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2021年08月01日11:01

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『83歳のやさしいスパイ』感想

〜老人ホームの内定のため入居者として潜入した83歳の男性セルヒオの調査活動を通して、ホームの入居者たちのさまざまな人生模様が浮かび上がる様子を描いたドキュメンタリー。妻を亡くして新たな生きがいを探していた83歳の男性セルヒオは、80〜90歳の男性が条件という探偵事務所の求人に応募する。その業務内容はある老人ホームの内定調査で、依頼人はホームに入居している母が虐待されているのではないかという疑念を抱いていた。セルヒオはスパイとして老人ホームに入居し、ホームでの生活の様子を毎日ひそかに報告することなるが、誰からも好まれる心優しい彼は、調査を行うかたわら、いつしか悩み多き入居者たちの良き相談相手となっていく。舞台となった老人ホームの許可を得て、スパイとは明かさずに3カ月間撮影された〜<映画.comさんより>

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英題は『THE MOLE AGENT』(潜入スパイ)
スペイン語の原題『el agente topo』も、おそらく同じかと(topo=mole=モグラ)。

この作品の予告編もすこぶる上手に作られていて、スクリーンで目にする度に、ウルウルしてました。

観終わってから知って驚いたんですが、なんと今作、ドキュメンタリーだったという。
観賞中は全く気づかず・・・ただ「よくこんな表情を引き出せたなあ」「これって、めちゃリアルだなあ」って思ってたんですが、いや〜、そうでしたか〜。
とりわけ冒頭は、それとは真逆のフィクションドラマの如きだったので・・・いや、あれは監督の作戦だったんだなと。
気づけばしっかり「第93回アカデミー賞の長編’ドキュメンタリー賞’にノミネート」と公式HPにあせあせ

とにかく設定が新鮮&面白い。これだけで4つ☆。

調べてみると、本作は、監督のマイテ・アルベルディ自身、かつて探偵事務所で数ヶ月働いていたという経験に想を得たとの事。
事務所に勤めていた際、実際に身内が暮らす老人ホームの内部調査の依頼が多かったことから、「老い」についてや、施設に入居している人たちに起こり得ることについての現状に密着したいとして、製作を開始。ふむふむ。

セルヒオは、まずは、いじめられているのではないか?と家族から依頼があった女性を探すのだが・・・
「どの女性も同じに見える」
家族にとっては、もちろんわかるけど、赤の他人からの視点だと、確かに、皆、似てるように、見えるかも。目からウロコ。
というか・・・老人ホームで暮らしていると・・・同じような顔になっていくのかもしれないですよね。。。

施設の実態調査をこっそり行うのが仕事なのだが、いつしか、その人柄の良さから、皆の人気者となってしまうセルヒオ。
上手いね〜。面白いね〜。

入居者たちの話をゆっくりと聞いてあげるセルヒオ。
そんなセルヒオに恋心を抱く女性。詩が得意な女性。認知症で盗み癖がある女性。
「外に出たい、出たい」と言い続ける女性。
ママが迎えに来ると待ち続ける女性。(職員がママのふりををして電話をかけてあげる)
記憶障害があり、家族がまるで面会に来てくれない女性。

セルヒオが見たものは・・・たくさんの孤独でした。

※予告編
https://youtu.be/ZtQkiGEcZ8Y

とにもかくにも、セルヒオさんのスパイ抜擢が大成功だったのでは。
物腰の柔らかさ、優しくて、思いやりがあって、紳士的で、ユーモアたっぷりで・・・。そんな人だからこそ、つい本音を話したくなるし、涙も出て来ちゃうし。

納得のエンディング。そうだ、面会は、別に家族じゃなくていいもんね。
でも、でも、家族の皆さん、どうか面会に行ってあげて下さい。
老人問題を考えさせられつつも、ほっこりともさせられる良き作品でした。4つ☆

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