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2014年08月08日21:35

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表面加工業

 前の日記からずいぶん間があいてしまったのだけれど、フォークリフトの免許をとってその週末にはネットで仕事を探していたのであった。

 じつのところ、次は中山あたりにある十二時間シフト勤務の工場なんかを考えていたのである。昼昼夜夜休休の六日でワンサイクルの職場で、こんなシフトを考えたやつは馬鹿じゃないかというか、おまえがそれで働いてみろと言いたくなるような勤務形態なのだけれど、時給はやたらといいのであった。最初にこれを見たときはこんな働き方をする人間もいるんだなぐらいに思い、まあ自分とは縁のない世界の話だと思っていたのだけれど、だんだんちょっと挑戦してみたくなる気持ちも高まってきて、それなら、近くに引っ越さないと続けるのは難しかろうと、暇があるとそのあたりを歩いてみたりもしたのである。新年のあいさつで今年のテーマは「お金」といったりしたのもそれが念頭にあってのことだったのだけれど、いざ探してみるともうその仕事の募集はなくなっていた。

 いちおう、人間の体は一日二十四時間で生活するようにできているはずで、シフト勤務っつーのもどうかなと思いつつ、でも、そうやって働いている人もけっこういるよなというあたりで迷ってはいたのだけれど、生活が一週間のサイクルでなくなると、基本的に週末に開かれるYSGAの例会に参加する機会も激減する。そんなのたいした理由じゃなかろうと言われるかもしれないが、現状、他に楽しみもない身からすれば、それもけっこう大きな要素である。

 そのあたり、もろもろ考えて、最後までシフトの工場勤務も考慮に入れながら、最終的に申し込んだのは北新横浜という新横浜から市営地下鉄で隣の駅の近くの工場だった。割とここでもう今年のテーマ、「お金」はうっちゃってしまったのであった。

 翌月曜日の朝、早速に派遣会社から電話があって履歴書をもって面接に来てくれと言われる。妙に話が速いなと思いつつ、行って話をしてみると、まずは申し込んだ会社で進めてみるけれど、他の会社にあたってみてもいいかとのことだった。ネットでせこせこ探してけっこう手間をかけて絞りこんだところではあったけれど、ぶっちゃけ、別に思い入れはないので、それでいいと答えた。

 翌朝、その派遣会社から電話がかかってきて、もう一つの会社が会ってみたいと言っているので、今日のうちに行ってみないかと言われる。こりゃまたえらい速いなと思うけれど、どうせ暇だから行くことにした。川崎駅で待ち合わせて自動車に乗せてもらい、市役所通りを進んで富士見通りになってからもさらに進み、陸橋をこえたところでちょっと脇に入った工場へ入った。
 工場で五十がらみの作業服の課長と世間話じみたことをしばらく話していると、「じゃあ、明日から」と言われる。どうも速いなーと思いつつ、「引っ越してからじゃダメですか」と尋ねると「うーん」と答えられたので、「いいですいいです明日から来ます」と答えてしまった。

 後で派遣会社の人に「ところで、最初の会社はどうなったんですか」ときくと、「あれはまあちょっと条件が……」とごにょごにょした答えが返ってくる。おいおい、最初からここに嵌めこむ気満々だったんじゃないかともいえかねない感じなのだけれど、実は条件はこちらの方がいいのであった。時給も高いし、土曜日も隔週が出勤ではなくて完全週休二日制である。YSGAの例会にも参加し放題なんである。北新横浜は新横浜に近いこともあり、引っ越すとはっきりいって家賃は高くなるが、事前の調べによると川崎の港湾よりの方は物件こそ少ないものの家賃は安くなる。
 表面上の待遇はともかくとして、ここが本当はブラックな職場だったら話としてはおもしろくなるわけだけれど(本人はたまったものではないけれど)、残念ながら現実は別にそうした盛り上がりをみせることもなく淡々と進んでいくのであった。
 三日前には思いもしなかったところで働くことになったわけだけれど、そもそも私は自分の判断を信じていないので、そういう成り行きで事態が動いていくことは嫌いでないし、おもしろいとも思うのである。

 職場はベトナムにも工場をもっている会社の川崎の工場である。その工場自体は営業が三人、総務と経理は兼任の女性が一人、作業員をあわせても二十人弱の規模だけれど、敷地はそこそこ広い。業務は表面加工といって、私もまだよくわかっていないのだけれど、化成班は溶液を満たした槽に金属のパーツをどぼんと浸けたりしている。塗装班もあって、私はこちらに配属になったのだけれど、塗装といっても色を塗るというよりは金属の表面に特殊な膜を形成するという意味合いが強い。
 仕事柄、シンナーを使うので、これがダメな人はどうにもならない。実際、以前にここで働き始めたのだけれど、シンナーにどうしても耐えられなくて辞めてしまった人がいるらしい。その点は大丈夫かと何度も念を押されたが、日常的にシンナーを吸う習慣がない以上、自分でもわからないからやってみるしかないと答えたが、現状、特に問題ないようである。

 私の仕事はある塗装マシンにつきっきりになって、塗装するパーツへマスキングするように治具をはめて機械にセットし、塗装されたら治具を外してできあがったパーツをひたすら並べていくというものである。途中、ちょこちょこ塗料を足したり、ノズルを洗浄したりなど、簡単なメンテナンスもやるけれど、基本的には同じ動作のくり返しである。とあるネットワークRPGでひたすら同じクエストをクリアしている自分に気づき、単純作業の心地よさに目覚めた自分にはうってつけの仕事という気はしている。

 シンナーの他、塗装をすぐ乾燥させるため機械が高熱を発しているので夏場は特につらいのと、強力に換気するので耳元でけっこう音がするのも人を選びそうではある。あと、作業そのものはモダンタイムズ状態なので、人間の尊厳とか気にする人にはむいていないかもしれない。
 しかし、流れ作業ではないから自分のミスで他人を待たせることもなく、その点は気が楽だ。

 そして、なんだかんだで気がつくともう二か月くらい働いている。今日は夏休み十一連休の初日なのだった。会社のカレンダーだと来週いっぱいの九連休なのだけれど、パーツを納品してくる会社の夏休みの都合やらなんやらで、前後一日ずつ出てもやることがないので、二日延びてしまったのである。おかげで遅れに遅れていた役所関係の手続きとかをようやく片付けることができた。
 ただでさえ面倒な引っ越しを仕事をしながらやる羽目になってしまって、この二か月はひたすらそれに追われる日々だったわけなのだけれど、それについてはいずれまた。

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