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2016年05月16日07:39

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小説・限無幻夢 (時間旅行 9)

小説・限無幻夢 (時間旅行 9)
 眼の前で裸のまま棒立ちしている女は多分40歳を超えているはずだ。少なくは無い男性経験もあるのだろう。太っただけでは無い成熟した女の丸みにあふれ、触れればすぐに反応しそうにエロ気が隠れている。ここに触れてと叫んでいる。
「太ったでしょう?」
「いや、そんなに太ってるわけでは無いよ。前が痩せすぎだったんだ。今がちょうど良い」
 テーブルの上に坐らせた千絵の肩をゆっくりとねじり、斜め上から落ちて来る光が右のおっぱいを舐めるように走り、左足の太ももの付け根に当たるようにする。俺の指が肩に触れた瞬間、千絵はピクっと筋肉を固め身構えた。期待と不安が森の奥から湧き出る清水のようにこんこんとあふれ出す。
「メグおばちゃんが帰ってきたわよ」
 千絵の撮影は不意に中断させられた。理沙の横で空気が動き、光彩の球が浮かんでいる。光が弱まると共に球は楕円となり形を崩して行く。それが人の形となりメグの姿になるまで数秒もかからない。あぁ、俺もこんな風にして元に戻ったのかと思う。
「お帰りなさい」
 理沙の言葉をメグは遠くで聞いているような感じだった。自分が置かれている状況をまだ理解していないようだ。
「だいじょうかい?」
 俺の声にびっくりしたように眼を見開いた。
「あれ?真奈美は?」
 メグの中にはまだ鍵を閉められたことにいら立っている真奈美がいた。真奈美のいらだちをどう逸らしたらいいかと考えている。そして急に、タイムスリップしたことを思いだしたようだ。
「お店にいたわよね」
 言いながら顔を赤らめる。俺と抱き合っていたことも思い出したようだ。俺を見る眼が泳ぐ。メグが恥じらう姿を初めて見たような気がする。
「時間旅行の実感が湧いたかしら?」
 メグのに動揺気づいて理沙が改めて自分に注意を向ける。俺はおれでメグの問いに答えた。
「予想とはずいぶん違ったよ」
 どういう意味だと、メグと理沙が聞きたそうに俺を見る。俺は続けた。
「過去へ戻ったら、もうひとりの自分がいて、それを眺めているかと思ったのだけど・・」
「あ、わたしもそう思ってた。こっちからは見えるけど相手からは見えなくて、観察するんだと思ってた」
 メグが同調した。
 理沙が微笑む。
「過去は記憶だと言ったでしょう?」
 確かにそうだ。記憶の時間を逆行するのだから、過去へ戻っても俺が二人になるはずはない。俺は過去に生きる俺の中へ入るだけなのだ。自分の質問の間抜けさに俺は気づいた(続く)


わーい(嬉しい顔)クウネル日記目がハート
 昨日は鹿屋バラ園に写真家浅井慎平が来て一緒に写真を撮ろうと言うイベントがあったので、参加するつもりでいたのですが・・なんか中途半端な天気のせいかクウネル情緒不安定。行きたいような面倒なようなどっちつかずの気持ちでオロオロ(笑)カメラを車に積んだだけで結局行きませんでした(笑)今日もなんとなく昨日の気持ちを引きずっています。やっぱり漁村を撮りたい気分と、遠出をせず部屋で小説でも描かねばと言う気持ち(笑)書きだめがまた無くなりましたからね(笑)遠出よりも、以前のように半径5メートル写真をもう一度やるべきではとの気持ちが強い(笑)
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