トマ・ピケティの名前が取り沙汰されるようになって、ずいぶんたってからの再放送の、しかも途中からしか見れませんでしたけど、経済学の話なのに息をのむおもしろさでございます。
「聞こえてくるのは、金持ちどもの景気のいい話ばかり。どうも世の中なにか仕掛けがあって、あいつらばかりうまい汁を吸えるようになってんじゃねえかなあ」
とパチパチ火花が散っていたところへ、「資本収益率は経済成長率より高いんだから、格差なんて広がる一方なんだよねえ」と燃料をぶちこんだのだからたまりません。いろんなところに火がつきまくってしまいました。
みんなが漠然と思っていたことを、ちゃんと理屈こみで説明してしまったことがすごいということなのでしょう。もちろん、批判もあるようですが、そもそもあっているかどうかなんか素人にわかるはずはないので、そのあたりは適当にやり過ごしています。
ちょこちょこ挟まれる小ネタがそれぞれ味わい深いのですが、特に印象に残っているのは大学基金の運用についての話でしょうか。以下、特に数字はうろ憶えですが。
実際の資産運用について調べようとしても、機関投資家なんかはそれこそ企業秘密なので教えてくれるはずもありません。そこで目をつけたのが、大学基金の運用でして、これは原則として公開されるものらしいです。基金の規模はハーバードやケンブリッジといったトップクラスで100億円、これを年利10%でまわすとのこと。それに準じる規模の基金の場合は年利が6〜8%になるそうです。
「よし。じゃあ、俺も1%もつかない銀行預金なんか解約して投資で頑張って10%でまわそう」
と思いかけてしまいますが、重要なのは利率が基金の規模に比例するというところではないでしょうか。10%ともなると先進国の国債なんてちょろいものに手を出している暇はないので、もっとハイリスク・ハイリターンなところでまわしていくわけですが、一般にハイリスクとはいっても、複数の銘柄からリスクを抑えつつ一定のリターンを維持していく組み合わせを作っていくところが肝のはずで、結局は手数の大きさ、基金の規模が収益に直結するということだと思っています。
ちなみ投資チームへの報酬総額は基金の0.5%ほどだそうでして、トップクラスなら5億円を頭割りになりますが、チームは何人構成でしょうか。一人で1億はいってなさそうですけれども。
なので、個人が1000万や2000万程度のはした金をてれてれまわしたところで、どこかでコケたらそれきり終わりです。NISA枠の100万円となると、どんなもんでしょう。競馬やパチンコと較べればマシかも。
それはまあ、格差は広がるばかりという講義のなかで取り上げられる話なので、ふつうの人が聞くと気が滅入るようなところへ落ち着くのは仕方がありません。正直、すわりのよすぎる結論になりますけど、やりたいことがはっきりしているのなら、変な色気を出さずにそっちへ時間もお金も投じるのがいいと思います。
そんなものは特にないというのなら、投資も悪くない暇つぶしにはなるでしょうが。
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