mixiユーザー(id:179961)

2018年09月16日19:47

611 view

歴史秘話ヒストリア 同性愛とトランスジェンダー今昔

この間放映された、歴史秘話ヒストリア
「生きた、愛した、ありのまま〜さまざまな心と体の物語〜」
があまりにも面白かったのでメモ。

内容としては、万葉の昔から江戸時代、近代まで連綿と繰り広げられた同性の(主に男の)愛の歴史、異性装、トランスジェンダーの記録などを追ったもの。
権力と同性愛関係が絡んだことによる政府の衰退、武士の台頭などにも触れていて大変興味深い内容だった。
下半身事情は歴史をも動かす。

奈良の都で交わされた男同士の和歌や、武将が恋人(もちろん男だ)にあてた恋文なども紹介されていた。
独眼竜正宗が多くの男性の恋人がいたというのは知っていたのだが、誓いを立てるために
ラブレターに血判を押し、それがため体中が傷だらけだったというのはなかなかの驚きだった。
劇場型というか、激情型というか。

井原西鶴が著した元祖BL小説
「男色大鑑(なんしょくおほかがみ)」
が、世俗的な欲望をあけすけに描く彼のスタイルに似ず、究極の純愛を描いたプラトニックラブな内容だったというのもこれまた面白かった。
江戸時代は男同士の恋愛がそれほど見とがめられることはなかったようだが、それでも
男女の恋愛よりは色々と制約もあり、それが心ひとつで障壁を乗り越えんとするプラトニックな恋愛を描きやすい土壌になるのかもしれないと思った。
(これは今のBL作品にも通じるところがある)
コミカライズされているのが一部映されており、読んでみたくなってしまった。

と、これこのように男性同士の恋愛に関しては文献、手紙、和歌などの資料も多く、いろいろな考察がよくなされていたのだが、気になるのは女性同士の恋愛事情だ。
絶対あったはずだと思うのだが、文献にはほとんど残っていないとのこと。
あるのは、女性同士で心中したとか事件性のあるものばかり。
というのも、当時記録を残していたのは男性が主であったため、男性目線からの記録になってしまってなかなかそこに触れられることがなかったからなのだとか。

江戸時代においてトランスジェンダー(体は女性、心は男性)として生まれてきた竹次郎という人の取り上げられ方も疑問が残った。
彼女は自分が女の姿をしていることが耐え切れず、ある時から髷を結って男装を始め、
男性として働き、周りの女性たちから人気を博したそうだ。
(女性とは気づかれず、美形男性としての人気)

しかし一緒に働く男性に女性であることを気づかれ、脅迫されて仕方なく体の関係を持ち、身ごもってしまう。
子供を産み落とした竹次郎に周りの目は一気に冷たくなり、食い詰めた竹次郎は盗みを働き幕府につかまる。
禁固と男装の禁止を言い渡されたが、何度捕まっても彼女は男装を辞めず、遂には島流しの刑に処される。
だが、流された先の島で竹次郎は鍛冶職人として働いた記録が残っている。
鍛冶は女子禁制の職、竹次郎は最後まで男として生き、自分らしく生きたと思われる…

って話なんだけど…いや、ちょっと聞けばいい話なんですけどね、
ここは本当に引っかかった。
江戸時代は確か、文化風俗として異性装は比較的受け入れられていた気がする。
遊女が男装したり、歌舞伎の女形や稚児の女装だって昔からあった。
一市民の男装を政府が禁止とかありえるかなぁ???
男尊女卑の世だから、女性が上位の存在である男性の風体をなすことは許されないという意識だったのかもしれないが、それにしてもなぁ…

どこか妙な明るさのある男性の同性愛の扱いに比べ、女性の同性愛の取り上げられ方は
悲しさというか暗さがつきまとい、歴史における女性の同性愛の扱われ方がいかようで
あったのかが察せられてちょっとがっかりとした。

とはいえ面白い内容であったことには変わりない。
NHKって時々こういう大当たりがあるから侮れない。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年09月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30