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2014年12月31日04:10

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もともと家禽の感染症研究を続けていた塚本教授は、感染症に強く鶏卵の約25〜30倍の大きさの卵を生むダチョウを活用すれば大量の抗体ができるのではないかと考えた>

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ダチョウ抗体がウイルスから人間を守る!

塚本 康浩(京都府立大学 教授)
独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進(H18-20)
「新規有用抗体の大量作製法の開発」
ベンチャー企業、オーストリッチファーマ株式会社を設立
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ダチョウが人類の救世主になる。


2009年、新型インフルエンザのパンデミックが起こり、死者数は世界保健機構(WHO)によると約15,000人に上ったと報告されている。今後も新型のインフルエンザが生まれる危険性は常にあり、人類はこの目に見えぬ敵と戦い続けなければならないのだ。しかし、この戦いに強力な援軍が現れた。それはなんとダチョウである。ダチョウの卵がインフルエンザに有効な抗体の大量生産を可能にしたのだ。

抗体とは抗原と呼ばれるウイルスや細菌などが脊椎動物の体内に侵入した際に作り出されるものであり、再度同じ抗原が侵入した際に、この抗原と結びつき無害化する役割を持っている。この抗体を人間以外の動物で作り出す事ができれば、多くの病気の治療に応用できるため、これまでマウス・ウサギ・ニワトリなどを用いて研究がされてきた。しかし生産コストが非常に高く、大量生産も難しいため、新たな技術開発が求められていた。そこでダチョウに目をつけたのが京都府立大学大学院 生命環境科学研究科の塚本康浩教授である。もともと家禽の感染症研究を続けていた塚本教授は、感染症に強く鶏卵の約25〜30倍の大きさの卵を生むダチョウを活用すれば大量の抗体ができるのではないかと考えたのである。
抗体の市場規模は検査用試薬だけでも日本のみで約1,200億円。さらにさまざまな分野で応用されれば市場規模は計り知れないビジネスになる可能性を秘めている。
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大量生産を可能にするダチョウの卵。


ダチョウは2歳から約40年間も卵を生み続けることができる。

ダチョウの卵は鶏卵の約3 0 倍も大きい。しかも年間で100個近くの卵を生むため、これまでには考えられないようなコストダウンが実現できるのだ。例えば、ダチョウの卵1個の卵黄からは約4グラムの高純度の抗体を精製できる。100個の卵からだと約400グラムの抗体の生産が可能になる。これをウサギで実現しようとするとなんと800羽も必要になるのだ。
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ダチョウの生命力か?さらなるダチョウ抗体の凄さ。


ダチョウ抗体の凄さは大量生産ができることだけではない。もちろん、もともとは大量生産を目的として研究が進められたのだが、研究が進むに連れてさらなる長所が分かってきたのである。

まず1つ目に抗体の強さ。ひと口に抗体といっても強さがあり、ダチョウ抗体は従来の抗体と比較してウイルスを無害化する威力が強いことが分かった。鶏卵から作られた抗体と比較すると、ウイルスへの抑制力は最高で20倍以上もあったのである。これはダチョウの高い免疫力が関係していると考えられている。2つ目は熱に対する強さ。これまでの抗体は熱に対する耐性があまりなく、他分野への応用が限られていた。しかし、ダチョウ抗体は熱に強いため、さまざまな工業製品などにも活用できることが分かったのである。3つ目は品質の均一性。抗体は抗原を体内に取り入れる動物の個体差により、微妙に異なることが多い。つまり、これまでの方法だと同じ品質の抗体を作ることが非常に難しかったのである。しかし、一つの卵から大量に生産できるダチョウ抗体はこのばらつきが非常に少ないため、工業製品等に利用する際品質管理という部分でも有利になったのである。
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ダチョウ抗体を使用したマスクを販売。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
http://www.jst.go.jp/seika/bt23.html
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