日本社会のダメっぷりを反映した最低の映画だと思います。
若者に厳しく高齢者に過剰に「優しい」社会の反映だろうか。(「千の風に乗って」やら「悼む人」もそう)
単細胞で、知的に保守的な人たちには、ちょうどいいのかもしれない。
その意味で、団塊世代にお勧めの映画です!
嫌いなところ
1)納棺の師匠である山崎と、新人の本木とのあいだに生じる齟齬をくすぐりとする、いかにも風の演出。
2)葬儀のあとで、食べ物やエロティックなシーンをもってくる、わざとらしい悪趣味な演出。
3)幼少時の本木を捨てた父(峰岸徹)を唐突に許してしまうところ。「死ねばいい人」なわけ?
4)その直前、父の死に立ち会うことをかたくなに拒む本木が、余が頼むことで急に父に会いにいくところ。余だって、子供を捨てたんだよね。特に償いらしいこともしていないのに、何が本木を動かすのか不明。
5)日本文学お得意の、幼少時の思い出による美化がある。なぜ、作家たちはみな幼少時の思い出をいちいち参照しないとならないのか。いまの生、このときの生を、肯定したり、批判したりしないのか。
6)風呂屋の常連であり、焼き場の勤め人笹野高史の人物造型が、おそろしく類型的なところ。お涙頂戴にしては、あまりに安っぽい。
7)また彼のせりふで「死は旅立ち」というのがあるが、-- So What ? -- こうしたせりふは、現状肯定にしかつながらないと思う。
こういう映画の世界にあっては、不実な親は子供を捨て続けるだろう。なぜなら、死ねば全てが許されるからだ。
「宗教はアヘンだ」・・・・
★補足 アカデミー賞なんて、だいたいろくでもない賞ですよ。
傑作「ダークナイト」を作品賞や監督賞でノミネートすらせず(助演男優賞のみ)、これまた傑作「チェンジリング」「グラントリノ」を無視し(助演女優候補のみ)ている賞なのだから。
だいたい、アメリカで大して公開もしていないのに、賞がもらえるのって、本当はルール違反すれすれですよ。TBSが相当、アカデミー会員にキャンペーンをやった成果であって、やっぱり、いくら政治色が強くても、『Waltz With Bashir 戦場でワルツを』(イスラエル)がもらうべきでしょ。
おくりびと / 滝田洋二郎 (2008)
出演 本木雅弘 広末涼子 山崎努 余貴美子 笹野高史 杉本哲太 峰岸徹
脚本 小山薫堂
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