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2016年03月13日08:39

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中世金輪寺僧坊跡石垣群(戦国期の石垣か?)

今年の1月に攻城した神尾山城の麓側に位置し、現在の金輪寺一帯に残る中世寺院僧坊跡群。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1949417645&owner_id=21015697
※前回のレポ日記。

思った以上に広大で大規模な遺構が広がる中世寺院僧坊跡群の探索が不十分であったため、今回改めて探索をすることに。
いつも通り金輪寺へ通じる細い道を車でひたすら走り金輪寺の駐車場へ。
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※写真は前回探索時のもの。
前回探索した僧坊跡群を再び回り、今回さらに下へ下った平坦地あたりから金輪寺へ引き返す感じで進んでいくと。
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いきなりしっかりした石組みの方形基壇が現れびっくり。
ほぼ正方形の形をした基壇は堂宇的な建物があったのでしょうか。
さらに進むとそこには。
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かなり大規模な石垣が。
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かなり迫力のある石垣。こんなのが残っていたとはね。
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石垣はいわゆる野面積みのように見えます。(打ち込み接ぎではなさそう。)
隅石は一応算木っぽく積んでますが、慶長以降の本格的な算木積みではなく、整ってないです。
時代的に戦国後期から末期の16世紀後半頃でしょうか。
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石垣周囲には前回探索した中世寺院僧坊跡群と同じくらいの大規模な平坦地が広がります。
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石垣のすぐ横にはかつての参詣道の石段がありました。
自然石そのままの石段はかつての参詣道の雰囲気を思わせます。
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参詣道沿いにはこのような平坦地が付属しています。
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参詣道沿いにある石垣。
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参詣道はまっすぐではなく九十九折りになっており、石垣と相まって城郭のような雰囲気を漂わせています。
ただ、正面の石垣は19世紀以降に使われ始めた谷積みとなっており、江戸末期以降の構築もしくは積み直しの修復でしょう。
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江戸末期以降の構築と思われる石垣。
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上の石垣より石段を見下ろす。
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横矢っぽく折れのある石垣。こちらの石垣はちょっと古そうにも見えますが…
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参詣道沿いにある平坦地は現在の金輪寺まで段状に続いています。
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上記の平坦地を奥に進むと道のように奥の方へと延びていました。
前回探索の僧坊跡群へとつながっているようです。
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参詣道から上記平坦地へ進入する小さな石段。
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平坦地の反対側の参詣道の谷側にも腰曲輪のような小さな平坦地がありました。
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参詣道を進むと車で上がってきた林道へとつながりました。そこから少し上がると金輪寺の駐車場に至ります。
麓から参詣道を登ってくる人には周知の遺構だったんでしょうけど、何せ車で一気に登っていただけに全く気付かずwいずれ本来の参詣道を辿ってみたいです。

さて、今回探索した僧坊跡の石垣ですが、参詣道から山側に入った最初に見た石垣は積み方から慶長期までの戦国期のように思えました。
付近には同時代の室町後期から末期ごろと推定される常滑もしくは丹波の大甕の破片や擂鉢などが落ちてましたし時期的にはそれぐらいのものではないかと思ってます。
亀岡市史によれば15世紀末に戦乱で荒廃していた金輪寺が再興され、明応4年(1495)の後土御門天皇の綸旨に金輪寺南谷の一切経蔵の記述があるようです。
大永6年(1526)柳本賢治により金輪寺背後に神尾山城を築城。天正年間に明智光秀の丹波攻略戦の拠点として利用されますが、天正5年(1577)に兵火により堂宇の大半を焼失。おそらく明智光秀の神尾山城攻略戦の巻き添えを食らったのでしょう。
現在の金輪寺本堂は江戸時代の延宝7年のものでその時に現在の境内が整備されたものと思われますが、京都府のHPによると延宝7年の建築であるとはいえ、完全な新築ではなく永禄2年に建てられた本堂の古材を利用するか大規模な修復によるものではと推定されています。
また、本堂脇の鐘楼の梵鐘は天文3年の銘があり、本堂前の石造五重塔とともに戦国期の金輪寺の名残を伝えています。
現在の境内が江戸時代の再興によるものだとしたら、駐車場下の参詣道沿いの石垣や平坦地は戦国期に再興され天正5年の明智光秀の兵火により焼失した僧坊の跡なのでしょうか。
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となると、これらの石垣は貴重な戦国期の石垣ということになりますが。
江戸期に作られたものならもう少し利用されたり整備された跡があるでしょうしねぇ。
奥の中世寺院僧坊跡群の石垣より残りが良すぎるのが気になりますが、時期差があるのかもしれません。落ちている遺物にも多少の差がありましたし。
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