朝ドラ『まれ』 妊娠&出産で批判
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=29&from=diary&id=3586106
いやはや。
ドラマの作中登場人物の妊娠、出産に
批判って何事よ?などと思ったが、
結構面白い。
昔、某ロボットアニメが流行りまくった時
(学生時代の話だ)、異様に人気のあった
水色の髪に赤い目の包帯娘さんが実は
人間では無かった、というのが判明する
エピソードがあった。その時、そのアニメに
ハマりまくり、綾(ry)にダダ惚れだった
とあるサークル員が、やたら焦燥した顔で
学校にやってきた。
どうしたのかと問うと、
「綾(ry)が、人間じゃなかったんだよ・・・」
と百年の恋が冷めてしまったショックと
苦悩を滲ませて、云ったのだった。
当然、その場にいた全員が突っ込んだ。
「最初から人間じゃねーよ
」
と。
あの彼は何処かで元気だろうか。
閑話休題。
つい数日前にも書いたんだが、
「リアリティがない」「ご都合主義」
「人間が書けていない」という批判を
創作作品にする人間は、須らく馬鹿だ、
と個人的に思っている。
で、このニュースの批判にはそんな意見が
花盛りやなぁ、などと思ったのだ。
曰く「リアリティがない」と。
しかし、このリアリティという言葉、
ふたつの切り口がある事に間も無く
気付いた。
一方はこのようなもの。
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「ドラマだしどーでもいいが、
妊娠から出産までが雑すぎる」
「つわり時期を丸っとカットしおった。
妊娠出産も舐めておる……」
「つらいであろう妊娠中のあれこれを
書かずいきなりうまれましたーって
なめてんのかと」
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こんな批判を読むと、「時間の省略も
出来ないんじゃあ、例えば妊婦の日常を
省略無く10ヶ月描いたドラマを喜んで
見るのだろうか?」などと云ってみたくも
なる。
こうした意見の表明者の大半が子を為し、
育てているのだろうなぁ、とは思う。
だが、それはその「自身の経験の特権化」
にしか過ぎなく、またその経験に
囚われ、振り回されている(それほど、
妊娠出産というのはビッグイヴェント
なのだ、という認識には一応の同意は
するがね)。
これは矢張り視野狭窄だし、不自由極まり
無い事であろうと思う。
この人たちの云う「リアリティ」とは
「妊娠という現象」に対してのものでしか
ないからだ。
もう一方はこんな感じ。
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「は?妊娠?しかも双子?? お店まだ
軌道に乗ってないのに? 計画なさ過ぎて
ビックリ。 人生プラン作ったんに、
あれはなんやったん?」
「借金返し終わってない上に店も
赤字続いてる時期に妊娠て。
計画性がないとかそういうのを
通り越している」
「なに、希妊娠3ヶ月って、3ヶ月前は
店開くために色々動いてた時期じゃ
ないんか」
「人生計画立ててたのに、
何で妊娠してんだよ。ふざけた脚本だ」
「ちょいまて、なんでも計画的なまれが
なんでこんな時期に妊娠しとる」
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こちらも「リアリティ」の無さを
批判しているが、ウェイトは明らかに
「作中キャラクタの振る舞いに『相応しい』
それなのか」という作品世界の中での
「リアリティ」を問われている。
このふたつの「リアリティ」のベクトルは
間逆であり、決して交わらない筈なのだが、
「妊娠&出産で批判」という一つのフォルダに
詰め込まれている事で、この奇妙な面白味が
醸し出されているのだろう。
当然、作品に対する態度としては、
後者が断然正しい。
云っている事が果てしなく
馬鹿っぽいだけだ。
だが、こうした「リアリティ」を
作品に要求する(前者は論外だと
しても(笑))のは、作品の能力である
と云う事は出来るだろう。
ま、唯一つ問題があるとすれば。
こうしてダラダラ綴ってきた自分が
一話もこのドラマを見た事が無く、
その「リアリティの請求」が
正当なものなのかどうかが判断出来ない、
という事くらいか(笑)。
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