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2018年03月28日17:26
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桜 さくら SAKURA2018
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山種美術館で開催中の『桜 さくら SAKURA2018 』に行きました。
桜 さくら SAKURA2018公式HP↓
http://
チケットは毎度お馴染み新聞屋さんからの貰い物。新聞屋さん、いつもいつも有難う。
今回、第２会場を夜桜の絵ばかり集める仕様にしていたのですが、これがとても良かった！照明を通常のところより若干暗くしてあり、本当に目の前に神秘的な夜桜が現れたようでした。寂しげな御舟の夜桜、少しおどろで妖しげな千住博の夜桜、吸い込まれそうな加山又造の夜桜、全て美しかった。やはり、桜は夜が似合う。夜の桜は得体のしれない力を帯びる。
山種の桜展。６年ぶりだそうです。前回の桜展にも行ってるな。図録持ってるし。おそらく私の日記を遡ると、レポが出てくる。
桜をめでるのは平安から始まる。花見は中国から入って来た文化なので、本来は梅で、平安初期くらいまでは梅が主流だったんだケドね。武士文化になり、派手に咲き派手に散る桜が好まれたとものの本で読んだケド、真意はどうなのだろうか？
今回、速水御舟の写生が結構展示してあり、これが楽しかったな。
御舟は昭和４年４月から１か月京都から紀州方面へ約１か月旅に出た。円山公園の桜（祇園の桜）、勝持寺（西行桜）、道成寺（入相桜）等を写生した。桜と椿の対比の屏風の構想があったが、桜は制作しなかったんだそうな。何でだろう？あまり良い構図が出なかったとか？御舟の桜の屏風。ちょっと見てみたかった。でも写生は残った。ほぼ墨で描かれている。私は、『月輪寺時雨桜 (写生2)』が風に耐える桜の枯れ木（冬の木）って感じで好きだったな。どれも寂しい感じで花は描かれていない。『月輪寺時雨桜(写生5)』は、ちょっと彩色してあったけど。
御舟の道成寺入相桜の写生も数点出ていた。写生３は、濃い目の墨と薄墨のコントラストが美しく、溶けていくようで綺麗だったな。
石田武 『月宵』私、どうやら、石田氏の絵が好みらしい。どうも目が留まる。夜桜の絵なのだろう。青鼠色の空が、丁度私がその時履いていたスカートの色のようで（笑）。左に月。全面に桜の白桃色。けぶる様な細かい花びら。上にピンって出てる桜の枝が、アホ毛のようで好きだった。
奥村土牛『吉野』桃色の桜霞に包まれたような緑の山々。左に桜。花びらは分かるように描かれているも、下半分は霞状態。後ろに青い山があり幻想的だ。88歳の時の作品。土牛はずっと吉野山の桜が観たかったらしく“吉野をやっと観た”と言い、“華やかと言うよりも気高く寂しい山である”と言っている。
石田武『千鳥ヶ淵』前もこの絵について書いた。私、やはり石田氏の絵、好きなのだな。瑠璃色の水。そこに白い桜。水面は少し波打っている。今回新たに気になったところ。中央右寄りに影があり泡立ってるように見えるのだが…あれは何？千鳥ヶ淵の主？（鯉か何かだとは思うが）
奥田元宋『奥入瀬（春）』写実的に描かれた渓谷。急流の激しい水しぶき。この強い水しぶきが、まず目に入る。岩のゴリゴリ感も凄いある。右に木。白い花も咲く。左上に目をやると山桜。左は深い緑の森。西洋画みたいだな…って思うんだケド。元宋は大作に取り組むのは80歳までが限界とし、毎年１点大作を描いていたらしい。これは75歳の作品。奥入瀬（秋）から４年後の作品だそうな。秋とほぼ同寸で、秋とは流れを逆向きにし、対称的な構図にした。繋ぎ目があるので、紙を３枚繋いでいるのも分かる。
同じく元宋『湖畔春耀』。パッと見、紅葉の中に桜の花があるように見える。上の森は緑色。手前には赤茶の葉の木々。後ろに藤色の森影。金色の空。水面に木々も映る。早春の十和田湖の湖畔の情景が“古代裂（きれ）”を見るような微妙な色の階調だったらしい。十和田湖の厳しさと優しさが同居する。絵がキラキラ光るのだけど、銀粉なのかな？でも、銀粉ってこんなに光る？綺羅？
土田麦僊『大原女』これのみ写真撮影OKだった。
確かに桜も綺麗だけど、みどころはすっきり単純化された線で描かれた大原女の顔と、水車小屋の小鳥だと思う。いや、可愛いんだよ。大原女は頭に荷を載せ運ぶ。手前に桜があり、大原女に被るように掛かっている。竹もアクセントになってるね。桜の花びらが妙にデカイんだけど、これはわざとだろう。桜の花びらは胡粉が盛り上げてあるのだが、盛り上げ胡粉による桜の表現は桃山絵画の影響らしい。大原女はセザンヌやルノワールを意識して描かれてると解説にあるのだが、セザンヌは何となく分かるも、どの辺りがルノワールなんだろう？とちょっと思う。大原女の体がポチャ系なところ？
守屋多々志『聴花(式子内親王）』左に御所車。右に桜の下に佇む式子内親王。傍には扇が落ちている。桜は墨色と黄＋墨みたいな色で美しくはないんだ。でも、だからこそ、それと対照的に内親王の純白の着物が美しく見える。良く観ると、まぁ、着物の柄の細かいこと！柄は金で描いた上に白い線を引いているのかな？“内親王が詠んだ花は既に過ぎ去ってしまった花の残像であり心の中の花。なので、薄墨桜と鬱金桜を選んで描いた”と守屋氏は言っている。なるほど、そういう意図なのか。でも、それで内親王の美しさが際立つんだよね。因みに私は、桜の花はあまり好きではないけれど、鬱金桜は好きなんだ。
菊池契月『桜狩』江戸期（よね？）の若衆が黒馬を引く。でも、この馬、めっちゃ顔が嫌がってる（笑）。馬の鞍に桜の枝がさしてある。桜狩の帰りなのかな？
菱田春草『桜下美人図』私の好きな春草さん。桜の下に美女４人。１人は着物の裾をちょっと上にたくし上げて袖を口元の方に持って行ってる。もう１人はその彼女に話しかけている。話しかけてる彼女は頭に薄絹を被っている。もう１人は左に少し離れ、その２人を振り返っている。 卵色の着物が綺麗。もう１人は右隅で子犬を見ている。瑠璃色の着物の彼女は後ろ姿で顔は見えないが、きっと美女だろう。犬がイタチっぽい顔で可愛いんだよ（笑）。あと、人物も妙に可愛らしい。春草27歳の作品。
鳥居清倍（二代）『初代沢村宗十郎の頼朝と初代山下亀松の亀が谷のお亀』享保18年の作品。見つめ合う宗十郎の頼朝と、亀松のお亀。後ろには桜。頼朝は右手に鈴（かな？）を持ち、纏のような物を担いでいる。彼らが同座するのは享保17年から20年の間。中村座の顔見世『梛ノ葉旭源氏』の頼朝らしい。
堂本印象『桜』私、気に入って暫く観ていたが、大作揃いのこの中では地味で見飛ばされてしまいそうな作品。さっくり描いてある絵なんだケド。桜の下に篭（？）が吊るしてある。傍には犬が伏せのポーズで振り返る。その先に主人がいるのかな？何か妙にほっこりする絵だった。
菊池芳文『花鳥十二ヶ月』 画帖のようになってた記憶。桜も凄いが、その横の雉が上手くて吃驚したって言う(^_^;)。写実的に描いてあった。桜は３月。雉は４月だそうな。
小林古径『桜花』桜の赤紅の葉。金がスッと入ってるのがアクセント。白い桜の花もある。
ここから前述もした夜桜コーナー。このコーナーが良くて、暫くいた。
速水御舟『夜桜』薄墨の背景に灰白の桜。幻想的で寂しげで。御舟には地蔵院の散椿と愛宕山の桜を対比して描く構想があったらしい。最終的には名樹散椿のみ完成するが、桜は描かれなかった。観たかったな…。でも、前述もしたが、そのおかげで桜の写生や本画は多く残されたんだね。
同じく御舟『あけぼの ･春の宵のうち「春の宵」』墨色の背景に白い桜。右上に細い三日月。花も散り何処か耽美的。御舟は幻想絵など描いたつもりはないだろうケド、どうにも私の目には幻想的に映り、エロスとタナトスを同時に持っている絵に観える。ようは耽美的に。何故だろう？ずっと不思議だ。内面にそういうものを宿していたのだろうか？
川��小虎『山桜に雀』軸の中央に月。下の枝には寝る雀が２羽。目を瞑ってる雀が激可愛い。横のお姉さんが「雀って、ちゅんちゅん元気に動いてる姿（の絵）は良く見るケド、眠ってるのって珍しくない？」と言っていた。確かに。元気に動いてる方が可愛いもんな。でも、小虎さんには、眠ってる雀が可愛く見えたのかも。
加山又造『夜桜』私が好きな又造さん。ニューオータニ美術館の又造展も行ったっけなぁ（日記を遡るとレポが出てくる）。白くけぶる大きな桜。威厳があり神秘的。右に月。月は金の雲に隠れている。花びらが細かくてねぇ〜。吸い込まれそうになるんだよ。桜の魔力だね。
稗田一穂『朧春』 水面に映る月が水面にめり込んでいるように見える。右に桜の木。大振りの八重桜が咲く。後ろは黒い山と宵闇だ。
石田武『春宵』『吉野』と同じような青鼠色の空（でも、微妙〜に色は違う）。左に月。全面に桜が白く浮かぶ。吉野よりフランクさがあるような気もする。
千住博『夜桜』これが締めの絵となっていた。黒い背景に濃い桃色の桜。妖しげである。木の幹も黒く、少しおどろっぽい。左下にうっすら細い三日月も見える。千住氏は“日本の美、それは世界の誰から見ても美しいものだ 日本人だけにわかるものなど存在しない”と言い、“日本の美を探るなかで日本人が感じてきた普遍の性のなかに、今の世界が忘れている何かがあるかも知れない”と言っている。“それを示すことが真のインターナショナル”とも。
夜桜コーナーが本当にとても良かった。桜と言っても、描き方も様々だし、どう捉えるかもその作家によって様々。そして「日本人、本当に桜好きな！」と（笑）。
お土産はポストカード５枚。でも、後500円足すと図録が買える。でもなぁ、図録は前回の桜展のを買っちゃったから。
５月６日までやっています。
実際の桜見物の帰りに出も寄ってみて、絵の中で桜巡りをするのも一興だと思います。
桜 さくら SAKURA2018公式HP↓
http://
チケットは毎度お馴染み新聞屋さんからの貰い物。新聞屋さん、いつもいつも有難う。
今回、第２会場を夜桜の絵ばかり集める仕様にしていたのですが、これがとても良かった！照明を通常のところより若干暗くしてあり、本当に目の前に神秘的な夜桜が現れたようでした。寂しげな御舟の夜桜、少しおどろで妖しげな千住博の夜桜、吸い込まれそうな加山又造の夜桜、全て美しかった。やはり、桜は夜が似合う。夜の桜は得体のしれない力を帯びる。
山種の桜展。６年ぶりだそうです。前回の桜展にも行ってるな。図録持ってるし。おそらく私の日記を遡ると、レポが出てくる。
桜をめでるのは平安から始まる。花見は中国から入って来た文化なので、本来は梅で、平安初期くらいまでは梅が主流だったんだケドね。武士文化になり、派手に咲き派手に散る桜が好まれたとものの本で読んだケド、真意はどうなのだろうか？
今回、速水御舟の写生が結構展示してあり、これが楽しかったな。
御舟は昭和４年４月から１か月京都から紀州方面へ約１か月旅に出た。円山公園の桜（祇園の桜）、勝持寺（西行桜）、道成寺（入相桜）等を写生した。桜と椿の対比の屏風の構想があったが、桜は制作しなかったんだそうな。何でだろう？あまり良い構図が出なかったとか？御舟の桜の屏風。ちょっと見てみたかった。でも写生は残った。ほぼ墨で描かれている。私は、『月輪寺時雨桜 (写生2)』が風に耐える桜の枯れ木（冬の木）って感じで好きだったな。どれも寂しい感じで花は描かれていない。『月輪寺時雨桜(写生5)』は、ちょっと彩色してあったけど。
御舟の道成寺入相桜の写生も数点出ていた。写生３は、濃い目の墨と薄墨のコントラストが美しく、溶けていくようで綺麗だったな。
石田武 『月宵』私、どうやら、石田氏の絵が好みらしい。どうも目が留まる。夜桜の絵なのだろう。青鼠色の空が、丁度私がその時履いていたスカートの色のようで（笑）。左に月。全面に桜の白桃色。けぶる様な細かい花びら。上にピンって出てる桜の枝が、アホ毛のようで好きだった。
奥村土牛『吉野』桃色の桜霞に包まれたような緑の山々。左に桜。花びらは分かるように描かれているも、下半分は霞状態。後ろに青い山があり幻想的だ。88歳の時の作品。土牛はずっと吉野山の桜が観たかったらしく“吉野をやっと観た”と言い、“華やかと言うよりも気高く寂しい山である”と言っている。
石田武『千鳥ヶ淵』前もこの絵について書いた。私、やはり石田氏の絵、好きなのだな。瑠璃色の水。そこに白い桜。水面は少し波打っている。今回新たに気になったところ。中央右寄りに影があり泡立ってるように見えるのだが…あれは何？千鳥ヶ淵の主？（鯉か何かだとは思うが）
奥田元宋『奥入瀬（春）』写実的に描かれた渓谷。急流の激しい水しぶき。この強い水しぶきが、まず目に入る。岩のゴリゴリ感も凄いある。右に木。白い花も咲く。左上に目をやると山桜。左は深い緑の森。西洋画みたいだな…って思うんだケド。元宋は大作に取り組むのは80歳までが限界とし、毎年１点大作を描いていたらしい。これは75歳の作品。奥入瀬（秋）から４年後の作品だそうな。秋とほぼ同寸で、秋とは流れを逆向きにし、対称的な構図にした。繋ぎ目があるので、紙を３枚繋いでいるのも分かる。
同じく元宋『湖畔春耀』。パッと見、紅葉の中に桜の花があるように見える。上の森は緑色。手前には赤茶の葉の木々。後ろに藤色の森影。金色の空。水面に木々も映る。早春の十和田湖の湖畔の情景が“古代裂（きれ）”を見るような微妙な色の階調だったらしい。十和田湖の厳しさと優しさが同居する。絵がキラキラ光るのだけど、銀粉なのかな？でも、銀粉ってこんなに光る？綺羅？
土田麦僊『大原女』これのみ写真撮影OKだった。
確かに桜も綺麗だけど、みどころはすっきり単純化された線で描かれた大原女の顔と、水車小屋の小鳥だと思う。いや、可愛いんだよ。大原女は頭に荷を載せ運ぶ。手前に桜があり、大原女に被るように掛かっている。竹もアクセントになってるね。桜の花びらが妙にデカイんだけど、これはわざとだろう。桜の花びらは胡粉が盛り上げてあるのだが、盛り上げ胡粉による桜の表現は桃山絵画の影響らしい。大原女はセザンヌやルノワールを意識して描かれてると解説にあるのだが、セザンヌは何となく分かるも、どの辺りがルノワールなんだろう？とちょっと思う。大原女の体がポチャ系なところ？
守屋多々志『聴花(式子内親王）』左に御所車。右に桜の下に佇む式子内親王。傍には扇が落ちている。桜は墨色と黄＋墨みたいな色で美しくはないんだ。でも、だからこそ、それと対照的に内親王の純白の着物が美しく見える。良く観ると、まぁ、着物の柄の細かいこと！柄は金で描いた上に白い線を引いているのかな？“内親王が詠んだ花は既に過ぎ去ってしまった花の残像であり心の中の花。なので、薄墨桜と鬱金桜を選んで描いた”と守屋氏は言っている。なるほど、そういう意図なのか。でも、それで内親王の美しさが際立つんだよね。因みに私は、桜の花はあまり好きではないけれど、鬱金桜は好きなんだ。
菊池契月『桜狩』江戸期（よね？）の若衆が黒馬を引く。でも、この馬、めっちゃ顔が嫌がってる（笑）。馬の鞍に桜の枝がさしてある。桜狩の帰りなのかな？
菱田春草『桜下美人図』私の好きな春草さん。桜の下に美女４人。１人は着物の裾をちょっと上にたくし上げて袖を口元の方に持って行ってる。もう１人はその彼女に話しかけている。話しかけてる彼女は頭に薄絹を被っている。もう１人は左に少し離れ、その２人を振り返っている。 卵色の着物が綺麗。もう１人は右隅で子犬を見ている。瑠璃色の着物の彼女は後ろ姿で顔は見えないが、きっと美女だろう。犬がイタチっぽい顔で可愛いんだよ（笑）。あと、人物も妙に可愛らしい。春草27歳の作品。
鳥居清倍（二代）『初代沢村宗十郎の頼朝と初代山下亀松の亀が谷のお亀』享保18年の作品。見つめ合う宗十郎の頼朝と、亀松のお亀。後ろには桜。頼朝は右手に鈴（かな？）を持ち、纏のような物を担いでいる。彼らが同座するのは享保17年から20年の間。中村座の顔見世『梛ノ葉旭源氏』の頼朝らしい。
堂本印象『桜』私、気に入って暫く観ていたが、大作揃いのこの中では地味で見飛ばされてしまいそうな作品。さっくり描いてある絵なんだケド。桜の下に篭（？）が吊るしてある。傍には犬が伏せのポーズで振り返る。その先に主人がいるのかな？何か妙にほっこりする絵だった。
菊池芳文『花鳥十二ヶ月』 画帖のようになってた記憶。桜も凄いが、その横の雉が上手くて吃驚したって言う(^_^;)。写実的に描いてあった。桜は３月。雉は４月だそうな。
小林古径『桜花』桜の赤紅の葉。金がスッと入ってるのがアクセント。白い桜の花もある。
ここから前述もした夜桜コーナー。このコーナーが良くて、暫くいた。
速水御舟『夜桜』薄墨の背景に灰白の桜。幻想的で寂しげで。御舟には地蔵院の散椿と愛宕山の桜を対比して描く構想があったらしい。最終的には名樹散椿のみ完成するが、桜は描かれなかった。観たかったな…。でも、前述もしたが、そのおかげで桜の写生や本画は多く残されたんだね。
同じく御舟『あけぼの ･春の宵のうち「春の宵」』墨色の背景に白い桜。右上に細い三日月。花も散り何処か耽美的。御舟は幻想絵など描いたつもりはないだろうケド、どうにも私の目には幻想的に映り、エロスとタナトスを同時に持っている絵に観える。ようは耽美的に。何故だろう？ずっと不思議だ。内面にそういうものを宿していたのだろうか？
川��小虎『山桜に雀』軸の中央に月。下の枝には寝る雀が２羽。目を瞑ってる雀が激可愛い。横のお姉さんが「雀って、ちゅんちゅん元気に動いてる姿（の絵）は良く見るケド、眠ってるのって珍しくない？」と言っていた。確かに。元気に動いてる方が可愛いもんな。でも、小虎さんには、眠ってる雀が可愛く見えたのかも。
加山又造『夜桜』私が好きな又造さん。ニューオータニ美術館の又造展も行ったっけなぁ（日記を遡るとレポが出てくる）。白くけぶる大きな桜。威厳があり神秘的。右に月。月は金の雲に隠れている。花びらが細かくてねぇ〜。吸い込まれそうになるんだよ。桜の魔力だね。
稗田一穂『朧春』 水面に映る月が水面にめり込んでいるように見える。右に桜の木。大振りの八重桜が咲く。後ろは黒い山と宵闇だ。
石田武『春宵』『吉野』と同じような青鼠色の空（でも、微妙〜に色は違う）。左に月。全面に桜が白く浮かぶ。吉野よりフランクさがあるような気もする。
千住博『夜桜』これが締めの絵となっていた。黒い背景に濃い桃色の桜。妖しげである。木の幹も黒く、少しおどろっぽい。左下にうっすら細い三日月も見える。千住氏は“日本の美、それは世界の誰から見ても美しいものだ 日本人だけにわかるものなど存在しない”と言い、“日本の美を探るなかで日本人が感じてきた普遍の性のなかに、今の世界が忘れている何かがあるかも知れない”と言っている。“それを示すことが真のインターナショナル”とも。
夜桜コーナーが本当にとても良かった。桜と言っても、描き方も様々だし、どう捉えるかもその作家によって様々。そして「日本人、本当に桜好きな！」と（笑）。
お土産はポストカード５枚。でも、後500円足すと図録が買える。でもなぁ、図録は前回の桜展のを買っちゃったから。
５月６日までやっています。
実際の桜見物の帰りに出も寄ってみて、絵の中で桜巡りをするのも一興だと思います。
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