◆4日目
7:50/蝶ヶ岳ヒュッテ(標高2660m)チェックアウト、周囲の散策⇒8:10/蝶ヶ岳
(標高2677m)登頂⇒8:35/下山開始⇒8:40/蝶ヶ池⇒8:50/妖精の池⇒9:10/長塀山
(標高2565m、ここで9:30まで小休止)⇒12:00/徳沢(標高1562m、ここで13:15ま
でお昼休憩)⇒13:55/明神(ここで14:05まで小休止)⇒14:50/上高地バスターミナル
(標高1505m)へ帰還
※徳澤に下山するまでの間に未計測の小休止が累計で約30分
続きました。
【4日目】
おはようございます。何だかんだで今回の山旅ももう4日目です。うー、寒い。目は覚めたが布団の中でぬくぬくする。HGさんとOG原さんはご来光を見に外に出ているようだ。しばらくしてから起き上がり、防寒をして外に出てみる。雨は上がっているが、雲が完全に取れたわけではない。正面の穂高連峰は雲のかかっていない部分だけがモルゲンロートで赤く染まっている。美しい。北アルプスの朝だよ、これ。
朝食のため一回小屋に戻り、食後はバーナーとかコーヒーのセットを持って自炊室へ。ドリップコーヒーを淹れたらカメラとマグカップを持って再び外に出る。さっきよりだいぶ雲が晴れており、現れた景色に圧倒される。目測で3000mより上は雲の中らしく、時折北穂や奥穂の山頂が顔を出す。眼下には梓川。何て高さだろう。何て大きさだろう。スゴイよ、スゴイ！そして涸沢カールが見える。とんでもない高さじゃないか。イメージ的には上高地から簡単にテント担いで行ける感じだが、梓川からの標高差、滅茶苦茶あるじゃねえか。カールには涸沢小屋と涸沢ヒュッテもはっきりと見える。昨日行くはずだったルートを目で追うと、屏風岩が見える。日本最大級の岩壁。これがそうなのか。いやー、デカイねえ。その正面を見上げると大キレットがチラチラと見え隠れしている。稜線は雲の中だが、北穂から繋がっているのが見て取れる。槍ヶ岳は一度も姿を現さず、ずっと雲の中でした。ただ、槍沢や東鎌尾根は見えるので2年前の山行を思い出した。上高地から片道22kmも歩いたけどそれを今、上から見下ろしているのだ。本当に感慨深い。すごいよ大自然。よく部室で顧問が「北アルプスでも槍穂エリアはね、別格なんですよ」って言ってるんだけど、間近で全貌を見て初めてその意味がわかった。とにかくそのビジュアルに圧倒されるのです。涸沢カールも特別視されますが、だってこんな地形、見たことないもん。
朝の冷たい澄んだ空気の中、コーヒーを飲みながら眺める北アルプス。至高の時間です。下山してビール！も勿論最高だけど、自分はこの瞬間を楽しみに高い山に登っているのかも知れません。2年前、槍ヶ岳の2ヶ月前に燕岳に行きましたが、その時は燕山荘の前で朝、コーヒーを飲みながら雲間に見え隠れする槍ヶ岳を「いつか自分もあの頂へ」って思いで眺めましたもの。今回の蝶ヶ岳は正直「仕方なく」登ったわけで、元々の予定が穂高連峰なだけにモチベーションの下がり具合ときたらそれはもう。昨日の登りの時は全然やる気が出なくて正直歩くのが辛かったです。でも今日、この雄大な景色を見て、北穂・奥穂の雄姿を見て、
「やっぱり登りたい！」
って思いを新にしました。もし今回天気が良くて予定通り穂高方面を縦走したとしても、何となくのモチベーションで登っていたら槍ヶ岳の時のような感動はなかったんじゃないだろうか、何て勝手に想像してみる。でも眼前に広がる穂高連峰の雄姿を目の当たりにして、心から行ってみたいと思った今、モチベーションは相当高くなったと思ってます。そういう意味では蝶ヶ岳、来てよかった。願わくば快晴の時に来たかったけど。
宿泊客がほとんど出払った小屋に戻り、出発の準備をする。レインウェアは迷ったが、Mountain Forecastの予報では今日も昼過ぎから雨みたいなので、出発前から上下を着こみ、ザックカバーも付ける。ホントMountain Forecastの予報は正確で驚いたですよ。今日は徳澤に降りて上高地に抜けるだけなので昨日と同じのんびりペース。8時前にチェックアウトして昨日お預けだった蝶ヶ岳のピークへクライムオン！と言っても5分もかからないんですがね。山頂で30分程撮影タイム。槍穂連峰は相変わらずの様相だが、常念岳の方もだいぶ雲が流れ、昨日歩いた稜線から常念の山頂が見え隠れしている。安曇野側はずっと雲海の下で何も見えない。雄大な景色を名残惜しみながら時間も時間なので下山開始。
快適な稜線歩きは蝶ヶ岳山頂までで、そこから先は直ぐに見通しの利かない樹林帯となってしまう。「蝶ヶ池」「妖精の池」などを通過。この辺はもう紅葉が始まっており、部分的に赤や黄色が散りばめられている。ここの稜線は「二重稜線」という珍しい地形なので、稜線にこうした池沼が散在するそうだ。小一時間も歩くと3つ目のピーク、「長塀山/標高2565m」に到着。登頂ではなく到着ね、これ。樹林帯に標識だけがぽつんと立っており、展望は全くない。ここでウェアリング調整のための小休止を取り、後は延々と続く長塀尾根を徳澤まで歩くのだ。連日の雨のせいか、登山道の所々が池になっており、その都度迂回を余儀なくされる。丸太の置いてあるぬかるみを幾度となく通過。ズボンの裾が泥だらけだが、結果としてはレインパンツを履いて良かった。帰りの公共の交通機関利用時を考えるとね。
何度か小休止を挟み12時ちょうど、徳澤に下山。ここでレインウェアは上下脱いでザックカバーも外す。小屋のカレーでお昼ご飯。旨し。1時間ちょっと大休止を取って、一路上高地へ歩き出す。明神あたりで再び雨が降り出す(予報通りだった)も、徳澤から2時間もかからず上高地に帰還。前回よりも一本早いバスに乗って新島々へ。ここで雨は本降りに。上高地線で松本に出ると雨は止んでいた。予約していたビジネスホテルにチェックイン。お風呂に入ってさっぱりした後はしばし松本の夜を楽しむ(と言ってもいつも通り焼肉→飲みのコンボなんですがね)。ホテルに戻ってもう一回風呂入ったら即寝落ち。
翌朝も前回と同じ9時台のスーパーあずさで東京方面へ戻る。
正直達成感という観点ではさっぱりな山旅でした。日数も金もかなり使って日帰りで行けそうな山を3日間かけて登ったわけですから。でも良かったですよ、蝶ヶ岳。あの景色は感動しました。そして心から「穂高へ行きたい！」と決意を新たに出来ましたしね。
山は逃げないのでまた来年、チャレンジですかな。
■写真解説
�…灰�岳2677m、登頂です！山頂じゃなくて「最高地点」って表現の意味がわかりました。結構広々としてて、蝶ヶ岳ヒュッテからはサンダルでも登れますよ。
��見よ、この穂高連峰の雄姿を！梓川を視界に入れての北穂山頂を初めて見ました。何てデカイんだろう。そして何て高さだ！涸沢カールがあんなに高いとは！
�Ｄ灰�岳から後ろを振り返ると常念岳が見えました。ここの稜線を晴天時に槍穂連邦を眺めながら歩いたらどんなに爽快だろうか。常念岳も登ってみたいなあ。
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