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2013年09月02日00:00

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【歴史】ステファン・ベロフ、没後28年

mixiを始めたときから、いつか書きたいなと思っていたのですが、今年彼に関する大きなイベントが催されたので、良いタイミングかなと思いました。

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ステファン・ベロフ(1957年11月20日生まれ−1985年9月1日没 享年27)

ドイツ人レーサーのステファン・ベロフは、1980年にカートでレースデビュー、81年ドイツFF1600チャンピオンを経て82年にはF2にステップアップ、83年にはF1のテストドライブを経験する傍ら、ポルシェAGのワークスドライバーとしてロスマンズポルシェ956をドライブしていました。

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956のコクピットで笑顔を見せるベロフ

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1984年、引き続き世界耐久選手権にポルシェワークスから参戦する傍ら、ティレルからF1デビュー、セナとプロストの最初の確執となった雨のモナコGPではプロスト、セナに次ぐ3位でフィニッシュするなど、才能の片りんを見せていました。

※後に『水タンク事件』が発覚し、ティレルは84年全戦失格となっています。

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翌85年、ベロフはF1に重点を置いたためワークスチームを離れブルンへ移籍、ティエリー・ブーツェンと共にブルンポルシェ956(956−116)を駆ってWECへ参戦しました。

しかし9月1日に開催されたスパ1000km耐久レースで悲劇が起こります。

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ベロフはトップを争っていたロスマンズポルシェ962Cのジャッキー・イクスとの激しいせめぎあいの中、あろうことかオールージュの飛び込みでインを差そうとしました。

2台は接触しもつれるようにアウト側へクラッシュ、この時ベロフの956はスピンしたイクスの962Cとガードレールとの間に挟まれてしまいモノコックが大破、漏れたガソリンに引火して出火してしまいます。



http://www.youtube.com/watch?v=8UJSZCHSj6Q

ジャッキー・イクスの962Cに搭載されたオンボードカメラから事故の瞬間の映像。

モノコックの完全につぶれてしまった956から救出されたベロフはメディカルセンターへ運ばれたもののほぼ即死状態でした。

ベロフはこのレース以前に1986年からフェラーリのドライバーとしてF1に参戦することが決まっていました。
生きていれば、ミハエル・シューマッハよりも早くドイツ人初のF1ワールドチャンピオンになっていたかもしれないという意見と、速いが安定感がないので、生きていてもチャンピオンにはなれなかっただろう、という意見がありますが、前年の84年にはWECで9戦中5勝を挙げてドイツ人初のWECドライバーズチャンピオンを獲得しており、辻褄が合わない意見とも取れます。

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またベロフの事故死の僅か3週間前には、クレマーポルシェ962Cをドライブしていたマンフレート・ウィンケルホック(写真右)がモスポート戦で事故死しており、WECで連続して死亡事故が発生したのと同時に、ポルシェ956/962Cのアルミハニカムモノコックの安全性に疑問を投げかけることとなりました。

また、ベロフを語るうえで、もう一つ忘れてはならないのが、彼の速さの部分です。

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これは1983年5月のニュルブルクリンク1000km耐久レースでの一コマです。
カーナンバー2のワークスポルシェ956(956−007、たばこ広告禁止のためRACINGカラー)はステファン・ベロフとベテランのデレック・ベルのコンビでした。

この年はGPコースが改修中のため、北コース(現在と同じ20.832km)だけを使って開催されました。

ベロフはこのレースの予選でニュルブルクリンク北コース(20.832km)の絶対レコードとなる6分11秒13というタイムをマークしました。

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決勝では序盤でリタイヤしてしまいましたが、ベロフの速さを思い知らせるには充分な出来事でした。



http://www.youtube.com/watch?v=gkhVnv80_lc

当時の映像

この記録は30年経った今でも破られていません。

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この絶対レコード樹立から30年の節目を迎えた今年8月、ベロフの功績をたたえ、北コースのコーナーにベロフの名前が付けられることになりました。

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イベントに花を添えたのは、当時のカラーリングが再現されたポルシェ956(956−007)です。

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そしてこのイベントで956をドライブしたのはベロフのパートナーだったデレック・ベルです。
デレック・ベルも今年の10月で72歳になるんですね…。

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http://www.youtube.com/watch?v=ShXJDHaVg-I



http://www.youtube.com/watch?v=1l8tyypVGbM



http://www.youtube.com/watch?v=aSkEO1VnhaI

こちらが今回のイベントでのデレック・ベルの走り。
結構上まで回してます。

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ステファン・ベロフSと名称が付けられたのは、コース後半の下りセクションにあるプランツガルデンの2つめ、有名なジャンピングスポットのあとのS字コーナーです。

ステファン・ベロフ、あまりにも速く駆け抜けていった一人のレーサーの歴史の一部がここにあります。


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