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2020年09月06日06:08

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ココア共和国2020年9月号を読む。

はい。

平川綾真智さんのエッセイ「日曜早朝のテイクアウト温泉卵」。”MIDNIGHT POETS”の魅力を綴る。チャーハンを作る様を実況した人のことを「その時間の何と美麗であったことか。詩的極致が宇宙の創世を成していた。」と綴る。す、凄い。ポエトリー・ディプロップメントだ。スタッフワークのあと食べる温泉卵のことを「媒体や行動を包み愛を咲かせ、決して詩が止まることなどない。」と。平川さんは本物の詩を愛する人だ。
林やはさんのエッセイ「わたし、誕生」。「私は小学6年生くらいのとき、王子様になりたくて、しんどかった。」の一文からはじまる早熟な魂の物語。「愛がほしいためでも、きみを愛するためでもないけれど、ほんとうのわたしが、きみとであうために、詩ということばになって、産まれてきました。」と帰結する。林さんの詩作品は「ルア・ルーナ」。「肉体のないしゅんかんが、あの子で、星は、だれでもあった。」の一行が光ってる。
鈴木そよかの短歌では「救われるような気がした音楽が『さよなら』の『さ』で止まってしまう」という一首が死紺亭のお気に入り。
西川真周「おかんに服買ってもらう」。スピード感が、いい。ちょっと真心ブラザーズの「スピード」を想起した。
三船杏「K」。これ、傑作!コンセプト・アートの手触り。「問三 幽霊(一滴の涙も海に還元しない)の中で、最も寂しいものは何か。//それは、詩を書いていないときの(詩)人です。」こんな国語の試験があったら素敵。
みにゃあゆな「からろいど」。なんだか不思議な宇宙観。「からーろいど、からろいど。私の色彩よ。/からーろいど、からろいど。私に四季を与えておくれ。」世界に色を与える意味。映画「ベルリン天使の詩」を思い出した。
向坂くじら「目撃」。思春期の観察者。「ふたりは気づいていない/肩の おたがいに触れているところが/すでに制服ごと融けあって/ひとつになっていることに」。奇妙にエロティック。
高平九「新しい神様」。「世界がみな仲良くなるためには/宇宙人が必要だと思っていました」。宇宙人という散文的抑圧。地球人という韻文的内圧。破裂しそうだ。
黒崎晴臣「朝」。「ほんとうに殺したくなかった/つぎ生まれてくる朝には/潮に翻る太陽の部屋を/帯びながら 通り過ぎてほしい/遠く」。朝は残酷な季節だ。
佐々木貴子「愛玩」。「ゆるして、カナリア。」「さよなら、淋しがり屋のウサギ。」「ごめんね、イヌ。」「好きだよ、ぬいぐるみのミミちゃん。」というそれぞれの語りだしによる4連の世界観。時に残酷、時に哀切。
秋亜綺羅「詩」。「詩はことばより/意識に近い場所にあって/ことばより先に/詩があったようだ」。冒頭で本質を言い切る。見事だ。

ココア共和国にはまだまだ魅力的な詩のことばが並ぶ。ぜひあなたが入手して、それらを味わうことを望む。僕は、いつもこの雑誌をかばんに入れてます。最近は。

以上、過渡期ナイトPD事業部・死紺亭柳竹でした!
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