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2017年05月15日01:08

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【命を操る技術にどう向き合う―― 「ゲノム編集」の現在地】狙った遺伝子を“100%正確に”切断できるわけではない>

命を操る技術にどう向き合う―― 「ゲノム編集」の現在地

5/12(金) 11:24 配信






受精卵の遺伝子を改変して、生まれる前に難病を「予防」する──。そんな技術を可能にする「ゲノム編集」について、国際的な議論が起きている。遺伝病の予防に道を開くメリットが期待できる一方、未知の副作用を起こす、ひいては人類という種そのものに影響を 与えるリスクもあるからだ。命を操る技術に、私たち一人一人はどう向き合えばいいのか。専門家と当事者の思いに耳を傾けた。(ライター・庄司里紗/Yahoo!ニュース 特集編集部)

日本の体制は道半ば


今年 2 月、米国の科学者で構成される全米科学アカデミー(NAS)は、ヒトの受精卵に対し、ゲノム編集で遺伝子を改変することを条件付きで容認する報告書を発表した。これまでヒト受精卵ゲノム編集の臨床応用(生殖医療応用)に慎重だった NAS の方針転換は世界を驚かせた。


一方、日本の科学アカデミー・日本学術会議の検討委員会は、今年 3 月に公表した素案で 「臨床応用は認めない」との見解を示している。国は4月、出産につながる受精卵のゲノム編集を禁止する意向を明らかにし、基礎研究(臨床応用を目指した、あるいは科学的知見を得るための、実験室のみで行う研究)について国主導によるルールづくりを決定したが、法規制への言及はない。日本は今後、ゲノム編集による受精卵の改変の是非について、どう考えるべきなのか。

狙った遺伝子を“100%正確に”切断できるわけではない

石井哲也・北海道大学教授




石井哲也(いしい・てつや) 1970年、群馬県生まれ。北海道大学で博士号(農学)取得。京都大学iPS細胞研究所などを経て、2013年から北海道大学安全衛生本部勤務、2015年から同本部教授。日本学術会議「医学・医療領域におけるゲノム編集技術のあり方検討委員会」幹事。(撮影:塩田亮吾)


「ゲノム編集」とは、狙いを定めた遺伝子をピンポイントで切断し、意図した通りに書き換える技術です。これまでの「遺伝子組み換え技術」に比べ、ゲノム編集はより正確な遺伝子改変ができるという点で画期的な技術といえます。


とくに、2012年に米国で「クリスパー・キャスナイン(CRISPR-Cas9)」という優れたゲノム編集ツールが開発されて以降、農作物の品種改良から遺伝子治療まで、あらゆる領域でゲノム編集を使った基礎研究が急増しました。そんな期待の新技術がいま論争の的になっているのは、「ヒト受精卵の遺伝子改変」が現実のものになりつつあるからです。




ゲノムとは、生物の細胞内にあるDNA(デオキシリボ核酸)に記録されたすべての遺伝情報のこと。A(アデニン)、G(グアニン)、T(チミン)、C(シトシン)という4種類の塩基が二重らせん構造でペアを組んでDNAを構成しており、その塩基配列のいくつかに遺伝子という「生物の体を作るのに必要なタンパク質の作り方」が記録された、約2万の遺伝子(ひとまとまりの塩基配列)が含まれている。


受精卵は、いわば人間のすべての基になる一つの細胞です。もしゲノム編集を使い、受精卵の段階で遺伝性の病気の原因となる遺伝子変異を修復できれば、生まれてくる子どもの病気や障害を防げる可能性があります。


しかし、編集に失敗すれば、流産や先天異常を引き起こすおそれがある。妊娠中に失敗が分かれば、人工妊娠中絶が行われるかもしれません。また、この技術がより成熟すれば、能力や外見を親の好みに「デザイン」した子どもが「製造」される懸念もある。だからこそ、ヒト受精卵の遺伝子改変は世界中でタブー視されてきたのです。


2015年4月、中国の研究者らがタブーを破ったと大きな騒ぎになりました。世界で初めてヒトの受精卵にゲノム編集を実施したという論文を報告したのです。これは、「βサラセミア」という遺伝性血液疾患を出産前に予防するための基礎研究でしたが、成功率は低く、論文もゲノム編集の安全上の課題を示唆していました。この動きに危機感を覚えた全米科学アカデミーは同年12月、ゲノム編集に関する国際サミットを開催。その後議論を重ね、今年2月に報告書を発表したのです。




「デザイナーベビー」にもつながるゲノム編集には、慎重な見方が少なくない(イメージ:アフロ)


報告書には、ゲノム編集した受精卵による妊娠・出産は「将来的に容認しうる」と記され、大きな反響を呼びました。しかし、よく読むと、この報告書はすぐ医療で応用できるような内容ではありませんでした。


ゲノム編集の目的は、将来生まれる子の福祉のためとみなせる「治療法のない遺伝性難病の予防」に限られ、実施には「社会的な合意」や「徹底した規制と監視が必須」とされています。多くの国では事実上、不可能といえる厳しい条件です。また、サミットの後、米国ではFDA(米食品医薬品局)がこのような臨床応用を審査すること自体が禁じられ、合法的な実施は当面不可能というのが現状です。


実際、ゲノム編集技術には、安全面でまだ多くの課題があります。クリスパー・キャスナインの精度が高いのは事実ですが、現状では狙った遺伝子配列を“100%正確に”切断できるわけではありません。もし間違った箇所を書き換えてしまえば、全身の細胞に悪影響を与え、重大な副作用や別の病気を引き起こす可能性もある。リスクについてのデータ蓄積も十分ではありません。そのような段階で臨床応用を認めるのは時期尚早でしょう。




「生殖医療」や「受精卵の取り扱い」をめぐる日本の規制は不十分だと、石井氏は訴える(撮影:塩田亮吾)


私が幹事を務める日本学術会議の検討委員会でも昨夏から議論を続けていますが、そこで浮き彫りになったのは、「生殖医療」や「受精卵の取り扱い」をめぐる日本の規制の不十分さです。日本では社会全体での議論がないまま、生殖医療の既成事実化だけが進み、いまや世界トップの生殖医療大国です。一方、特別養子縁組の成立数は500件程度。生殖医療に過度に依存する日本の現状を問題視し、検討委員会では、生殖医療を目的として受精卵にゲノム編集を用いることを現時点では認めない方向で調整しています。


国は基礎研究を進める際のルールや仕組みづくりについて「国が責任を持って主導していく」と発表しましたが、法規制については明言されないままです。日本学術会議の検討委員会は、今後、国による研究指針づくり、あるいは社会全体のルールである法規制を強く求めていくつもりです。




石井氏が幹事を務める日本学術会議の検討委員会でも議論が続いている(撮影:塩田亮吾)


4月30日には、提言のとりまとめに向けて広く意見を集めるため、公開シンポジウムも開催しました。当日は多くの参加者が集まり、容認派から慎重派までさまざまな意見が交わされました。国は中途半端な姿勢を改めるべきですが、市民も「ヒトの生命や尊厳とは何か」「どこまで操作してよいか」を議論する時期だと思います。将来の日本社会を

   ★だけでは、ないだろう。

変貌させかせないヒトゲノム編集についての決断を、私たちは今、委ねられているのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
https://news.yahoo.co.jp/feature/603



命を操る技術 ゲノム編集の今
5/12(金) 14:48 掲載 .





Shutterstock(Yahoo!ニュース 特集)


命を操る技術にどう向き合う―― 「ゲノム編集」の現在地

受精卵の遺伝子を改変して、生まれる前に難病を「予防」する──。そんな技術を可能にする「ゲノム編集」について、国際的な議論が起きている。遺伝病の予防に道を開くメリットが期待できる一方、未知の副作用を起こす、ひいては人類という種そのものに影響を 与えるリスクもあるからだ。命を操る技術に、私たち一人一人はどう向き合えばいいのか。専門家と当事者の思いに耳を傾けた。(ライター・庄司里紗/Yahoo!ニュース 特集編集部)
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詳しく知る



米アカデミーは人の受精卵への応用「厳しい条件のもとで容認しうる」

出典:NHK「かぶん」ブログ 2/15(水)
.



人の受精卵ゲノム編集、中国で実施 倫理的批判も

出典:日本経済新聞 電子版 3/10(金)
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「デザイナーベビー」に徐々に近づく生殖医療

出典:CNN.co.jp 2015/12/31(木)
――――――――――――――――――――――――以上転載ーー
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6239529
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