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2016年04月28日00:36

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経済談義第21回:人口減少と物価の下落について(1)

経済談義シリーズ第21回です。日本経済超悲観派の僕がその論拠を解説していきます。



これまで物価について考えてきましたが、ここでもう一つ議論を加えておきましょう、人口の変動と物価の変動の統計的な相関関係についてです。
日本で物価の下落が続いていることの原因として、日本の人口減がその大きな要因である、人口が減っていくと物価が下がっていく傾向があるのだという説があり、詳しくはこれまで説明してきたとおりです。僕を含むアベノミクス批判派・悲観派の大きな論拠の一つとなっています。


人口減がデフレを招くというその説に対し、物価上昇を目指す楽観派の評論家の皆さんは異議を唱えていて、いやそんなことはない、人口増加率と物価上昇率には関係なんかあるわけないと主張しています。

そして、その強力な論拠となっているのが、明大の飯田泰之准教授による研究です。


氏のブログの中に該当する記事があります。

先進国の人口成長率と物価上昇はあんまり関係ないみたいです
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20120530%23p1

この記事で飯田氏は世界各国の人口増加率と物価の上昇率を調査して、それをグラフ「人口成長とインフレ率」にまとめています。本日記にも引用させていただきます。
このグラフは、散布図の横軸に人口成長率、縦軸にインフレ率をとって、そこに世界各国のデータをプロットしたものです。


一般に、統計データを散布図に描いたときに、縦軸と横軸に相関関係があれば、たくさんの点が斜めの直線または曲線状に並ぶような形になります。
その線が右上がりであればそれを「正の相関関係」、
逆に右下がりであれば「負の相関関係」と呼び、相関係数という指標で表されます。
全く関係がない場合には点の配置は分散して、相関係数はゼロになります。

飯田氏はこのグラフで相関係数を計算したところ、その値ははなんと「0.0005」、プラスでもマイナスでもなくほぼゼロであって、この両者は関係ない、と氏は結論付けています。

それを踏まえてこのグラフを見ると、なるほど確かにグラフを見るとプロットされた点はバラバラで、関係はないように見えます。


楽観派の評論家の皆さんはこのグラフを根拠に、人口減とデフレにはなんの関係もない、データからこれだけ明らかなことをわざわざ議論するまでもない、アベノミクス批判派はなんと愚かしい連中であることかとこれまで激しくののしってきました。

(つづく)



連載バックナンバー:
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1942875057&owner_id=277042
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