mixiユーザー(id:7846239)

2017年01月01日20:41

437 view

一年の計

今日は年が明けて最初の週末。例年のとおり今年聴きに行きたいと考えている公演などについて、思い付いたことを書くことにする。

ここ何年か同じことを書いているような気がするが、数はともかく質の点では長期低迷が続いている。この傾向は今後もまず変わることはないだろう。海外歌劇場の日本ツアーの数も減っているようだし、外来オーケストラの来日公演もやはり減っているのではないだろうか。公演数はともかく、意欲的な公演は間違いなく減っているだろう。オペラでもオーケストラ・コンサートでも、客の入りを最優先にした類の企画が目立つ。

そう、話は横道にそれるが、シュターツカペレ・ドレスデンのコンサートも、ずい分空席が目立った。もしかすると、2割くらいは空いていたかも知れない。東京でのコンサートは、どれもこれと似たり寄ったりのような気もする。とにかく客の入りが思わしくないので、安全策を取らざるを得ないという事情はわからないでもない。

まずはオペラの公演から。9月にはバイエルン国立歌劇場がやって来る。演目は「タンホイザー」(キリル・ペトレンコ指揮)と「魔笛」(アッシャー・フィシュ指揮)。「タンホイザー」は新演出らしいが、「魔笛」はアウグスト・エヴァーディングによるあのよく知られた演出だそうである。アッシャー・フィシュはイスラエル出身の実力派指揮者とのことだが、彼の名前を聞くのはこれが初めて。ペトレンコの「タンホイザー」には興味津々である。以前、ペトレンコが振ったプフィッツナー作曲の「パレストリーナ」(フランクフルト歌劇場)のCDを聴いて、感心したことがある。この指揮者のステージを聴くことができるのは何よりの楽しみだ。

6月にパレルモのマッシモ劇場も来日する。演目は「トスカ」と「椿姫」で、前者にはゲオルギュー、後者にはランカトーレとレオ・ヌッチ(ジェルモン)が出演する。集客を最優先にした企画の典型だろう。

今年はモンテヴェルディ生誕450周年にあたるそうで、神奈川県立音楽堂や東京オペラシティでこれにちなんだ演奏会を予定しているらしい。「聖母マリア夕べの祈り」や「ポッペアの戴冠」などを聴くことができそうだ。これを機に、録音とステージの両方でモンテヴェルディの作品をもう一度じっくり腰を据えて聴いてみたい。

東京オペラシティでは、2月にベートヴェンの「ミサ・ソレムニス」(BCJ)の演奏会がある。久しぶりに「ミサ・ソレムニス」を生で聴けるのは大歓迎だ。何より鈴木雅明とバッハ・コレギウム・ジャパンが、ベートーヴェンの大曲をどう料理するのか興味は尽きない。

札幌コンサートホールの主催事業もさらに小粒になったようだ。モンテヴェルディ・イヤーの関連事業で、6月にタリス・スコラーズの公演がある。オーケストラのコンサートでは、6月にブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団、11月にブロムシュテット指揮のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の公演が予定されていて、10月にはウィーン室内管弦楽団の演奏会も開催されるようだ。ブリュッセル・フィルハーモニーの演奏会では、アリス=紗良・オットの妹、モナ=飛鳥・オット(ピアノ)がソリストとしてツアーに参加するらしい。

リサイタルでは、11月にカティア・ブニアティシヴィリ(ピアノ)、12月にエマニュエル・パユ(フルート)とエリック・ル・サージュ(ピアノ)、年が明けて2月に藤村実穂子(メゾソプラノ)、3月にアレクサンドル・タロー(ピアノ)の公演が計画されているとのこと。加えて、9月にはダネル弦楽四重奏団が2日連続の演奏会を行うとのことだ。さほど質を落としていないのは公共ホールの見識と言うべきか。

札幌交響楽団の定期演奏会は2月と11月を除いて10回開催される。1月定期は首席指揮者、マックス・ポンマーによるJ.S.バッハの「管弦楽組曲」の全曲演奏が行われ、12月の定期では、ポンマーの指揮でJ.S.バッハの「クリスマス・オラトリオ」の抜粋が取り上げられる。ポンマーはライプツィヒとゆかりが深く、バッハを好んで取り上げてきた。ただ、一番の楽しみはラドミル・エリシュカがタクトを執る3月と10月の定期演奏会で、3月はブラームスの交響曲第1番、10月はベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」でどのような演奏を聴かせるのか待ち遠しい。

ソリストの注目株は、4月に登場するダニエル・ホープ(コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲」)、7月の神尾真由子(チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」)、来年1月定期公演の小菅優(モーツァルト「ピアノ協奏曲第24番」)だ。9月の定期ではフリードリヒ・グルダが作曲した「チェロと吹奏楽のための協奏曲」を弾く宮田大にも注目している。

「一年の計」の範囲を逸脱するが、来年2月の演奏会では尾高忠明によるオール武満プログラム(「乱」組曲、「ファンタズマ/カントス」、「遠い呼び声の彼方へ」、「弦楽のためのレクイエム」、「系図」ー若い人たちのための音楽詩)も面白そう。

六花亭札幌本店に併設された「ふきのとうホール」の公演予定は、3月頃まで発表されているものの、それ以降は不明。公表されているものの中では、郷古廉ヴァイオリン・リサイタル(1月)、クアルテット・ベルリン・トウキョウ(1月)、篠原啓子ヴァイオリン・リサイタル(3月)などを聴いてみようかと考えている。

今年は大手音楽事務所が年間の招聘予定を明らかにしていないこともあり、例年になく不確定な要素が多い。仮に、それらが公表されていたとしても、是非とも行ってみたいという演奏会はそう多くないのだろうが。

外来の有名オーケストラのコンサートなどより、弦楽四重奏の演奏会や歌曲のリサイタルにシフトした方が面白そうな気がする。近頃、これら2つ求心的なジャンルに惹かれるようになってきた。また、歌曲はこれまで疎かになっていた分野なので、このジャンルにはまだ広大な未開の地が残っているようにも思う。

2 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年01月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031