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2012年04月15日13:32

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大人計画 『ウェルカム・ニッポン』

大人計画 『ウェルカム・ニッポン』を見て来ました。

大人計画の劇団員が全員揃うのは、実に7年ぶりらしいのですが・・・。ですが・・・星野源氏がいない(^_^;)。他のお芝居に出ていて、欠席だったそうです。その代り、開演前に『諸注意の歌』を唄い、休憩の時に『休憩が終わりだよ』とお知らせする為の歌を唄っておりました。
あと、猫背椿さんもいらっしゃらなかったのですが、何でだろう??

今回のお芝居。つまらなくはないのですが、私には、ちょっと話が散漫に思えてしまったなぁ〜・・と。人数多いから仕方ないのかな?とも思ったのですが、人数が多くても、『愛の罰』や『ちょんぎりたい』や『カウントダウンン』は、大人計画的カオスはあれど、ちゃんとまとまっていたものなぁ。ってコトは、松尾氏が纏めきれなかったってコトなのかなぁ?でも、大人計画のカオスな熱量は相変わらずでした。
ギャグの部分。下ネタがイマイチ嵌ってなかった部分もあったかなぁ〜と思ったり。「無理に下ネタ入れてないか?」って思ってみたり。大人計画の下ネタって、綺麗に嵌るとこれ以上ないくらい綺麗に嵌るんですが。
でも、相変わらず、セックス描写は面白いなぁ。あと、チンコの描写と。セックス描写が面白いのは、常々、松尾氏は何処かで「セックスって、マヌケで可笑しい行為だな。」って思っているのかも知れない・・・と思ってます。確かにそうだよね。冷静に考えると「俺、何、必死になって、女のマンコにチンコ入れて腰振ってんだろう?」って思うよな・・・ホント。何でしょうね?セックスって。

生きて行くって、本当は、シンプルに、飯食って、クソして、セックスして、寝るで良いはずなのにね。それなのに、シンプルに生きられないから、人間は面白く、そして、切ないんだろうね。

明らかに、『マルモの掟』から、阿部サダヲ氏を好きになって来たような方がおり、その方が、どんな感想を持ったかちょっと知りたい。前回は「汚いし、最低な芝居だったね。」って言っていた着物姿のお嬢さんがいて、私はその感想をきき、大層安心したのですが。私は、大人計画って、一般受けする芝居ではないと、思っています。なので、阿部サダヲ氏や宮藤官九郎氏が売れて、一気に集客人数が増えた時、私は「本当に、大人計画好き?宮藤氏や阿部氏が売れたから、『コレを面白いって思わなきゃいけない』って思って来てない?無理しなくて良いんだよ。拒否反応あって、当たり前だから。」って言いたかったりもしたのですが。今回マルモから流れてきた人は、舞台上で、ある意味クズ人間のような(笑)阿部氏を見てどう思ったろう。クズ人間って、勿論、役柄がね。私にとっては、こちらが、本来の阿部氏お得意の役だぁ〜って思っちゃうけれど(笑)。

お客さん。年齢層が上がったような気がしますが、考えてみれば、大人計画を私が1番最初に見た時、私はまだ18歳でした(初演の『ゲームの達人』から見ています)。その私が40代になったんだから、そりゃ、客の年齢も上がるか(^_^;)。と思いました。皆、大人計画と一緒に年をとったんだね。結果、20年以上大人計画を追いかけるハメになるとは、その時、私は一切思っていなかったんだケドね・・・。結果、追いかけてます。てか、20年以上続いてる劇団って凄いよな!だって、第三舞台も、東京サンシャインボーイズも、今ないんだよ?そう考えると、異例中の異例なんでしょうね。ケラだって、劇団健康→健康→ナイロン100℃って変わってるワケですし。・・・まぁ、やってる演劇が全然違うってコトはないんでしょうけれど(あえて言うと、健康時代のが、キレ気味シュールだったかな?)。

あ、今回、ケラさんも、面白い形で登場します。対人恐怖症気味の松尾氏の唯一の仲良し演劇人かもしれないね。ケラさん。

※以下、大人計画 『ウェルカム・ニッポン』の感想を書きます。このお芝居は、まだ続いておりますし、ひょっとしたら、WOWOWで放映されたりするかもなので、ネタバレがお嫌な方は、読まれない方が宜しいかと存じます。

それでは、ネタバレOKの方のみいらっしゃいまし〜。

『ウェルカム・ニッポン』
会場:本多劇場

作・演出/松尾スズキ

出演。早乙女太一郎、ゲリラ・・阿部サダヲ 早乙女トメ・・田村たがめ エイドリアン・コーエン・・アナンダ・ジェイコブズ 蒲生昭三・・宮藤官九郎 弁慶、ゲッペルズ・・荒川良々 黒田五郎、尊長・・松尾スズキ 黒田アカネ・・池津祥子 黒田文治、ゲリラ2・・宮崎吐夢 バルさん、弘樹、男、ヒトラー・・村杉蝉之介 ミヤコ、エヴァ・・伊勢志摩 朝丸、モノノベ・・近藤公園 白石恵・・平岩紙 詠美・・菅井菜穂 運慶・・皆川猿時 ビンチャック・シェットワージャック・コーンチャーワン・ワーガイローン・・顔田顔彦 生徒・会田、親衛隊員・・井上尚 生徒・大麻・・矢本悠馬 生徒・草間・・青山祥子 梅図幸子・・宍戸美和公 牛頭・・少路勇介

ナレーション1部・・萬田久子 ナレーション2部・・ケラリーノ・サンドロヴィッチ
(ナレーション2人の、お着物姿の非常〜に日本的なVTRが流れるのだが、萬田さんは着物が似合って当たり前だと思うが、ケラ氏も結構似合ってて面白かった)

ザックリ粗筋
エイドリアンと言う女性がアメリカから、日本の下町・・東京と埼玉の狭間にあるワダチ区にやって来る。彼女は、アメリカの9.11テロの時助けてくれた男、牛頭を探しに来たのだ。牛頭とは、3.11大震災の時から連絡が取れない。牛頭は、アメリカの音楽スクールに通う学生で、帰国後、このワダチ区で音楽教師になったと言う。エイドリアンは、本来なら、3月11日に来日する予定だったが、震災後、日本は混乱。連絡が取れなくなり、日本に来られなくなっていた。いつまでも連絡が取れないコトを心配し、エイドリアンは日本に来たのだと言う。
彼女は、元ヤンキーのタクシー運転手蒲生の案内の元、弁慶と言う男が経営するホストクラブに連れて行かれる。弁慶は、元力士仲間で現在ヤクザの運慶に借金があるらしい。その弁慶に借金をしている蒲生。蒲生は「債権を運慶には売らないで欲しい。」と頼んでいるようだ。
牛頭の友達であった仲間たち。場末のスナックに集っている。体育教師の早乙女、スナックママのアカネ、アカネの旦那の弟文治は、ガンで余命いくばくもないらしい。そんな牛頭の友達達には、牛頭に関する共通の『秘密』があるようだ。

この町には、害獣駆除をするバルさんと呼ばれるホームレスが住んでいる。このホームレス記憶喪失なのだが、何故かドイツ語が喋れて、親がドイツの移民だったアナンダとドイツ語でまともにコミュニケーションがとれる唯一の日本人となる。

彼ら・・牛頭の友人達は彼女に言う。「牛頭は、3.11の翌日東北にボランティアに出かけ、それから一切連絡が取れない。」と。エイドリアンはショックを受けるも、運慶の舎弟の1人ピンチャックに「牛頭の居場所を知っている」と言われる。ピンチャックは、カンボジアとフィリピンの境にある小国の出身。内戦で情勢が悪化した国から、“かわいがり”が問題になり、力士を辞め、たまたまその国で売春宿を経営していた運慶と意気投合し、亡命したのだ。しかし、亡命した途端内戦は終了。皆から「亡命タイミング馬鹿野郎」と呼ばれていた(笑)。

ピンチャックは、エイドリアンに「牛頭は、自分の故郷の国にいる。」と告げる。牛頭は、そこで、地雷撤去のボランティアをしてると。エイドリアンは、ピンチャックと一緒に、ピンチャックの出身国を目指す。

弁慶には愛人がいる。その愛人の子供である詠美(誰が父親かは分からない)の同級生の白石は、芸能界に憧れる少女で詠美と同じ演劇部員。白石は、かつて、牛頭と関係があったらしく、今は、牛頭の後に演劇部顧問に就任した早乙女と関係があるらしい。白石は、高校演劇大会の演出が上手くいかず、元小劇団の役者で、今は弁慶の店でホストをしている朝丸に演劇の演出を頼む。

ピンチャックは、出国前に、運慶の部屋から秘密のモノを持っていく。一つは、運慶とピンチャックのベッドインの写真なのだが、もう一つは、謎のビデオテープであった。
ピンチャックの国につくも、ついた途端に、再び内戦が勃発。ピンチャックは「帰国タイミング馬鹿野郎」と呼ばれる(笑)。そしてエイドリアンは、ピンチャックに「実は、この国に牛頭はいない」と告白される。帰国したくとも、帰国の金がなかったのと、嫁の顔を見たがっていた親の為にと、エイドリアンを騙して連れて来たのだ。ゲリラに襲われるピンチャックとエイドリアン。ピンチャックは撃たれるも、すんでで、原住民にゲリラは殺され、そこで、エイドリアンは、シャーマンでもある酋長に「嘘を言ったら森の精霊に殺される」と促され、「本当のコト」を告白する。

エイドリアンは、音楽の専門学校に行くと親を騙し入学金を貰い男と駆け落ちするも、その男と破綻。バンドマンの愛人になったり、クラブハウスオーナーの愛人になったりしているうち、エイドリアンは「金さえ払えば誰とでも寝るビッチ女だ」と噂が広まり、その町にいられなくなり、逃げるコトにする。出国の金を売春で稼ぎ、しかも、誰の子か分からない子供が出来、子供は、親に押し付け、牛頭を頼って日本まで逃げて来たと言うエイドリアン。酋長は「穢れた女だから、森の生贄には出来ない」と言い、エイドリアンは救われる。

エイドリアンは、ピンチャックが死ぬ前『3.11』と書かれたビデオを見せられる。そこには、牛頭の真相が映っていた。牛頭は、エイドリアンが来日するはずだった3月11日。エイドリアンをびっくりさせようと、落とし穴を掘っていた。その落とし穴に誤って落ちて牛頭は死亡。その直後に大地震。テンパった友人達は、牛頭の死体を勝手に埋めてしまった。
友達達は、余命いくばくもない文治に「震災と無関係にマヌケにしんだ牛頭があまりにもあわれだ。本当は皆で死体を埋めたが、文治はどうせ、あと2ヶ月の命なのだから、自首して罪を全部被ってくれ。」と言う。

エイドリアンはボッロボロになって日本に再び来日。白石から貰ったパンにむしゃぶりつきながら、バルさんと話をする。
実はバルさんは、第2次世界大戦時、ヒットラーの側近で、物質転送装置を作っていた科学者だった。ヒットラーを日本に送ろうとするも、バルさんは、ヒットラーと一緒に部室転送装置で送られてしまったため、ヒットラーと融合。記憶喪失になるも、エイドリアンが「ユダヤ人」と知った途端、ヒットラーの記憶が覚醒。エイドリアンに向け、ヒットラーの人格となったバルさんは毒ガスをエイドリアンに浴びせるが・・・。
さて、エイドリアンの運命は?

そんなお話。

改めて書くと、場面が結構変わって、大人計画を見慣れてない人には、付いていくの大変だったかも・・・って思う。
時間と空間が入れ小細工になってない分、松尾氏の脚本としては、分かりやすい方なんだケドね。

コレ、一言で言うと「ヤリマンアメリカ姉ちゃん日本へ」ですね。

白石が、早乙女とデキて、早乙女の子供を孕んで、でも、白石はぼけ老人のトメとは暮らせないと言い、「母親か私かどちらか選べ」と白石に迫られ、早乙女は、半ボケの母ちゃんトメを捨てられず、結果、早乙女が母親を選び「やっぱり母ちゃん捨てられないし」と言った時、白石がトメに放つ台詞。「オマエ、70歳くらいだろ?オマエら、戦争からも上手く逃げて、年金貰ってのうのうと生きて!いいよ、私が面倒みてやるよ!でも一つ頼まれてくれないかな?ブロードウェイに行きたいの!その金を寄こせ!」は心しみる。
『戦争から上手く逃れて、年金貰ってのうのうと生きて』の部分ね。
コレ、今の若者から見たら、70代の人って、本当にそう見えないか?実際は、違っても、苦労してても、おそらくそう見えちゃう。
自分たちは年金すら貰えないかも知れないのに、「何、全てから上手いコト逃げて、のうのうと年金貰って暮らしてんだよ!このクソ老人ども!」って思う部分って絶対あるよなぁ〜・・・。

早乙女の絵に描いたようなダメ男っぷりとかね。梅図幸子(スーパーの店長の嫁)ともデキてて、梅図は梅図で早乙女との結婚を夢見て旦那と離婚。でも、早乙女が幸子とデキた理由は「暇つぶしに万引きしちゃう母親を見逃してくれるから、そのお礼も込めて」と言う、ホントいい加減なモノ。もう、ダメ男の論理な。因果応報。早乙女は、幸子から、肩をサックリ刺されるも、「肩が痛い!」程度な早乙女が可笑しかった。早乙女がトメと町を見ながら話すシーンは、結構好きだったな。ダメでも仕方ない。生きて行くしかないんだから。

松尾氏が好んで使う言葉。
「生まれつきなら仕方ない。」「ダメでも仕方ない。」そんな仕方なさが、この作品には溢れてたような気もします。

白石に、爆笑され見下され「あたしの知ってるアメリカ人と全然違う!あたしのランチパックむさぼり食って、きったねえし!何コレ!」って言われても、パンをむしゃぶり食う、エイドリアンが、何かダメで、本当にダメダメで、でも、可笑しくて、何故かちょっと恰好良くも見えた。

舞台の冒頭で皆で唄い、最後も歌で終わるのだが、冒頭、日本っぽいコスプレで皆出て来る。立川談志、サザエさん、松尾スズキは岡本太郎をやっていたが、アレは良いのか?(笑)(ドラマTAROの塔で、松尾氏は岡本太郎を演じました)ほか、力士、野口秀雄、手塚治虫などなど・・・。

あと、作中松尾氏演じる黒田五郎が唄う変な歌とかね(ムード歌謡?)。
末期がんの文治の抗がん剤の金を立て替えてる五郎が言う「お前は俺の金の塊なんだよ」って台詞も痛いが、しみるよね。医療費ってホント金かかる。それを分かってて明るく振る舞ってるのか、こちらも、ダメダメな末期がん患者。

台詞は、「うわぁ!」っ心に引っかかるモノも多いのに、何故かやっぱり話が散漫に思えてしまうのは、やっぱり、纏まってないからかな?ポイントになる要素が入り過ぎなのかも。ヒットラーのエピソードとかね。
結果、エイドリアンは、毒ガスで死に、あの世で牛頭と出会うが、最後出会った感想が「肌、汚ったねえなぁ〜」だったのには笑った。そんなモンだよな。

伝わるのは、3.11が何も“特別”ではないってコト。あの日、普通に死んだ人だって沢山いたはずだ。牛頭は、エイドリアンを落として驚かす為の落とし穴に自分が落ちて首の骨折って死ぬ・・と言う非常〜にマヌケな死に方だったワケだケド。
おそらく、普通〜に震災と何の関係もなく死んだ人もいたワケで、その死は平等に『死』であるはずなのに、何故か、震災で死んだ人間の『死』の方が、貴いような気がしてしまい、そちらが特別であるような気がしてしまう・・・。そんな震災マジック。そんなコトを松尾氏は伝えたかったのかな?とも思いました。
でも、折角9.11の方も使うなら、もっと他の要素と絡ませても良かったのにな・・とも思った。私は、てっきり、バルさんが、9.11と何か関係あるのかな?(記憶喪失だったしね)と思ったんだケド。単純にエピソードとして、「9.11で助けてもらったから」だけでは勿体ないなって思ったんだケドね。

次回の大人計画の公演は、なんと、スズナリでやるそうな。キャパ少ないよね?チケット取り、激戦かなぁ??
あと、4回目くらいの再演で『ふくすけ』をやるみたい。こちらは、Bnkamura企画なのでチケット代が高い!(^_^;)だが、出演者は豪華!
初演のふくすけが、温水洋一氏だった・・って知ってる人って、もうあんまりいないんじゃないか・・って思う。(てか、温水洋一氏が、大人計画所属だった・・って覚えてる人も、最早あまりいないのでは・・・と。)
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