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2019年06月14日13:53

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文在寅大統領の「外交崩壊」がG20で露見する、元駐韓大使が解説

 下記は、2019.6.14 付の ダイヤモンドオンライン に寄稿した、武藤正敏 氏の記事です。

                       記

文政権の外交特色は“何もしない”

 文在寅大統領の外交の特色は何かといえば、「北朝鮮は非核化する、制裁を解除すべきである」というだけで、国益のために何も動かないことである。

 日本との関係では、徴用工の問題で解決策を示さず、慰安婦の問題では過去の合意を反故にする、レーダー照射の問題では自らの誤りを認めず、証拠を改ざんしていい加減な言い訳に終始するだけだ。その結果は、韓国のマスコミも懸念するように、6月28、29日に大阪で開催されるG20の会合で、ホスト国の首脳である安倍総理と会談できない唯一の首脳となることではないか。

 米中の首脳とは何とか会談はするようだが、それも文大統領から頼み込んでやっと実現するもので、そこでは米中の対立案件であるファーウェイへの対応を巡って、板挟みになる見込みだ。しかし、政府としてこれまで何ら指針を示さず、企業の判断に任せるとの姿勢をとっている。どの国も一応の対応の指針を示しているが、何もしないのは韓国だけであり、米中の貿易戦争、覇権争いの中で、中立ではいられない現実を理解していない。

 G20の各国首脳が集まる中で、北朝鮮の非核化をいかに実現するか、国際的な協調体制を強化するよい機会だ。しかし、ベトナムで米朝首脳会談が物別れに終わった後も、北朝鮮に対する見方を変えていない唯一の首脳である文在寅大統領は、各国首脳から相手にしてもらえないのではないか。

 文在寅大統領は昨年アルゼンチン、ブエノスアイレスで開催されたG20でも一人でいることが目立っていたが、今回は孤立している現状を一層際立たせるG20となりそうだ。

文大統領と会談しても成果は得られないだろう

 文大統領は就任2年の節目で行われたKBSとのインタビューで、「安倍総理との会談ができるならいいことだろう」と述べた。本心で安倍総理と会いたいと考えていたかは知りようがないが、少なくとも日韓関係を史上最悪といわれるほど悪化させたまま放置していることに対する、国内の批判は意識していたであろう。ただ、日本の政府関係者からの、「首脳会談実現のためには徴用工問題で韓国政府の誠意ある対応が必要」との指摘に対しては無視したままだ。文政権は言葉では調子のいいことを言うが、行動が伴わないことが度々ある。これもそのケースだろう。

 日韓関係が最悪といわれる今の状況は、首脳会談を行い、関係改善に努めることが望ましいのは当然だ。しかし、G20という会談の好機であっても、日韓首脳会談は実現しないだろう。

 6月5日には日韓の局長会談があった。日韓間には多くの問題が横たわっている。両国が本気で首脳会談をやろうとするならば、そこで首脳会談を前提として相当突っ込んだ議論がなされて当然だが、その様子は全く見られない。これでは双方とも首脳会談に向けて本格的に取り組んでいるとはいえない。

 そもそも、今の文在寅大統領の下では、会談を行っても成果は得られないだろう。文大統領が韓国の国益を考え、政治を行っているならば、日本の国益と調整することも可能である。しかし文大統領は、どう贔屓目に見ても韓国の置かれた現状を分析し、国益を判断しているようには思えない。

 韓国の主要紙が、今の文在寅政権に最も失望しているのは、故金大中元大統領と故盧武鉉元大統領だろうという解説を載せていたのは興味深かった。それは、両元大統領は進歩系(日本に対して歴史認識など厳しい態度を取る左翼系)の大統領だったが、少なくとも現実は直視し、それに応じて政治をしていた。だが、文大統領は現実を無視した政策をとっているからだと指摘している。現に文政権は、文大統領の側近である左翼系の政治活動家が、自分たちにとって都合のいい社会を作ろうしているだけだという指摘は多い。だとすると、日韓でいくら話し合っても成果は見通せない。

国内からも非難が上がる文政権の稚拙外交

 日韓関係がこれほど悪くなった背景には、文大統領の対日認識が進歩系の識者の中でも極端にずれていることがある。中央日報によれば、文氏は大統領就任2年を迎え、進歩系の元老を大統領府に招き意見を聞く機会を設けたが、席上、元老の多くは日韓関係を見直すべきとの意見だった。しかし文大統領は、「日本は慰安婦や徴用工の問題を政治的に利用している」と述べ、責任を日本に押し付けた。これに対して元老の一人は、歴史問題を政治利用しているのは文大統領の方だと新聞に語ったようだ。

 また、新年の記者会見では、日本は歴史問題について「もっと謙虚な姿勢を示すべきだ」と述べた由である。しかし、この発言は「歴史問題の認識は自分が常に正しく、日本が誤っているから、日本は韓国の認識を取り入れるべきだ」と言っているに等しい。

 文在寅大統領の対日認識がこれほど一方的であれば、日本の立場との接点などありようがない。

 最近、外交部の第一次官に日本通のエースといわれる趙世暎(チョウ・セヨン)氏が任命された。通常であれば、これは文在寅大統領が日韓関係を立て直そうとした人事として評価すべきである。しかし、文大統領の対日認識では日韓関係修復の意図は感じられない。疑り深い見方かもしれないが、自分は我が道を行くので、日本が勝手なことをしないよう、日本をコントロールしろという人事としか思えない。

 日本が日韓首脳会談に応じないだろうという見通しは韓国でも報じられており、G20に参加する主要国の中で、ホストである安倍総理と会談しない唯一の首脳になるのではないかとの懸念が高まっている。そうした対応をとる安倍総理に対する批判もあるが、それ以上にここまで日韓関係を悪化させた文大統領に対する批判が高まっている。

 それと合わせ、韓国の外交が各国から疎外され、文在寅大統領の外交が無能なのではないか、外交部が今の長官の下で機能していないのではないかという現実にも注目が集まっている。韓国の大統領府も国内の外交批判に神経質になっている。

トランプ大統領に訪韓を懇願したことを暴露され怒る文大統領

 トランプ大統領はG20後に韓国を訪問することになったが、そこに至る経緯が韓国では大騒動になっている。

 在米大使館の外交官が、米韓首脳の電話会談の内容を高校の先輩である野党議員に漏らしたのだ。これを受け、姜孝祥(カン・ヒョウサン)議員は9日記者会見し、文大統領が5月7日の電話会談で、トランプ大統領に5月の訪日後に「少しの間でも韓国を訪問してほしい」と要請したことを公表した。

 これに対し大統領府は一旦「事実と異なる」と否定して「無責任な主張に姜氏は責任を負うべきだ」と非難。外交部と与党は「韓米関係の危機をもたらした」として姜議員の辞職を求め刑事告発した。また、当の外交官は懲戒免職になっている。政権内の混乱が読み取れ、事実をむしろ政権側が暴露しているようなものである。

 いずれにせよ、「大統領の訪韓おねだり」が重大な外交機密に該当するとも思えないが、大統領の面目が失われたということであり、これが大問題に発展するのが文在寅外交の置かれた現状である。

 韓国は米国にとって重要な同盟国である。同盟関係が強固であれば、懇願されなくてもトランプ大統領は訪韓するだろう。しかし、トランプ大統領は日米首脳会談で「文在寅大統領は米日韓連携に何故そのように消極的なのか」と安倍総理に聞いたという。これは日米側にはっきりと同調しない韓国の態度に、不満を示したものだろう。

 G20後のトランプ大統領の訪韓では、米韓同盟の強化の問題や、日米韓の関係が話し合われるだろうが、それに加えファーウェイの問題も対応は難しい。今、韓国のIT企業各社は米中双方から、「こちらの味方になれ」と強要されている。韓国の企業にとっては死活問題だが、韓国政府は各企業に「自分で判断しろ」という方針だ。

 この問題は、トランプ大統領が火付け役だ。文大統領との会談で米国側に付くよう強い要請があるのは必定だが、韓国政府の対応は遅れており、外交部にやっと小規模な対策班を設けたばかりである。片方の肩を持つことで他方を敵に回したくないのが本音だろうが、米中が覇権争いをしている中でそれは許されない。きちんと国益を考えて決断するのが大統領の役割だ。しかし、文大統領にはその決断をするつもりがないのだろうか、ただただ、逃げ回っているばかりである。

習近平国家主席の訪韓はなくなった

 文政権は、中国の習近平主席にもG20前後の訪韓を要請していた模様だ。しかし訪韓は実現せず、G20での会合となった。ここでもファーウェイへの対応が問題となろう。

 どうするのか。米中双方にいい顔をするのだろうか。2月の米朝首脳会談が物別れに終わった理由の一つが、文大統領が双方に調子のいいことを言い、ミスリードしたからだろう。だから、会談後米朝双方から仲介役失格の烙印が押されたのである。米中の間でも同じことを繰り返すのだろうか。それではますます信頼を損なうばかりだ。

 中国との会談は、北朝鮮を巡り中国の協力を得るためだろう。しかし、今の中国は米国との貿易戦争に追われ北朝鮮に構っている余裕はない。金正恩委員長がロシアのプーチン大統領を訪ねたのは、中国があてにならないからだ。文大統領は中国を味方にするために、ファーウェイ問題で中国寄りの対応をしようとすれば、それはあまりにも東アジアの地政学を理解していないと言わざるを得ない。これまで、韓国に協力してきた国は米日であり、中国ではない。

 韓国外交部は、かつては日本と中国を他のアジア諸国と切り離して、東北アジア局として対応していたが、日本は他のアジア局に組み入れ、中国だけ独立の局としている。ここまで重視してきた中国ではあるが、中国の方は韓国を重要視しているようにはとても思えない。片思い外交の典型だろう。

文政権の外交失敗の根本原因は北朝鮮への過度な融和姿勢

 結論的にいって、韓国の外交は理念に立脚するでもなく、国益に対する明確なビジョンもなく、ただ迷走するか、何もしないかだけである。あるのは北朝鮮と融和を図りたいとの一点のみ。このために、韓国の外交は各国から批判され無視されている。  

 故盧武鉉元大統領も北朝鮮との融和には熱心であったが、中東に韓国軍を派遣するなど、国際協力にも務めた。しかし、文大統領は北朝鮮との融和を図りたいがために米国との同盟関係を危うくし、中ロに寄り添い、日本とは歴史問題で決定的に対立している。

 北朝鮮の非核化は、世界の課題だ。そのため、遠く英仏も北朝鮮の瀬取り対策に協力している。しかし、韓国にはこれを見逃がそうとしている疑いがある。フランスのマクロン大統領との会談では、文大統領は北朝鮮の非核化意思を誇張し、制裁の緩和への協力を求めた。

 世界共通の課題に、当事国である韓国が背を向けるのであれば、韓国の外交の出番はない。今回のG20は、このことを実証することになるだろう。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)

 https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%e6%96%87%e5%9c%a8%e5%af%85%e5%a4%a7%e7%b5%b1%e9%a0%98%e3%81%ae%e3%80%8c%e5%a4%96%e4%ba%a4%e5%b4%a9%e5%a3%8a%e3%80%8d%e3%81%8cg20%e3%81%a7%e9%9c%b2%e8%a6%8b%e3%81%99%e3%82%8b%e3%80%81%e5%85%83%e9%a7%90%e9%9f%93%e5%a4%a7%e4%bd%bf%e3%81%8c%e8%a7%a3%e8%aa%ac/ar-AACQb2b#page=2
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