日本人は、「愛してる」とは現実には言わない。
映画や小説やTVなどの仮想空間だけで使われる言葉だ。
あなたは、あなたの両親がお互いに「愛してる」と日常生活で、
言っていたのを聞いた事があるだろうか?
あなたは、あなたのご両親から「愛してる」と日常的に言われて、
育って来ただろうか?
あなたは、子供の頃、あなたのご両親に「愛してる」、
と言った事はあるだろうか?
あなたは、隣近所のおじさんやおばさんが「愛してる」と
言って居るのを聞いた事があるだろうか?
あなたは、あなたの家族との日常生活の中で「愛してる」と言う、
言葉を頻繁に耳にして来ただろうか?
言葉は、日常生活の中で使われて居るのを、
聞いて覚える。
そして自分もその言葉を使う。
母親が子供にやさしく話しかける言葉、
母親が子供を叱る時に使う言葉、
母親が子供の前で怒り狂う時に使う言葉、
両親が喧嘩する時に使う言葉、
等々我々は、言葉の多くを両親から学ぶ。
我々普通の日本人の家庭では、
「愛してる」とは言わない。
拠って、一般的な日本人ならば、
「愛してる」と言う台詞を生まれてから、
現実の生活の中では今迄聞いた事が無い筈だ。
数日前、私の姉が他界した。
彼女は、不器用で一途な性格だったが、
彼女の夫を心の底から好きだった様だ。
そんな彼女が亡くなる、2〜3日前に彼女の夫にこう言ったそうだ・・・
「〇〇さん、愛してる、愛してる、愛してる」と。
(註:〇〇さんは、彼女の夫の名前)
それも、先日、6月初旬に救急車で担ぎ込まれて、
意識が朦朧として、余り呂律も回らない状態の時、
突然、目をぱっちりと明け、そして、
はっきりと言ったそうだ・・・
「〇〇さん、愛してる、愛してる、愛してる」と。
告別式の時、彼女の夫(私の義理の兄)は、
彼女の棺(ひつぎ)に向かい、
泣きながら、彼女に別れを告げた。
慟哭に近い魂の叫びだった。
私は、人の死をあれほど惜しむのを初めて見た。
そして、
「愛してる」と言う言葉を自然に使う情景を初めて知った。
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