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2017年09月01日17:35

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美術の秋限定TOP画像第1段 バトーニ『聖家族』

毎年、美術の秋限定TOP画像、第1段。
今回は、ポンペオ・ジローラモ・バトーニの《聖家族》。エルミタージュ美術館にあり、先ごろ行われた、大エルミタージュ展でも展示されていたモノ。

これをトップ画像にしたら、何だか既に、クリスマスのようになってしまったがな。

バトーニは、18世紀の画家で、イタリア最後のオールドマスターと呼ばれた画家なんだそうな。順当に真面目に描いている印象。
でも、マリアちゃんの旦那さんであるヨセフが、何か、ジロリって感じでマリア様とイエス(聖母子)を見ているのがツボ。本を読んでて、手をとめて、マリアを見てるんだろうけど、何故に険しい顔なのだ。あ、あれか!「マリアの横にいる、知らねえ子供は誰なんだ?」ってコトか?(笑)。そのヨセフは知らねえであろう子供が持っている杖は葦の杖。そう、洗礼者ヨハネですね。

これ、パターンなんだよね。聖家族を描く時、何故か、子供の洗礼者ヨハネも入れちゃうって言うの。ある種西洋宗教画のパターン。
本当はね、これ、嘘なんですよ。洗礼者ヨハネとキリストは従兄弟なのだが、大人になってから出会うんです。だから、この構図は本当はありえないの。でも、美少年がいたら華やかで良いじゃん!絵的にオイシイじゃん!という理由から(なのか?)、こういう構図に。

キリストに手を差し伸べているのは、マリアの母のアンナね。

洗礼者ヨハネは、キリストを洗礼して、ユダヤ教徒にするのでも有名だし、ヘロデの娘サロメちゃんがご褒美として貰う生首としても有名。おそらく世の中で1番、生首で有名なの、この人なんじゃなかろうか?・・・・なんだよ、生首で有名って!でも、この人が、ぶっちぎりで生首として描かれてるとは思うよ。

この頃は、まだ、子供だから、まさか自分が、「旦那死んだからって、その旦那の弟と結婚するのって、どうなのかな?ヘロデアさん、それ不謹慎じゃね?」と言った結果、怒ったヘロデアに捕らえられ、斬首されて、自分の首が、そのヘロデアの娘サロメの贈り物になるとは思わなかったろうな。ヨハネな。

因みに。オスカー・ワイルドの戯曲の方が有名になってしまったので、サロメが自分から洗礼者ヨハネの首を欲しがった・・・みたいになってますが、聖書だと、これ、ヘロデアの入れ知恵です。ヘロデアがサロメにそう言うの。「ヘロデ王(ヘロデアの旦那。サロメの義父)の前でダンスして、その後、ヨハネの首が欲しいって、王に言いなさい。」って、母親が進言するんだよ。スゲエ母親でしょ?で、それを実行しちゃう、サロメのちょっとどうかと思うほどの純粋さ。
これを、思いっきり耽美にして、自分から首を欲しがる妖艶な美女にしたのが、オスカー・ワイルドのサロメ。ビアズリーの耽美な挿絵でもお馴染み。
生首に接吻する美女って良いよね。美男・美女だから良いのか(笑)。

でもサ。本当に美形だったんだろうか、ヨハネ。何か洗礼者ヨハネって、大抵イケメンに描かれません?イケメンの方が観てて良いだろう・・・ってコトなんだろうけど、本当に美形だったのかな?
因みに、キリストは、そこそこイケメンだったっぽいよ、本当に(笑)。

まだ。子供のキリストとヨハネ。でも彼らには大いなる受難が待っている。でも、この聖家族は、まだ、そんなコトは知らず、マリアも穏やかで優しそうにイエスを抱きかかえ、ヨハネを迎え入れている。
受難を思うと、キリストに精一杯手を伸ばすアンナが、少し切なく見えてくるよね。「孫を手放したくない!」みたいな感じでね。

本物を観てますが、本物も凄く美しかったですよ。
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