ある時、山の奥の田舎からお客が来て、泊まる事になりました。
あるじは家の者に風呂
を用意させ、お客に風呂を進めました。
お客は、よその家で風呂に入るのは初めてです。
「では、お先にいただきます」
「どうぞ、ごゆっくり」
ところがお客は風呂場に入ってから、小一時間たっても出てきません。
あるじは心配になって、風呂場の入口まで足を運びました。
中からお湯を使っている音がします。よほど、風呂
の好きなお客とみえます。その客に、
(はやく、あがりなさい)と、言うのも悪いので、あるじは声をかけました。
「どうぞ、ごゆっくり」
するとお客はお客で、風呂
というものは『ゆっくり入っていないと、悪いのではないか』と勘違いして、
「へい、ゆっくりと、いただきますだ」と、答えました。
あるじはお客の返事にひとまず安心して、座敷にもどりました。
けれどまたしばらくたっても、お客は風呂からあがりません。あるじはふたたび風呂場に足を運んで、
「どうぞ、ごゆっくり」と、声をかけました。お客はそれを真に受けて、
「へい、ゆっくりいただいておりますだ」と、答え、なおもしんぼうをかさねました。
あるじがまた安心して座敷にもどると、しばらくしてお客が
エビのように赤くなって風呂から出てきました。足元がふらついています。
「風呂はごちそうというが、ごゆっくり、ごゆっくりとむりじいさせられるのは、なんともつらいもんじゃ。ふ―――っ、もうだめだ
」
ぱったり、倒れてしまいました。
ちよんちゃん
( ̄ー ̄)教訓
ええカッコシ―のヤツは、たいていこのパタ―ンにオチイルモンミ
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