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2016年01月28日19:17

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米軍「第5世代」を上回る「心神」! 「軍事情勢」野口裕之記者特別レポート「先端技術を集めた兵器は美しい」

 下記は、2016.1.28 付の産経ニュース【「日本版ステルス機」お披露目】です。

                       記

 「先端技術を集めた兵器は美しい。秘密のベールに包まれた技術も神秘性をただよわせる」

 とは、官民の防衛関係者が兵器をお披露目するにあたり、一様に抱く感慨だ。愛知県内に在る三菱重工の工場で28日、同じ感慨を共有した。

 同日午後に公開されたのは、米軍のF−35といった「第5世代」戦闘機の上をうかがう、将来の「第6世代」戦闘機開発に備えた研究実験機《先進技術実証機》。富士山の別称「心神」という愛称の方がすっかり有名になった。三菱関係者が命名したとの言い伝えもあるが定かではない。

 ともあれ、零戦と縁が深いこの工場で生まれた心神が、武器輸出3原則緩和や防衛装備庁設立と相まって、戦後、大日本帝国陸海軍の傑作機復活を恐れる連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)がズタズタにした日本の航空機産業を蘇生させる先駆けと成る…そんな確かな手応えを感じた。

 特徴は、炭素繊維を駆使した敵レーダーに探知されず敵を捕捉できるステルス性能はじめ、耐熱素材や電子機器、小型化した燃料装置の導入に象徴される、わが国の得意技術を生かした点。結果、軽量化を図り高い運動性を可能にした。機体が失速しやすい姿勢を強いられようと、失速し難く工夫されたエンジンも、担当のIHIが開発に成功した。

 航空自衛隊出身の宇都隆史参院議員は「戦闘機開発は国家の体制を守る礎の一つになる。礎の構築は、わが国が独自の技術力をしっかりと確保して、初めて達成する」と、小欄に期待を語った。

 平成22年3月に国内企業群が開発を始めた心神は、今年3月の防衛省引渡しまでに初飛行を終える。その後、研究中だった最新技術を追加→試験飛行を反復→問題点をあぶり出し→分析→改善を施し→新たな技術を付加→再び飛行する。回転を止めず進化を求め続ける、以上の過程の繰り返しを軍事の要諦「スパイラル・セオリー」と呼ぶ。セオリーは心神が直接、空自の将来型戦闘機となるわけではない傍証でもある。

 むしろ「心神が生み出す数々の技術の完成度が、将来型戦闘機の生産・開発形態を決める」と言った方が正確だろう。日米両国は米国より技術情報供与を受け空自の次期戦闘機F−35を日本国内で組み立てる方針で同意したが、F−35導入後の将来型戦闘機を国産にするか、費用・技術上のリスクをシェアすべく外国との共同開発に踏み出すかは未定だ。

 関係者は「未定でよい」と言い切る。国産戦闘機製造への総合力を持てば、外国が注目し擦り寄ってくる。逆説的に言えば、国産戦闘機製造への総合力を持たぬと軍需大国に相手にされず、共同開発には参画できない。この関係者は「国産戦闘機を製造できる段階に昇った時点で、防衛技術基盤の発展や費用対効果、企業収益など国益を冷静に勘案し、国産か共同開発かを判断すればよい」と、まずは「国産力」蓄積を目指す方向が基本と考えている。

 もっとも、膨大な国防費にあえぐ米国からの共同開発に関する打診は今のところない。が、「国産・共同開発いずれにしても、海外に売り込むスキームは早期に構築しなければ」とも提言する。

 仮に国産にすれば開発費は5千億〜1兆円超。一方で防衛省は、最低でも4兆円の新規事業誕生+8・3億円の経済波及効果+24万人の雇用創出を試算する。

 スキームといえばもう一つ必要だ。前述した武器輸出3原則緩和や防衛装備庁設立による「副作用」対策。3原則に縛られ兵器貿易と貿易管理面で「鎖国」状態だったぬるま湯時代とは違い、「開国」し、日本政府が外国との輸出入に乗り出した現在では必要となった、人材(ヒト)・技術(モノ)・利益(カネ)の流失を防ぐ法的管理スキームがないのだ。

 別の関係者は日本メーカーの具体名を挙げ(仮にA社)、「A社と提携関係を切って、ウチに来ないか?と、外国企業に手を突っ込まれる日本企業は次第に増えている」と証言。「開国」がもたらした現状をこう表現した。

 「舌なめずりするオオカミがうろつく荒野に置く、ヒツジが閉じこもっていたおりの扉が開いた」  
 (野口裕之)

 http://www.sankei.com/politics/news/160128/plt1601280013-n1.html
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