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2013年08月10日11:27

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「朝まで“あま”テレビ」

 『あまちゃん』のこれまでのダイジェストを三夜連続で放送するそうでして、ぜひこれ未見の方にはおすすめです。

「あまちゃん」朝まで一挙放送、第20週までのダイジェストを3日間で。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=84&from=diary&id=2535858

 『あまちゃん』のおもしろさはそれぞれのシーンの細かな組み立てにあると思います。今回のほぼ1/4のダイジェストでは魅力が伝わりにくいでしょうが、これで今までの流れを把握してじっくり本放送を楽しまれるのがよろしいかと。

 『あまちゃん』の脚本で最大の見所は、会話の噛み合わなさでしょうか。やりとりがスムーズにいかないその部分に、登場人物それぞれに立場や考え方の違い、なににこだわっているか(勉さんは琥珀のことしか頭にないとか)が充填されていて、ぐっとキャラクターが浮かび上がってきます。
 滑らかにいかないのは、人物たちの目論見がなかなかその通りに実現しないことも然りでして、春子さんが昔のスタッフを半ば脅迫してとってきた仕事をヒロインは結果としてすべて蹴ってしまうし、ユイちゃんが上京するかと思いきややっぱり来ないし、ヒロインはすったもんだの末に結局、アイドルグループには残れないし、自転車を壊すはずが見つからないから壷を壊すことになったり、ストーリーはなかなか順調に進みません。その順調じゃないところ、話がどんどん脇道にそれていくところに、キャラクターたちの陰影が凝縮されていて、脇道こそが本道になっていく感じは本当にみごとだと思います。一週間に六日、半年間の長丁場を退屈させずに引っ張っていくには、こういうテクニックが必要なんだと感心させられます。

 それから、平板になりがちな会話のシーンにかならずギミックを仕込んで、飽きさせない作りにしているところにも要注目です。会話の内容だけでシーンをつないでいくと、やはり、往々にして間が持ちません。それはおそらく、人間の会話のスピードが視聴者の集中力の持続を支えきれないからではないだろうかと思います。そこで、お湯が沸いていて誰が火を止めにいくのかとか、ヒロインが寿司職人見習いの彼氏をなぜか出前に行かせようとしているとか、会話に付帯状況をセットしてシーンを牽引させています。そのネタのバリエーションの豊富さとか、選択の適切さもうまいと思います。

 あとは、古田新太ですね。あの人はもうなにをどうやったところで、古田新太でしかないわけです。なにを演じても、こちらがそうとしか見れません。そのことを本人は喜んでいないような気もしますが、その古田新太にあまり古田新太っぽくない枠をはめた役を振って、それでもそこにいるのがやはり古田新太以外のなにものでもないという事実には、感動すらおぼえます。腕の組み方とか、明らかに秋元康を意識しているはずなのに、今週のGMT5のダメ出しのシーンなんか、キャラもストーリーも崩壊して古田新太がいるだけなんですけど、異様におもしろいです。
 寡黙なピエール瀧の寿司職人もなんだか笑えます。

 そんなこんなで『朝まで“あま”テレビ』、ぜひぜひどうぞ。NHKのまわし者みたいですけど。

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