■菅、前川氏がバトル＝次官辞任経緯めぐり
(時事通信社 - 06月06日 19:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=4608071
なんかこのニュースにぶら下がっている
つぶやきの一発目が知り合いの知り合いで
随分と長々と口汚くレスバトルをしていらっしゃる。
まぁ、つくづくあの界隈はバカばっかりだなぁ
（「老獪で議論功者な知識人」なセルフイメージで
内実は脊髄反射で顔真っ赤にしてしまうレスバトラーって
非常にオモロ悲しくて面白い）、と
思うが、それはそれ。
こんな脊髄反射の罵り合いにも実は見るべき箇所も
あり。
「では、何が問題であるか？」
をゆっくりと考察してみよう。
「だからさ、獣医学部の設立自体とか特区の設立
それ自体が論点ではないでしょ。
問われているのは、許認可プロセスの
妥当性と正当性っていう、法治国家の
行政システムの根幹に係る話でしょ」
というのが件のレスバトルの発端であるが、
これ自体は確かに論旨として正しい。
「誰がどんな理由で、何故そこにそれを設置する事を決めてん？」
という問いだ。
だがしかし。
問題はこれが「国家戦略特区」に関わっている、という点。
これ、別に「より質の良い教育を普及させる為に
特別区を設けよう、というものでは無い。
まずここで引っかかっちゃう人達が出る
（疑問例:「何故加計学園なのか？」が代表例だが
ヴァリエが付くと「何故系列学園が低偏差値の加計なのか？」
とかになる）。
実はここは個人的には問題だよなぁ、とも思う処では
あるのだが、ここ（よりよい質の教育の実現）に決まりは
「別に無い」のだ,国家戦略特区には。
以下はwikiより引用。
（URL:
https://ja.wikipedia.org/wiki/国家戦略特別区域)
--------------------------------------------------------
国家戦略特別区域（こっかせんりゃくとくべつくいき）とは、
日本経済再生本部からの提案を受け、第2次安倍内閣が
成長戦略の柱の一つとして掲げ、国家戦略特別区域法2条で
地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特区である。
国家戦略特区（こっかせんりゃくとっく）と略される。
--------------------------------------------------------
引用以上。
つまり、そもそもが「産業競争対策」の振興策であり、
別にその観点から見れば「大学が誘致されて過疎って
死にかけている地方都市が潤って万々歳」と云う
今治市の構想は別に何の問題も無い話。
問題があるとすれば国家戦略特区には
「通常のルーティンを全てスキップ」して
決定が出来る、という裁量権の拡大と
その妥当性の審級、なのだが、これは
はっきり云って前川が「乱暴な意思決定」と
駄々をこねていた「旧既得権益を死守したい層」が
喜ぶだけなので、ここではスキップしたい（笑）。
個人的には国家戦略特区は歓迎すべき、と
考えているのでね。ただ、当然ではあるが、
そういった「特区指定に利益誘導の見返り」という
昭和の土建屋政治のような贈収賄だのが
あったら話しは別。結論を先に言っておくと
「安倍晋三が利益誘導をした結果として
何某かの見返りを得ていた証拠」が
「疑惑」を追求したい野党やマスコミには
絶対に必須で、それを用意出来もしないで
「疑惑があるんだから、自分で調べろ。証拠は
自分で探せ」なんて言い草は無能な怠け者の
バカでしかないので、現在の加計問題への
追求には嘲笑しか浮かべていないんだけどね。
結論を先に書いてしまった。
閑話休題。
さて、今回盛んに取り沙汰されている
加計問題で、綺麗に忘れ去られている
勢力がある。
当の特区のお膝元、愛媛県と今治市だ。
数日前の日記にも引用したので、再利用は気が引けるが
よくまとまっているのは事実なので再掲。
-------------------------------------------------------
加計学園の獣医学部設置をめぐる問題で、
当時の経緯を最も詳しく知る当事者、
加戸守行前愛媛県知事が愛媛新聞のインタビューに応じた。
「民進党とマスコミの推測は間違っている。
事実と全然違う」
加戸守行前知事の話の中で重要な主張を
分かりやすく時系列でまとめてみた。
（１）もともと愛媛県では獣医師不足が
深刻化しており、狂牛病や鳥インフルエンザ、
口蹄疫の対策が課題だった。知事としては頭を
悩ませる問題だ。
（２）2005年に加計学園が今治市に獣医学部を
つくる話を提案し、素晴らしいと賛同した。しかし
、政治的に実現せず（このときは自民党政権下）。
（３）2009年に民主党政権に変わり、交渉で好感触を
得たがやはり実現しないまま。
（４）時代は第２次安倍内閣に。国家戦略特区の
波に乗って実現へ向けて話が進む。
（５）民進党とマスコミは急に「安倍総理が不正誘致に
関与している。加計学園理事長と親密」と言い始めたが、
それならば5年、10年前に実現しているはず。
（６）畜産業がカギとなる愛媛県では感染症で大打撃を
受けるリスクがある。だから獣医学部設置は大きな意義が
ある正しい方向性だ。
（７）愛媛県に獣医学部ができるなら別にどこの
団体運営でもいいが、加計学園は非常に教育に
熱心で高く評価できた。
ただ単に利益目的というわけではなく正しい
理念が感じられた。
（８）「安倍総理が指示した」とリークした
前川喜平氏は実は文部科学省時代の部下。
加戸前知事は「前川は行政のあり方が歪められたとか
言っているが、そもそも獣医師不足を解決できていない
のは文科省の責任だと思っている」と批判する。
ということで、当事者であり当時の経緯を最も詳しく
知る加戸守行前知事は民進党とマスコミの見立てを
全否定し、正しい政治が行われていると強調した。
日本国民としては何の不利益もないどころか
大変社会的意義がある計画だ。
地元民にしてみれば昔は誘致を進めていた民進党が
自民党の成果になろうとした途端に掌を返して潰そう
としたのは腹立たしいに違いない。
http://netgeek.biz/archives/97424
-------------------------------------------------------
引用以上。
今の所、この前知事の申し状に異論を挟む余地は
個人的には余りないように思える。
時系列の説明としては「特区指定されて嬉しい側」の
説明としては申し分無い。
では、その「特区指定に反対する」側の
意見も見てみよう。
日本獣医師会の声明である。
長いけれど、「何故反対したいのか」の姿勢は
きちんと見ておくべきであると考えるので、
引用する。（url:
http://pharmacist-1.jugem.jp/?eid=1272)
--------------------------------------------------------------------
日本獣医師会 大学獣医学部「特区」に物申す。
社団法人 日本獣医師会
「特区」による大学獣医学部の新設について
今回、構造改革特別区域制度に基づき、今治市及び愛媛県から
「地域を限った大学獣医学部の設置許可」の要望が、
構造改革特別区域推進本部に提出されたところでありますが、
本件についての日本獣医師会の考え方は以下のとおりです。
獣医学教育の現状及び今後の
獣医師需給動向を踏まえ、規制官庁における
適切な対応を求めたい。
１ 「特区」要望の内容(引用者注:以下は愛媛県今治市の要望）
（１）要 望 事 項:地域活性化を図るため、地域を
限った大学獣医学部の設置許可
（２）提 案 主 体：今治市、愛媛県
（３）規制の根拠法令：「大学等の設置等に係る認可の
基準（文部科学省告示）」
（４）実施内容及び提案理由：
ア 今治新都市開発整備事業整備用地に、学校法人加計学園が
大学獣医学部を設置し、大学を核とした地域再生を果たす。
イ 人口減少により、都市活力の低下にある今治市に
獣医学部が設置されれば地域再生が可能となる。
ウ 四国には獣医学部がない。農水省報告によれば、
四国は産業系、小動物系ともに需要に対する獣医師が
不足するとされている。
エ 懸念される定員増加による獣医師の質の低下も
全国的規制緩和でなく、特区での限定定員増であれば
影響はない。
オ 大学誘致と企業誘致で地域再生を図り、四国の
獣医師需給緩和に寄与する特区を提案する。
２ 「特区」要望に対する考え方(引用者注:以下は日本獣医師会の反論）
「特区」による大学獣医学部の新設については、
次の理由により反対する。
（１）獣医学教育の改善と獣医師の質の確保の必要性
ア 現状の獣医学系大学（国公私立16 大学）については、
小規模にすぎ、すべてが欧米国際基準に適合するものはなく、
獣医師国家試験の出題範囲に対応した講座数すら大きく
下回る大学も多数存在。
社会的要請に応え得る専門職業人養成課程として
学部体制への整備が急務である。
意 見
イ 当面、国立大学法人10 大学の獣医学教育課程については、
獣医学教育の改善目標（１大学学生60 人に対し教員72 人以上、
うち18 人以上の教授体制など）に即し、
再編統合による合同学部設置が喫緊の課題とされている。
ウ このような中で、大学獣医学部の新設は、獣医師の粗製濫造を
助長するのみで獣医学教育の改善に逆行する。
（２）獣医師需給政策と入学定員維持の必要性
ア 獣医師の職域は、多様化（�仝�務員25％、
�⊃芭貼丹綮�48％（うち産業動物24％、
小動物76％）、�２饉辧β膤悄ΩΦ羹蠹�14％、
�そ丹綮�非従事者12％）している。
獣医師の全体需給は、現状の毎年1,000 人程度の
新規獣医師の供給で今後とも充足するが、
最近における新規獣医師の小動物診療就業割合の
継続的増加（新規卒業者の5 割以上）により
産業動物診療の不足と公務員獣医師の採用難が
顕在化する等の職域偏在が存在する。
イ 獣医師の適正配置を推進する上において、
職域偏在の是正は、獣医療法に基づく「獣医療基本計画制度」の
下で不足職域への誘導等の個別施策とともに、不足職域に
おける獣医師の処遇改善を図ることで対処すべき課題である。
ウ 獣医学教育課程の入学定員規制は、獣医学教育の質の確保・
振興とあわせ獣医師需給政策と一体的に運営すべきものであるが、
獣医師全体需給が、基本的には現状の新規供給にて
充足するとされている以上、入学定員抑制は医師及び
歯科医師の場合と同様、堅持する必要がある。
エ そもそも獣医師需給対策は、国全体で論すべき課題であり、
「特区」要望にはなじまないし、「特区」による獣医学部の
新設は、卒業者の特定職域及び特定地域就業義務付けが
困難である以上、獣医師の職域偏在の解消とはリンクし得ない。
（３）「特区」を方便とした法人運営対策に資するおそれ
ア 「特区」を要望する自治体は、大学と企業誘致による
地域おこしが目的であり、特定の獣医学部の誘致が
すべてではない。一方、学校法人加計学園は、法人経営対策
のターゲットとして獣医学部の新設を目ざしているだけで、
その立地は今治市に限定されるものではない。
イ 従って、「特区」要望による新設は、結果として
一大学法人のビジネスチャンスを
利することとなり、ひいては、他の
新設要望の歯止めを失い、獣医師需給政策及び
獣医学教育振興政策自体の否定につながりかねない。
-------------------------------------------------------------------------
引用以上。
中々に興味深い。
日本獣医師会は特区構想自体に「法人運営」と「大学と企業誘致による
地域おこし」の目的をはっきりと拒否しており、これははっきりと
国家戦略特区の意味自体とバッティングする。
と、云うよりは「教育と医療は聖なるもの！」という建前の
元に余りの堂々とした既得権益護持！の明らさまな姿勢に驚きつつも
呆れてしまう所だ。
で、本題に必要な点は、「（２）獣医師需給政策と入学定員維持の必要性」
において、
「産業動物診療の不足と公務員獣医師の採用難が
顕在化する等の職域偏在が存在する。」
と認めている点。これは前段で引いた加戸守行前愛媛県知事の
インタビューでの「（１）もともと愛媛県では獣医師不足が
深刻化しており、狂牛病や鳥インフルエンザ、
口蹄疫の対策が課題だった。知事としては頭を
悩ませる問題だ。 」と合致する。愛媛県も日本獣医師会も
共有している問題だった訳だ。
だが、この問題は日本獣医師会も文科省も日本政府（当時自民党）も
全く手出しせず傍観していたというのが最初の状況。
で、加計学園が登場する。
これがインタビューの（２）。
「2005年に加計学園が今治市に獣医学部を
つくる話を提案し、素晴らしいと賛同した。しかし
、政治的に実現せず（このときは自民党政権下）。」
加計学園の理想が正しいとか、経営する大学の偏差値が、
という問題を度外視して、この時点で愛媛県今治市と
加計学園は「組んだ」事になる。これは、はっきりと
言ってしまえば実利的な問題。他に手を組む相手が
今治市にはなかった訳だ（故に、「加計学園の獣医学部新設は
どれほど馬鹿げているのか、系列大学の偏差値や四国の実態から
考えてみた 」（URL:
http://buzzap.jp/news/20170603-kake-juui/)
の検証するような内容は無意味となる。何故なら、今治市の
固有の問題である「地域振興」に香川大学や愛媛大学は一切
関係がないから（そして、偏差値と農学部の存在を理由に
挙げているが、これらの大学は一切獣医学部の設立に手を
挙げていないのだから、これこそ外野の余計な忖度（笑）というもので
あろう）考える意味もない）。
ここから、加計学園と今治市の長い共闘が始まる。
この辺りの記録は今治市の「国家戦略特区について」と
云うページに詳しいが（URL:
http://www.city.imabari.ehime.jp/kikaku/kokkasenryaku_tokku/),
平成27年に特区化の認可が為される。
ここからはNHKニュースが「「加計学園」獣医学部新設問題 ４つの論点」
として纏めてくれているので、上記事項を頭に入れた上で、
その論点を見ていく作業に移る。全文を引用するが、
その後に各パラグラフごとに検証していくのは煩瑣な為、
平文はリンクにて確認頂きたい。
（URL:
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170525/k10010995051000.html)
長すぎるって怒られたんで続く。
ログインしてコメントを確認・投稿する