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2020年06月13日17:16

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【本】馳星周著『雨降る森の犬』集英社刊

皆様、お今晩は。馳星周先生の『雨降る森の犬』集英社刊を読了致しました。その感想です。

父親を病でうしない、母親との確執を抱えた女子中学生の雨音(あまね)は不登校になり、山岳写真家の伯父・道夫のもとに身を寄せた。道夫はバーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルとともに自前のログハウスに住んでいた。ログハウスの近くには大きな別荘があり、雨音はそこの持ち主の長男で高校生の正樹と知り合う。正樹は再婚した父親と若い母親に対して、複雑な感情を抱えていた。雨音と正樹は道夫の影響で登山の魅力を知るようになり、道夫の愛犬ワルテルと自然との触れ合いが、二人の心を少しずつ癒していく.

馳星周先生の一般向け家族小説を読んだのは、2017年の『神の涙』でしたが、驚いたのが前に比べると料理の描写が数段上手くなっている事と、驚くべきことに誰一人死ぬ人が居ないのであります。北海道を舞台にした『神の涙』では、登場人物の一人が福島の原発事故の責任者に絡んでくると言う設定に、何もそんな話を織り込まなくても良いものをと残念に思いましたが、今回登場する人間は皆様、多少の性格に難はあるものの、何処にでも居そうな人ばかりで違和感が無くスイスイと読み進める事が出来ました。

作者自身が愛犬家であることもあって、主要登場犬のワルテルも見事な描きこみぷりですし、一頭の犬を中心に今迄頑なだった一人の少女と青年の心が解れているさまも実に自然体で描かれていて、読んでいて要らないなぁと言う部分が皆無だったのには正直申して舌を捲きました。

愛犬家の方にも、そうで無い方にもお薦め出来る一冊でした。
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