えば、ここまで春祭を見事にやってのけるオケが東京では下位に喘いでいるという事実にも驚きを禁じ得ない。ティルもそうだが、普通に上手いオケです。ただ、ティルで思ったのは、やはり表現のヴァリエーションが多くないなあと。フォルテがいつも同じフォルテで鳴る、というところがなきにしもあらず。そして、ストリングセクションの音がどうにも硬く、開いていかないきらいがある。これがニューシティかと思わされる味わいや潤いに欠けるのは、多くのエキストラに頼らざるを得ない弱小オケの宿命かもしれない。

それが如実にあらわになるのは、やはり神尾嬢の変幻自在のニュアンスに終始引き込まれるメンデルスゾーンがあったが故もあるだろう。

ここでも正直に告白すれば、メンデルスゾーンと聞いて、ぐすたふくん、全く期待してませんでした。またメンコンかあ、などという不遜なコンサートゴーアー、その親父の横っ面を、パシャリとやられた気分です。

とにかく、初っ端から、え?というような弱音で始まる。そこで前のめりになった途端、グイグイと絡め取られて行った、というような感じ。ここまで弱音を美しく響せたメンデルスゾーン、初めてかもしれないなあ。こんなに綺麗で、魅力的な曲だったんだ。神尾さんのヴァイオリンは、その弱音から堂々たる強奏までをまさに「スケール感豊かに」「絶妙の妙技で」聴かせる、聴かせる・・いやあ、いい物聞かせてもらいました。

拍手も凄かったなあ(御法度のブラボーまで出現)。その拍手に応えたアンコールは、「私のこういうヴァイオリンをお聴きになりたかったお方もおられますでしょうし」とでも言いたげな、ヴィルトゥオーゾ爆発の小品(イザイの無伴奏のどれかじゃないかと想像)。サービス満点、いや、参りましたです。

聞きに来てよかった。文化庁、ありがとう。

追記:飯森さん、センチュリーといいニューシティ(来期からパシフィック・フィルハーモニア東京)といい、火中の栗を拾いによく行かれるものと感心しました。大丈夫かいなと訝しむ向きを、自身の音楽性で持って黙らせてしまうアウトプット。それを実現させるのは、純粋にすごいと思います。

ただ、望むらくば、センチュリーも最後まで投げ出さないでくださいませ。心よりお願いします。




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