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2020年06月11日02:12

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Epilogue

遠くで虫が夜を呼んでいる。
こっちだと、こっちへ来いと手招いて
明日を教えているようだ。

遠くで誰かが鳴いている。
ここだ、ここにいるんだと手を振って
自分を知らしているようだ。

月は変わらずに今夜も明るくて
星は変わらずに今夜も眩しくて

拠り所はどこなのだろうかと、
手の置き場に、目のやり場に、迷ってしまうくらい
完結された夜だった。

過不足のない今が酷く赤茶けて
落としすぎた影が色濃く濁り出しては、橙に染み込んで

溶けては消えていく。


暑さを忘れるくらいの暑さ。

あなたの 拠り所 はどこですか?

僕は、風。

小さな頃から感じていたけれど、最近ようやく確信しました。
風が吹いていると幸せな気分になる。
台風の時はワクワクするし、強く雲が流れている時のソワソワする感覚がたまらなく好きだ。

単純な身体的な気持ち良さもあるが、何かを運んできてくれそうな精神的な心地よさもある。
或いは、全てを吹き飛ばしてくれそうな期待もあるのかもしれない。

手をいっぱいに広げて、腕を大きく伸ばして
全てを受け止めたい気持ちになる。
全てを壊してほしい気持ちになる。

誰よりも早く月を見つけるのが得意だと言っていた。
あの時吹いていた風は、すごく心地よかったのを覚えているよ。

今宵もたくさんの人の心が、あたたかいものになりますように。
鳴いている人が少しでも、あたたかな気持ちになれますように。



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