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2016年04月12日21:36

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経済談義第20回:物価についてのまとめ

経済談義シリーズ第20回です。日本経済超悲観派の僕がその論拠を解説していきます。



さてこれまで6回にわたって物価について考えてきましたが、まとめると以下の3つです。

1.中古住宅のような耐久消費財では、供給過剰の絶対不均衡により価格は長期的に低落を続ける。

2.介護サービスのような労働集宅的な商品では、供給不足の絶対不均衡により価格は上昇するが、市場原理以外の事情により値上がりには制限がある。

3.テレビのような貿易財については需給の絶対不均衡は起こりにくいが、国際競争により、物価が安くコスト競争力のある国の影響で価格が下落する。


市場ではこれらの影響が重なり合ってくるわけですが全体としてどうなるかといえば、物価が上がる2.の影響よりも、物価が下がる1.と3.の影響のほうが大きいだろうと僕は考えます。趨勢として物価が下がっていく方向だろうということです。

テレビの経済ニュースなどで評論家が、これからは少子高齢化で物価に下押し圧力がかかるだろうとコメントしたりしますが、それは詳しく言うとこういうことなのです。
今の日本では政府が物価をコントロールできる余地が意外と小さい、しかもこれからますます狭まっていくという、時代の大きな流れだと僕は考えています。


楽観派の評論家の間では、市場にお金をばらまけば通貨数量説で物価が上がるだろうとか、日本では需給ギャップが何兆円あるから政府が財政出動してそのギャップを埋めれば経済成長なんか簡単だ(つまりケインズ理論ですね)とかいう論調がいまだに根強くあります。
こういうことを言う人は、時代が変わりつつあることを認識していないことを白状しているようなものです。
たとえば財政出動といえばその多くは公共事業による土木工事・建設工事ですが、そういう業界は労働集約的、つまり上記の2に当てはまるもので、そこにお金をいくら突っ込んだところで、人手不足が深刻化するばかりで、建設費の高騰によりむしろ民間投資が抑制される(供給制約というやつです)副作用が発生して日本経済への好影響も限定的、ということになるでしょう。



ちなみに、日銀の前総裁だった白川氏は、僕がこれまで説明してきたようなことを理解していたと思います。
わかっていたからこそ、楽観派のバラマキ圧力に対して最後まで抵抗を続けたのですが、わかっていない一部の政治家や評論家に悪の権化呼ばわりされた挙句に、事実上のクビになってしまいました。
いつの日か彼の見識が見直される日が来ることを願います。



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