続きました。
【奥の院へGO!】
看板の立ってる分岐から山腹を縫うように付けられた細い道を10分ほど行くと「辻」に到着。ここから中間道にエスケープするルートがある。岩には黄色いペンキで「キケン 上級者コース」と書いてある。全員揃ったところで一路、奥の院へGO!
今回珍しくトップは自分。もうね、急登っていうか何なんでしょ、これ。両手を使わないと登れない。岩も鎖も当たり前のように出てくる。これは楽しい！急斜面の障害物競走みたいだ。ただこれ、降りる時結構大変なんじゃなかろうか？そうこうしているうちに見えてきた！祠のような岩、あれが奥の院に違いない。
ハシゴに近い斜度の石段を登りきると、ルンゼに巨大なチョックストーンが挟まった空間が祠のようになっている奥の院に到着。石段は祠の中まで続いており、中に入るとヒンヤリする。さらに鉄のハシゴが設置してあり、登った所に仏像がある。チョックストーンの隙間からスポットライトの様に陽光が差し込み、ちょうどその位置に仏像が安置してある。かなり不気味な空間だ。顧問の梅さんは幽霊が出るからイヤ！と中には入らなかった。順番に祠の中を見て周り、隣の鎖場に移動。
奥の院ルンゼ内直立3連30m鎖場
これがそうなのか。事前に色々調べたんだが、意見・感想はまちまち。あるガイドブックでは「こんなの序の口。奥の院の鎖場でビビるようなら引き返した方がよい」と書いてあったが、あるWebサイトでは「白雲山縦走コースでの最難箇所、表妙義全山を通してもベスト3に入る難所」とある。「殺人的な鎖場だ」、と感想を述べる人もいれば「気合入れて来たのに思いの他簡単で拍子抜けした」と言う人もいる。こういうのは実際、自分の目で見て自分自身が登ってみないと分からない。
大きな杉の木を挟んで左が奥の院、右が鎖場となっている。今回のルートはここがゴールなので、ここでお昼休憩とすることに。と言っても急登の途中にバンド状になっているような場所なので、座って寛げるわけではない。荷物を降ろして立ったままおにぎりをモグモグする。上を見上げると先行の別パーティが登り終え、ザイルを回収しているところだ。
「じゃあ時間を決めて各自、岩で遊びましょう！一応登るのはここだけね、稜線まで行かないように！」
と梅さん。顧問・部長の順に登り降りする。登りは鎖は一切触らず、フリークライミングで登っていく。下りは安全のため鎖を掴む。落石に注意しながら上を見上げ、おにぎりを食べながら各人のクライミングを観察する。今回部長の登りを初めて見た。一緒に山に行くのがかなり久しぶり＆足が速いので一緒に登ることはまずないのだが、まあ身体が柔らかい。本人は岩は久しぶりと言っていたが、やっぱすごいなあ。あっという間に一段目を抜けチムニー内に消える。かと思えばもう三段目のバンドに出てる。部長は山とは別に太極拳やってるんですね。で、健康のため柔軟には非常に力を入れている、って話です。
さてさて、次は自分の番。取り付き部分から鎖を使う必要は全くない。とにかくホールドがそこいら中にある。それも全てガバだ。傾斜もゆるく(60〜70度の傾斜は足では登れないが、クライミングだとゆる過ぎて逆にやりにくい)カチを掴まないといけない場所も一箇所もない。ハシゴを登るのと何ら変わらない。ジムで言うと5.4〜5.5くらいだろうか？ちなみに5.4は初めてフリークライミングをやる人のスタートアップ講習で使う様なレベルだ。
ルートは鎖とは全く被らないのが不思議だ。これ、鎖を掴んで登ったら相当危険だと思う。例えば二段目の鎖。なぜチムニーの上に設置されているのか。鎖を掴んでチムニーの縁の上を登ったら危ないじゃないか！ちょっと左側にバランスを崩したらそのまま30m墜落ですよ。それだけに鎖を掴んで降りる時の方がはるかに怖かった。降りる途中、せっかくなので二段目の鎖の玉の途中にセルフビレイを取り、全体重を預けてぶら下がってみた。やはりハーネスがいつも使っているのと違い、クッションが入ってないので食い込んで痛い。これ、衝撃荷重は厳禁かも知れないね。あとカラビナ。今回鎖そのものを通す想定(ヴィア・フェラータっぽい使い方)で大径のHMS型をシュリンゲに付けてきたんだけど、鎖の玉やアンカーに通す場合、太すぎて入らないケースもありそうだ。今回ガチャガチャねじ込んだら入ったけど、ビレイ解除に手間取ってしまった。さっとかけてさっと外す、ならヌンチャクに使ってるベントゲート式の変形D型が使いやすいんじゃないだろうか？
個人的な感想ですが、奥の院の鎖場、鎖がある方が危ないんじゃないかな。鎖の乗ってるルート自体がルンゼの切れ落ちてる側に寄ってるので、鎖の玉やアンカーでセルフビレイを取る登り方も怖いと思う。安全なのは鎖のアンカーにヌンチャクをかけてリードで登るか、トップにザイルを垂らしてもらい、プルージックやロープクランプでビレイを取りながら登る方法。これならクライミングに集中できるが、じゃあ5.4とか5.5の壁でそこまでする？って話。結果的に岩慣れしていればどんな登り方でもいい、ってことになる。難易度で言うと間違いなく易しい部類に入るが、危険であることには変わりない。これは妙義山の特徴なんだろうね。難しくはないが、非常に危険である。
これは後日談ですが、部室でこの話題が出た時HGさんもOG原も全く同じ感想を言ってた。ただこれは我々がクライミング目線で話すからであって、普通に「歩く」登山目線で見たらトンでもない難所であることは間違いない。このあたりは
http://www5a.biglobe.ne.jp/~mizote/myougisan.htm
↑ここにとても興味深い考察が書かれている。興味のある方は是非ご一読を！
さて、全員一往復が終わったところでちょうど時間なので撤収開始。まずは来た道を辻まで戻る。スリップしたらそのまま滑落なシチュエーションにつき、両手を使いしゃがみながらゆっくりと降りて行く。辻からは中間道に繋がるエスケープルートがあるのだが、地図上で破線になっているだけあって、非常に険しい。高度感のある岩のトラバースとか、滑ったら谷底に真っ逆さまなトラバースの鎖場とか、もう全然気が抜けない！！
40分ほどで中間道に無事下降。後は歩いて戻るだけで13時半には駐車場へ到着。中間道組を迎えに急ぎ車を仲之岳大駐車場に移動させる。本当はあまった時間で中間道を逆走して石門エリアで遊ぼうと思っていたのだが、あまりの満足感にそんな気持ちは失せてしまった。わずか4時間程度の行程だったが、充実の時間を過ごせました。全身を使いまくって、山なのに腹筋とかが筋肉痛になるという。
全員集合のあとはいつもの流れで軽井沢にある千代田区の保養所「メレーズ軽井沢」に移動。帰りに「もみじの湯」に寄る予定が、何やら車のイベントを行ってて駐車場が混雑していたため、これをパス。下山後に温泉に入れなかったのがちと残念ではあるが翌日、碓氷峠の「峠の湯」で十分温泉を堪能出来たので良し、とする。
今回は時間の関係で稜線には上がれなかったが、次回は日程を改め、白雲山の稜線縦走に行きたいと思う。
■装備関連
��Black Diamond/クーロワール
アルパイン用の簡易シットハーネスです。実は昨年の滑落事故の後に購入したのですが、使うのは今回初めてです。重さが230gしかなく、収納サイズもゲイターくらいで超軽量コンパクト。シュリンゲで簡易チェストハーネスを作るなら、クーロアールを携帯して今回のように積極的に使う方が良いかな、と。ギアループは左右に各1つ、後ろにホールループも付いてます。ダイアパー(おむつ)タイプなので、靴を脱がないで脱着出来るのも便利ですね。
■写真解説
�，海譴�奥の院。手前の石段はハシゴのように急で、見ての通りルンゼに巨大なチョックストーンという組み合わせ。祠の中は相当な不気味空間でした。長居は無用です。
�◆岷�の院ルンゼ内直立3連30m鎖場」をフリークライミングで登ります。ちょうど一段目の鎖の終了点で、チムニーに入る手前辺りです。見ての通り、ガバホールドだらけでとても登り易い。
��「辻」から中間道へのエスケープルートに出てくる三連の鎖場の真ん中。破線だけあって非常に険しい道でした。ここのトラバースに比べたら中間道の「カニの横ばい」なんて児戯にも等しい。
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