人を褒める
・・・・・「良かったね」と言える訓練を・・・・・
人に良いことがあったとき、例えば、あなたのまわりの人が、宝くじに当たったり、親から財産をゆずり受けたり、自分より早く出世するとします。その時、あなたは、その人たちに心から、
「良かったね」
このひと言をいってあげることができますか。
これが言えるか言えないかで、あなたの心の豊かさが決まるのです。
人が家を建てた。そうすると、
「あいつは親に家を建ててもらって。あいつの実力じゃないんだよ」
と思うことがあるでしょう。
でも、実力じゃないのに家を持てたから、「良かったね」なんです。実力があるなら自分で建てているのですから。
問題がもっと難しくなって、本当は自分が貰えるはずの財産を横取りされて、そのお金で家を建てたりして、とてもじやないけれども「よかったね」と言えないときがあります。それでも、
「よかったね、もともとそっちにいく定めの財産だったんだよ」
こう言える人はとてつもなく豊かで高い精神の人です。
本当は貰えるはずだった財産が、別の人のふところに行ってしまったのは、困ったことではないのです。別の人へ行ってしまったのは、貰う必要がなかったからです。
神様は「この人には財産がなくても大丈夫」と見込んでくれたからこそ、貰う必要がなかったのです。
財産を余分に貰ったとしても、貰った人が最後までそれを持っているかというと、必ずしもそうとは限りません。
・・・・・人を褒めて、褒めて、褒める・・・・・
この世で人間が一番求めているもの、それは自己重要感です。
でも、人というものは、どうしてだか知らないけれど、他人の欠点ばかりに目がいってしまう。他人の自己重要感を満たそうとはしない。奪うことばかりを考えるのです。
でも、そんなことにエネルギーを使うのは無駄です。そんなことはやめたほうがいい。
人の欠点を100個みつけたところで、あなたの生活は一向に良くなりません。
そんなエネルギーがあるのなら、もっとほかの使い道を見つけたほうがあなたのためになります。そのほうが自分のためになるし、世間も喜びます。あなたを賞賛します。
他人に自己重要感を与えることができないのは、自分が完璧な人間だという自信がないからです。
相手が持っている「良いもの」を見つけて褒めることです。
たとえば、相手の髪の毛を見て、それがきれいだったら、相手に言うのです。
「あなたの髪の毛はきれいですね」
そういわれると、相手は喜びます。相手の長所を、あなたは利用したことになるのです。
ですから、私は、うちの会社の人間たちに
「人を褒めなさい。いいところを見つけなさい」
と言うのです。
社長から、部長から、課長から、
「君が頑張ってくれるから助かるよ」
と声をかけられれば、
「自分は重要な人間なのだ。私が頑張ったから会社の業績が伸びたのだ」
と考えるでしょう。そう考えると、嬉しいでしょう。
そんなことをしながら、一つ、また一つ、ひとりでも多く、もっと多くの人に自己重要感を与えるのです。私もそうやって、今のように人に対して重要感を与えることができるようになりました。
いつも部下の尻をたたいて、叱って、動かそうとしても、人は動きません。褒めて、褒めて、褒めるということです。
褒める気がないと、褒められないのです。いつも、「どうやったら人を褒められるかな」
と言いながら探しているのは、結構大変なものです。
悪口なんていうものはいくらでもある。人のアラは30でも40でも見つけられるのです。でも、人のアラなんか、いくら見つけても、人から嫌われるだけです。友達を失います。やめてください。
人はいいところを見つけるほうが大変なのです。大抵の人は、今迄、さんざんアラ探しをやって名人になったのだから、もう卒業です。これからは、いいとこ探しをやりましょう。
・・・・・自己重要感を持つ社員に・・・・・
私は社員の成績が下がったときも、決して叱りません。怒っても人は動きません。怒られて、自分が暗くなりながら、お客様に明るく、優しく応対しなさいと言うほうが無理なのです。
そして仕事がよくできた時、ただ、
「よかったね。頑張ったね」
「おめでとう! すごいことだよ」
と素直に驚いて、喜んであげます。
こうした私のやり方は、私が豊かな心を持って、社員の人が楽しんでくれるようにと願って考えた知恵です。
私は会社の仲間とともに語りあったり、一緒に温泉に行きたいだけなのです。そういう仲間はお金では買えません。大切にしたい。そのための知恵です。社員を働かせようと思って出た知恵ではありません。
ですから、豊かな心を持ってやらなければ、この方法は成功しないのです。心の伴わない方法論は通用しません。
学歴など関係なく、やった人を最高に評価する。自分の能力を評価してくれる会社は楽しいものです。また、人はお祭り騒ぎが好きなものです。
人は、評価してくれて、楽しくて、お祭り騒ぎができる会社で働きたいのです。そして楽しさが募ったとき、人が集まって、そこで働く人たちがイキイキ働いて、優秀な人材も集まります。
人は仕事を終えて、自宅に戻ったときに何をするでしょうか。たいていの人はテレビを見るでしょう。だったら
「テレビを見るより、仕事をしていたほうが楽しいと思ってもらうにはどうしたらいいか」と一生懸命考えるのです。これが私の仕事と思っています。
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