子供の頃、知った世界は残酷でした。
弱いものは切り捨てられ、力のあるものばかりがそれを振るう。
私はそんな世界から逃げる事しか出来ませんでした。
世界から離れ、ただ絶望を抱いて眠り続けて。
ただ、私にはひとつだけずっと手に握り締めていたものがあり、ひとつだけ心に隠していたものがありました。
その意味と、使い方を知るのにはたくさんの時間が必要でしたけど、見失う事は一度もありませんでした。
この、さらに残酷になった世界が私の生きられる場所なのかは分かりません。
もう、無理なのかもと思う時もあります。
でも、私にはこの手にひとつと心にひとつ、まだ失われてないものがあります。
だから、今夜も牙を剥くのです。
最後のその時まで、爪を立て続けるのです。
どうなるから分からないけど、何の意味があるかは知らないけれど、それでも抗わずには居られないのです。
こんにちは、さようなら。
また、逢いましょう。
大好きよ。
ログインしてコメントを確認・投稿する