感情とどう向き合うのかは人生の重要なテーマのひとつだろう。
感情的になってしまう。哀しみ、喜び、怒り、といったものから、抑鬱、嫉妬、怨恨、性欲など、様々な感情に侵されてしまうのは生きている以上仕方がない。
でも、「人間は感情の動物だから」といって、時々感情的に暴発することを、弁解のように許容する人がいい歳になってもいる。
こういう発言をする人は、おしなべて「バカ」なのだが、感情が暴発した結果、犯罪に走ることさえも許容しかねない怖さがある。
人間は、感情の動物であると同時に、理性の動物でもある。つまり感情をコントロールする能力を備えている。だが、頭が悪い人間は、その能力が低いため、感情をコントロールすることができずに、常に不安だったり、愚痴を言っていたり、ヒステリーを起こしていたりする。
では感情を理性でコントロールするとはどういうことだろう。
怒りや哀しみといった感情は、ほとんどは何かきっかけになる原因がある。
嫌なことを言われた、仕事がうまく行っていない、楽しみにしていた予定を潰された、といったことから、経済情勢により将来の漠然とした不安や、子供の素行や進路の不安など、いろんなことがある。
そういうのが積もり積もると、「漠然とした不安」に襲われてしまう。
「漠然とした不安」が被害者感情に転化してくると、「自分ばかりが我慢している」「自分ばかりが不幸な目にあっている」などといった不公平感に苛まれ、それが他人への怨恨となる。
そうなった時は結構な末期症状で、常に不安と不満を抱えながら日々を過ごすこととなり、行き過ぎると鬱病などの精神疾患に侵される。
だが、ここで立ち止まって考えてみれば良いのだ。
まずは漠然とした不安を抱えているなら、「今、直近で何が問題なのか」をまず考えてみるのだ。そうすると、例えば、仕事の進捗が遅延していて納期に間に合いそうにない、だとか、飲み会の幹事をしなければならないのだがやり方がわからない、だとか、夫婦喧嘩の最中で妻または夫とギクシャクしていて家で心が休まらないだとか、案外と他愛もないことだったりする。なかには、電気料金をまだ支払っていなくてずっと心に引っかかっている、だとか、そんな下らないことまである。
問題は複合的なので、それ以外にもいろいろあるだろうが、まずは今すぐやらなければならない問題をチョイスしてみる。
チョイスしたら、じゃあそれを取り除くにはどうすれば良いかを努めて合理的に考えてみる。この、努めて合理的ってところが大事で、ここで考えることに感情的なものが入ってしまうとこれまた先へ進まずループしてしまうので、感情的なものは一切廃して考える必要がある。
例えば、「仕事の進捗が遅延していて納期に間に合いそうにない」を考えてみよう。
何故、進捗が遅れているか？いくつか原因があると思う
�ー�分が無能で納期に間に合うほどの生産性がない
�∈邏箸魄兮�した会社が納期通りに納品してくれない
�５劼�らの質問の回答がなく、次へ進めない
�い修發修眩澗療�に遅れているため、自分がいくら頑張ったところで意味がない
などなど。
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自分がその仕事をできないことを素直にみとめ、誰かできそうな人に代わってもらうように調整してみる。ここで重要なのが、「できない」といってしまうのはプライドに傷がつくので言えない、と思うことである。また、仮に能力の高いできる人がいたとして、そいつが自分が凄く気に食わない奴だったとしても、素直にその人に頼むことである。感情的なものを排除して考えなければならない。
そのようにして、着実に１つずつ原因を潰していくと、完全にはならないにせよ、かなり不安が取り除けて、感情も安定してくる。
このように、心の不安というものは、物理的に解消していくことが可能なのだ。
なのに、昨今の人は、そういう時代だからなのか、メンタルの問題をメンタルでしか捉えずに、どんどん深みにはまっていき挙句に精神疾患になる人が多いのではないだろうか。
感情的に落ち込んでいる人の悩みを聞いていると、愚痴しか出てこずに、前向きに解決していくという意向がみえてこず、聞いていて嫌になることが多々ある。
他人に相談するにせよ、「漠然と不安です」では丸投げもいいところである。もちろん、解決策が欲しいのではなく、ただ聞いて欲しい時もある。僕にもそういう時があるが、そんなときは、「ただストレス発散のために聞いて欲しいだけなんですけどね」という前置きを必ずつける。
もし、本気で解決したいならば、ギリギリまで思考し、「これについてこのようにしてほしい」と具体的なお願い事まで落としてから相談しなければ、相談される側も何もできないだろう。
そうやって感情に支配される人はどんどん落ち込んでいくのではないだろうか？したがって、感情をコントロールできない人は「バカ」なのである。
また別の見方をすれば、「健全な精神は健全な肉体に宿る」ということもある。
体が不健康な状態だと、どうしても心もいつも不安定になってしまう。
もちろん、治癒の難しい持病を抱えている人などは仕方ないところもあると思うのだが、そうでない人は、体を鍛えて体力をつけていくことで、ある程度心に安定が保てるのは本当だと思う。
仕事や家事、育児などでも、すぐに疲れてしまう体力のない人は、すぐに心もやられてしまう。体力があり、激務をこなしながら家のことも子育てもやりつつ（男女問わず）、貴重な休日などは寝ていないで自分の趣味などをやれる人は、心も安定している。
やらなきゃならないことがあるのに、やりきれていない状況というのも、またストレスの原因であり、心が不安定になる原因でもあるので、疲れ知らずで、やるべきことを全てやりきる体力のある人は、そのての不安に陥ることが避けられるのだ。
体力もそうだし、あとは技術もそうだ。
仕事でも家事でも、その仕事に対する技術がある人ほど、不安は緩和される。
例えば、ある仕事をやらなければならない、となった時に、技術がある人は、その仕事の質と量がどれほどで、どれだけの時間でこなせる、といったことが計算できるため、先々の予測が立てやすい。先々の予測がたてば、日々の生活の予定も立てやすく、かなり心も安定してくるだろう。
仮に途中、トラブルが発生し予定外のことが起こったとしても、技術を持っていれば建て直しもしやすく、動じることも少ない。
要は、不安というのは先々の見通しに関するものが多いため、確度の高い見通しが立てられる人ほど、不安は緩和されるということだ。
このように、メンタルのことというのは、フィジカルで解決することがかなりの割合で可能なのである。だから、合理的に考え結論がでたらそれを実践していくことが大事なのである。
こういう時にする努力というのは、無駄な努力ではなく、真に必要な努力といえよう。
結局、その積み重ねが人間を作っていくわけで、歳をとれば心も安定してくるというのは、そういうことが年月とともに積み重ねられてきた証左ということになるのだろう。
人間関係における感情のコントロールという面はどうだろうか。
感情を害する要因として、人間関係というのは大きな比重を占める。
一緒にいるだけでストレスを感じる人を昨今は「ストレッサー」と呼ぶそうだが、そのストレッサーが職場にいると配置換えなどを考慮してくれるというありがたいシステムも導入されているところがあるそうだ。
だが、「一緒にいるだけでストレスを感じる」というのは、非常に主観的でありまたストレスの度合いもどの程度かという定義も曖昧なので、いくらでも逃げ道を作れてしまう恐ろしいシステムでもある。
そもそも、他人と一緒にいること自体に一種のストレスが発生するものだし、その人と考え方や性格などが違ったりして必ず意見が衝突するような人だったら、そりゃ毎日ストレスであろう。
あからさまなハラスメント（この言葉あまり好きではないが）などを受けているなら別として、「その人がいることによってストレスを感じる」から配置換え、と言っていたら極端な話、死ぬまで配置換えを繰り返すしかなくなる。
人間関係も、結局合理的に思考していくしかないのではないだろうか。
仮に、生理的に物凄く受け付けないような嫌な奴と一緒に仕事をすることになったとする。
その場合、その人のことを好きになろうと努力する必要など全くなくて、仕事でどの部分を共有していくかというのを完全に割り切って考え、それ以外はいないものとして考えれば良い。
ちょっかいを出してくるような人だったら、それについては毅然と拒否すれば良いわけで、やるべき仕事をお互いにきちんとやれば、文句も言われる筋合いもなく、そこを理路整然と言えばよい。
そうはいいつつもなかなかうまくもいかないとは思うが、自分が毅然とした態度をしていれば、内心相手がこちらをムカついていようがちょっかいを出されることはまずない。それを超えて嫌がらせをしてくるような人は、もはや違法レベルなのでまた別の対処法になってくるが。
陰口を叩かれていようが、嫌われていようが、自分の目や耳にさえ入ってこなければそれでいいのである。なので、「あいつ俺の陰口言っているかもしれないな・・どうしよう・・」なんて悩んではならない。
こういうのを昨今はスルースキルというそうだが、スルースキルは人間関係を保つ上で、最も重要なスキルだろう。
それよりも、その人によって、どの程度の不利益を蒙るかを冷静に見極めて、不利益を蒙る部分を１つずつ除外していけばよい。
陰口叩かれていたとしても、自分が仕事をきちんとやっていれば、評価は下がることはないので、その人が陰口を言ったりすることをやめさせようとするよりも、仕事をしっかりとこなすことにエネルギーを注いだほうが有益であろう。
よく、こういうのを「自分ばかりが我慢している」と不満に思い、ストレスを溜める奴もいるけど、これも感情がコントロールできない「バカ」の部類だろう。
我慢というのは、お互いが多かれ少なかれやっているもので、「我慢している」なんて思い込むことこそが愚の骨頂である。
多少の我慢をしても、トータルで自分が日々すごしやすいようにする。こういう総合的な計算をしながら生きていかないと、常に不満・不満・不満で、不満ばかりの毎日を過ごすことになる。
それで、被害者感情と、他人への羨望を抱きながら、心の不健全な毎日を送る。
まあバカは100倍損した生き方しかできないわな。
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