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2016年11月02日00:53

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経済談義第24回:日銀「総括的な検証」について

経済談義シリーズ第24回です。日本経済超悲観派の僕がその論拠を解説していきます。



9月21日、日本銀行は、これまでアベノミクスに呼応して行われた各種政策(通称クロダノミクス)について「総括的な検証」を発表しました。


その検証において最も重要たるべきポイントは物価目標の達成度合いについてでしょう。
「物価上昇率2パーセント」という目標をアベノミクスの最大の眼目として掲げた以上、それが達成されたのかどうか、そしてそれはそもそも方向性として正しい目標設定であったのかどうか、当然深く論考されなければなりません。

しかし、報告をみるかぎりなんとも歯切れの悪い説明にとどまっています。


報告書では、黒田総裁就任以降の物価の推移について、実際の推移と、「量的・質的金融緩和」を導入していなかった場合」の物価予測とを比較して、クロダノミクスには効果があったとしているのですが、当初目標にまったく届いていないことについては十分な説明がなされていません。

一応の言い訳としては、増税による消費低迷と原油安の2点を挙げていますが、これははっきり言ってまったく不十分です。
リフレ政策の理論的背景である「通貨数量説」が本当に正しいのであれば、通貨供給量に連動して自動的に物価が上がらなければおかしいはずです。


消費低迷だとか原油安だとか、その程度の向かい風は今に始まったことではなくて、いつの時代でも何らかの不都合な要因はあったものです。
黒田総裁の前任の白川氏の時代でも、リーマンショックをはじめとして様々な逆風が吹いていました。

リフレ派の皆さんはそれを白川氏ひとりのせいにして悪の権化呼ばわりして、安倍氏を含めた政治家を巻き込んで圧力をかけた結果、最後にはくびにしてしまいました。

そこまでやって2年という期限を区切って物価目標を掲げた以上、したり顔で大見得を切った以上、そしてリスクの大きな政策を採用して莫大なお金をばらまいてしまった以上、見通しが間違っていたことを認めずに原油安がどうだとか言い逃れしたまま終わることは到底許されないでしょう。



黒田総裁のこれまでの政策は、無理のある目標を自信満々に吹聴することで市場の期待をあおるというもので、僕に言わせればいわば「ハッタリ」のようなものです。
ハッタリというのは、それが嘘であることがばれてしまうとまったく効果がありません。
11月に入り、黒田総裁は物価目標の達成時期をさらに先送りしてとうとう任期中には達成できないことを白状してしまいました。黒田氏の神通力もこれで終わりということでしょう。

あとは、今後長期的にあらわれてくるクロダノミクスの副作用を果たしてコントロールできるかどうかが問われることになりますが、それははなはだ難しいことであろうと僕は思っています。



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