少し臨時収入が入ったので、何か旨いものでも食べようと出かけた。ちょうどお昼時で空はカラッと晴れており、日本晴れと言っていい好天だったが、いつもより裏町は静かに感じた。小学校からも賑やかそうな声はしなかったし、往来を誰かとすれ違うこともなかっ
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その日、僕は所属結社の句会へ行くために、城北町から若の宮町への緩やかな坂を下っていた。急いではいなかった。急ぐのが嫌だったからだ。陽は中天に昇っていた。正確な時刻は知らなかった。僕の腕時計が電波時計ではない安物だったからである。僕は正確な時
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