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2008年03月31日18:22

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野上電鉄に想ふ

本日は和歌山県下を走ってた小さなローカル私鉄、野上電鉄が廃止されてから、ちょうど14年目の日となります。その記念として、4年前に、友人用にカキコした通信日記をあらためてココに、加筆訂正の上掲載いたします。

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「野上電鉄に想ふ」
廃止からちょうど10年いう事で、野上電気鉄道(和歌山県海南市日方〜登山口間)の廃線跡めぐりをしてきた。平成の時代になっても、昭和30年代みたいな雰囲気だった私鉄で、赤字転落してからは国からの欠損補助金を受けて運行していたが、その国から“改善見込み無し”と判断され、補助金を打ち切られて廃止となった。他の業種をほとんどやっていなかったので、当然会社は解散、今は存在すらしない。

昔はオレンジ色のシャレた地上駅だったのが、今では味気のない高架駅のJR海南駅を降り、まずは起点の駅であった日方駅跡に足を向ける。現役時からJR線のそばにあったのだが、駅名は“海南”ではなく“日方”。空地になってはいるが、引っこ抜いて積み上げられた枕木や小さな溝をまたぐ短い鉄橋が残っている。また、近くの住居案内地図にはまだ駅と車庫が書かれてて、一瞬なくなってしまったのを信じたくないような気持ちになった。

そして、いよいよ廃線跡めぐりの開始。かつて11.4kmの線路が通っていたトコを歩いていくわけやから、ウォークラリーみたいなモン。ここからかつての紀伊阪井駅まではウォーキングコースの道となっていて 〜ソレにしても、最近廃線になったトコはこのように利用される場合が多い!〜 、ヂモピー、年寄り、そしてどういうワケかこんな田舎にもいるホームレス!達の生活道路、憩いの場となっている。このウォーキングコース、紀伊阪井で、“はいココが終点です!お疲れ様でした”といった目印があるワケではなく、国道に並行しながら自然に途切れるといった感じ。ここから先がホントの廃線跡めぐりとなる。この線、かつて何回も“乗った降りた“をしているので、これから先の道を知っているワケでして、迷う事はない。

ここからの廃線跡の道は、枯れ草が生えて、人が踏みならしたような道になってて、所々に引き抜いた枕木がまだ積み上げられたままになっている。建物や駅名標はないものの、かつての駅のほとんどにホームが残っているので、誰でもかつての駅がここにあった事は容易にわかる。あたりの風景も線路と駅と架線柱がないだけで、ほとんど変わっておらず、廃止時から10年も経ってるなんてとても信じられん!
また、廃止寸前時の鉄道雑誌にて、“この桜が今年咲く頃にはもう、電車は走っていない”と大きな桜の木がある無人駅に電車が止まってる写真が掲載されていたが、その桜の木は今でもあり、見事に満開の花を咲かせていた。

川に沿うてる築堤も残っているが、かつての橋の部分は柵がしてあり、渡る事はできない。仕方なく、この部分と立入禁止区域、既に民家になってる所、犬に吠えられたトコは迂回し、普通の道路を利用した。途中、現役時代何回も訪れた神社や古い町なみにも立ち寄り、終点の登山口駅跡へ着いたころは午後6時30分。午後2時頃起点を出発し、途中2,3分ベンチに座ったり、トイレに行ったりはしたが、約4時間半延々と歩き続けたワケだ。歩いてるときはそんな事はなかったが、着いた時はふくらはぎの辺がすこしジンときた。かつての駅だったところは、バス会社の停留所兼車庫になっており、今ではこのバス会社が野上電鉄の後を引き継いでるというワケ。帰りはもうあたりも暗く、さすがに歩くワケにはいかないんで、このバス利用して海南へ戻った。

最後に、再び起点のあった日方駅の跡にたたずみ、再度“ああ、あれから10年か、信じられんなあ・・・”とかなんとかの感傷に耽っていた。

野上電鉄は、自分の鉄道趣味をより発展させてくれ、廃止になるまでに5,6回訪ね、そのたびに感動してきた鉄道であった。私の鉄道趣味の全てはもちろん、貼り絵、詩にまでも野上電鉄を題材にした作品があり、それらは鉄道に全く関心のない人たちの心をも揺さぶっている(と思う)。
末期は、ファン、マニア、にわか乗客等が押しかけ、乗務員社員の方々のやるせなきイラダつ言動があったが、あらためて自分の鉄道趣味を大きくしてくれた今はなき同社に深く感謝の念を捧げる。

“月日は流れ 我等も年をとるけれど

野上(きみ)のことは 永遠に忘れない“

(写真左より走ってた電車、廃線駅跡、貼り絵)


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