仕事を終えて帰宅する。
酒を飲まない自分は、寄り道して帰った事などない。
可能な限り早く帰宅し、家族で過ごす。
通りから小さな橋を渡り住宅街に入る。
そうすると自宅の前で遊ぶ子供たちが見える。
ゆっくり近づく自分の車に駆け寄ってくる幼い倅たち―。
かつては門扉の内側でアロンゾやモニカ、それにピタが待っていてくれたっけ…。
(*3頭が揃って顔を覗かせている写真が見当たらなかった。)
手を叩いて合図を送ると、3頭はとても嬉しそうに駆け寄ってくれたものだ。
今日、我が家のあるブロックの角から倅たちを見かけ、なんとなく手を叩いてみた。
パンパンッ
かつてアロンゾたちを呼んだのと同じ音で。
音を聞いた豪騎は近所の子と遊んでいたのに、こちらを振り返るやいなや駆け寄ってきた。
5軒分の距離を嬉しそうに、力一杯駆けてきた。
それに続き、魁盛も走ってきた。
(アロンゾやモニカ、ピタみたいだ…)
本当に3頭が帰ってきたみたいだった。
膝をついて待つ。
そこへ体ごと飛び込んでくる。
両腕で抱き止める。
豪騎や魁盛の中に、アロンゾたちが生きているのを感じた。
嬉しかった。
涙が出そうだった。
自分には不釣り合いな、逞しく心優しい青年に育つんだと思った。
情けないが、未だに心の中にアロンゾたちが消えない。
それどころか豪騎や魁盛に重ねて思い出してしまう。
大丈夫。
2人は間違いなく自分の自慢の倅に育つに違いない。
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