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2018年05月05日22:27

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第13回【混沌の迷宮】ゲームブックリプレイ

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※ここより先はゲームブック【混沌の迷宮】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。

ぜろです。
前回は氷づけのエルフの女性を爆殺したり、肉兵士を作ってしまったりと、人の道から外れるような事態ばかりを招いてしまいました。
そして肉兵士の顔がフキそっくりであることを知り、フキがここで作られた存在であることを知ります。
ならばフキはなぜ、助けを求めていたのか。
疑問を感じつつも、探索を進めてゆきます。
今回は、肉兵士製造室にて少女型の肉兵士を作った続きからになります。

【シルス 技術点10 体力点18 運点12】


●アタック02-12 オークの英雄

肉兵士製造室の壁ぎわに、片腕を失ったオークがいた。
重傷だ。助かるまい。
だが俺はこのオークを知っている。
正確には、片腕を失ったオークの話を聞いている。

名刀『桜吹雪』を持つオークの英雄グレードンその人だ。
腕は名刀『桜吹雪』とともに、大食らい虫に食われてしまったのだ。

俺はオークとの友情の証を見せ、グレードンの最後の言葉を聞くことにした。
オークはこの城塞の中で、黒エルフと勢力争いをしていたという。
黒エルフか。ときどき見かけた褐色の肌のエルフたちのことだろう。
螺旋階段の上からナイフを投げられそうにもなったし、氷柱に閉じ込められたエルフ女性もいた。

そこに白の魔法使い率いる混沌の手勢も加わったことで、戦局は一気に悪化した。
オークは今や駆逐されつつある。
英雄グレードンもこうして脱落し、オーク・リーダーが奥へ向かっているという。
最深部には白の魔法使いが占拠する部屋がある。
だが、そこに1人で行くことはできない。
何故なら、樹島からわざわざ呼び寄せた最悪の悪魔が、直前の部屋を守っているからだ、という。

「1人で行けない」
「樹島から呼び寄せた」
「最悪の悪魔」
「直前の部屋を守る」

これらのヒントから導き出されることは、ひとつしかない。

悪魔『魂吸い』だ。
バードドールの魂を奪い去ったあいつが、ここに待ち受けているのだ。
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グレードンは「俺の命がもう一度役に立つ機会があるのに」と悔しがりながら逝った。


●アタック02-13 バードドールの魂

フキの顔そっくりの肉兵士に行くぞと声をかけてみたが、まだ反応がないままだった。
もう少し何か聞けるかと思ったのだが。

俺はこの部屋をあとにし、奥の扉から、さらに奥を目指す。

通路の脇に、膝を抱えて座り込んでいる少女がいた。
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フキだ。

何故フキがこんな場所に、と問うことはしない。
きっと、フキにしか通れないという通風孔を通って、ここまで来たのだ。
肉兵士製造室を出てきた俺が何を知ってしまったのか、フキにはわかっているだろう。

フキは語る。自分が肉兵士として生み出されたこと。
そこで白の魔法使いは言っていた。
『悪魔を使ってかき集めた魂を、肉の塊に吹き込んで生き物を作る』と。
肉兵士の魂は、『魂吸い』が吸い集めたものだったのだ。
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肉兵士は奴隷同前で、白の魔法使いには絶対服従。
しかし、なぜかフキだけは違っていた。死にたくない気持ちがあった。
もともとの魂の力なのか、説明のつかない偶然なのか、それはわからないが。

「私は、私はあの人の言うなりにはならない。生まれたときには何もなかったけれど、今は違う。ほんの少しの間に過ぎないけれど、さまよい辿り着いた村の人たち、レドナントの村の人たちは、私を大切に養ってくれた。あの人たちにだけは、死んで欲しくない」

フキを突き動かしているものがなんなのか、少しわかった気がした。
そして同時に思った。肉兵士は命令に絶対服従。なぜフキだけが違っていたのか。

【ミラー・ドール】での出来事を思い出す。
あのとき。白の魔法使いの影武者の前にバードドールの亡骸を示したとき、彼は言ったのだ。

『こいつは出来損ないのドールだったが、なぜか他のドールとは違っていたな』

その言葉が、今のフキに重なる。
もしかしてフキ、君に宿っているのは、バードドールの……いや、よそう。

フキは、決然と俺に訴えかけた。

「白の魔法使いに、会いたい。私を彼のもとに、連れていってください。ここから先の道は、危険です。あなた一人では迷うでしょう。お願いです。私を連れていってください!」

それはもはや懇願と言ってもいいほどの決意を秘めていた。

正直、ここから先の旅の危険度はこれまでの比ではない。
白の魔法使いの部屋の手前にはあいつが待ち受けているのだ。悪魔『魂吸い』が。
フキをその犠牲にすることは、できない。

しかし創造主に会いたいと欲するフキの決意を無下にできるだろうか。
フキは止めたいのだ。自分と同じような肉兵士が作られることを。自分をあたたかく迎えてくれたレドナントの村が滅ぼされることを。
フキが白の魔法使いに訴えたところで、止まりはしないだろう。
だが、連れて行こう。俺が、やるしかない。

そのとき、肉兵士製造室の扉が開いた。

「ふわあ、ねみゅい。マスター、おはよでしゅ」

ようやく動き出した、フキそっくりの顔をし、額に「肉」と書かれた少女型の肉兵士だった。
フキの顔色がさっと青ざめる。楳図かずおばりの表情と絶叫を残し、フキは洞窟に消えた。
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俺は、失敗を悟った。
「肉」ではなくて「にく」と書くべきだったと。
いや違う。肉兵士など、やはり作ってみるべきではなかったのだと。
だが、あとの祭り。

フキは戻らなかった。
俺は複雑な迷宮を迷いに迷い、やがて進むことも戻ることもかなわぬまま、疲れ果てて座り込むのだった。
せっかくストーリーの根幹に触れたというのに急転直下、あまりにももったいない唐突な終わりを迎えてしまった。
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アタック02 シルス 迷宮をさまよい続ける


■登場人物
サルス 最初の挑戦者。ロリコン疑惑。白の魔法使いとの因縁に決着をつけるため旅をしている。
シルス 新たな挑戦者。運点が14点もあるとっても! ラッキーマン。
フキ 地下城塞の脅威の目撃者で依頼人。ひたむきではかなげでけなげな少女。
白の魔法使い 原初の時代から生きながらえた混沌の魔術師。魂をコントロールする力を持つ。
グレードン オークの英雄。名刀『桜吹雪』の所持者。
バードドール 【ミラー・ドール】で主人公が血肉を分けたドール。『魂吸い』の犠牲となった。
『魂吸い』 白の魔法使いが使う悪魔。『魂吸いの間』は通過する際、一人分の魂を要求する。



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