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日記一覧

藤枝静男『落第免状』(講談社)は、名古屋から奈良市幸町の志賀邸を訪ねて、「志賀直哉・小林秀雄両氏との初対面」を果たした話から始まる。さらに、その年の秋には、「三人の八高生——トルストイの愛読者本多秋五と、佐藤春夫の愛読者平野謙と、

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常盤松の志賀直哉邸に未だにこだわっている。設計者の谷口吉郎サイドから何か分からないだろうかと調べてみると、「芸術新潮」(1955年9月号)の企画「現代のすまい・志賀直哉邸」に、志賀直哉の「今度のすまい」と題する文章とともに、谷口吉郎が「設計者の

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伊豆山から十国峠伊豆山線を岩戸山、十国峠まで歩くつもりだったが、思いのほか風が強く冷たいので、あっさりと取り止め、まえから折があればと思っていた、伊豆山温泉の先の大洞台に志賀直哉旧居跡を尋ねることにした。伊豆山温泉観光協会の「散策マップ」を

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このところ文庫や古本三昧であったが、久方ぶりに新刊本を手にした。ノンフィクション作家・本田靖春は、「志操固きジャーナリストだった。滑らかで艶のある文章を書く作家だった。その芯に優しき心根を宿す人だった」と評す、後藤正治『拗ね者たらんー本田靖

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ロシア絵画が好きなわけではない。ましてや画家や作品に詳しいわけではない。モスクワ大学の今は亡きログノフ前総長から、イリヤ・レーピンの「トルコのスルタンへ手紙を書くザポロージャ・コサック」の図録を開いて、「臣下になれ」と迫る手紙を寄越したトル

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近くの代々木公園駅から地下鉄の千代田線に乗った。そのまま常磐線に乗り入れて終点が我孫子である。我孫子と聞くと遠いなあと思っていたが、1時間余りで着く。上野回りに比べると、乗り換えもなくずいぶん近くなったように感じた。志賀直哉邸跡は駅から歩い

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城ケ崎と爪木崎の水平線
2018年12月13日17:40

城ヶ崎口でバスを降りて、ピクニカルコースを歩く。今ではおむすびのようなかたちの大室山がおよそ4,000年前に噴火して海に流れ出した溶岩が浸食されて出来た、雄大な溶岩岩石海岸沿いの小径である。海岸線には絶壁が連なり、入江には岩礁が深く入りくむ眺め

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最近手にした志賀直哉『随筆 衣食住』(三月書房)によると、志賀直哉は「小説家は衣食住に興味のある方がいいという考えを持って」(「衣食住」)いた。その極みが、終の棲家となった渋谷・常盤松の住まいではなかろうか。渋谷駅からバスで三つ目の国学院大

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志賀直哉と愛犬と起雲閣
2018年12月06日20:36

先日、4年半ぶりに起雲閣を再訪した。熱海の歴史的・文化的遺産である。大正八年に海運王・内田信也の別荘として築かれ、その後、鉄道王・根津嘉一郎の手によって整えられた。戦後は、熱海を代表する宿に生まれ変わり、多くの文豪たちにも愛された。展示室に

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