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【オリバト+】コミュの▲OSB AC+▲

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この企画はすべて、MDHシステムによって決定進行されます。

※MDHシステムとは…
「マスターの・独断と・偏見・システム」の略であり、搭載することで流れがスムーズになる画期的な機能です。

※これは本トピ企画のパクリです。

『準備』
1、マスターによるバトルエリア・キャラ選択範囲決定

2、プレイヤー立候補・プレイキャラクター提示
※キャラ、スタンドのざっくりとした説明も

3、マスターによる執筆開始
MDHシステム搭載

『進行』
1、プレイヤー、キャラクターが出揃った時点で、MDHシステムによりキャラクターの能力値の設定が行われます。

例)
・タチバナ/ブルース・ドライブ・モンスター
体力:4(腕力、反射神経、あらゆる肉体的な強さを表す数値)
知力:4(知力、知識、感の良さを総合した数値)
人徳:1(人徳、コミュニケーション能力、コネ、カリスマ性などの数値)
AP:30(消費することで行動の成否を左右できる数値)
ライフ
○○○○○(5から始まり、0になることでリタイアになる)

2、マスターが執筆を開始、プレイヤーはマスターのテキストに従い自キャラクターの次の行動を決定し、それを繰り返す。
行動の決定の際、プレイヤーは行動の内容と、使用する能力値を提示する。

行動の決定)
タチバナ:
聞き込みをして敵スタンド使いの情報を集める(人徳)AP消費4

行動の成功:
指定した能力と消費したAPの合計を5にする。
行動の失敗:
能力と消費APの合計が5に満たない、行動の説明が不十分、MDHシステムが指定の行動を不可能と判断する。

行動に失敗した場合、ライフを1消費します。

※注
1度選択した能力値を連続して選択することはできない。

他プレイヤーへの攻撃)
選択した能力値とAPの合計が大きい方の行動が優先されます。

タチバナ:
サトヨシの唇を奪う(体力4)AP消費10
サトヨシ:
抵抗する(知力3)AP消費12

上記の場合、サトヨシの行動が成功、タチバナの行動が失敗となり、タチバナのライフは1消費されます。

スタンド)
行動の指定の際、3つの能力値の変わりに数値5としていつでも使用することができます。その代わり、使用することでAPを5消費します。

物語の決着)
テキストの進行次第です。


コメント(492)


【1番 灯(♀16)】
ブラックウィドー(近)
体力4 知力3 人徳1 威力4
AP5
LP●●
使用不可:知力
備考:Aと血縁関係、黒帯、川宇と対峙

【2番 ハルル(♀25)】
シーカー(遠)
体力1 知力2 人徳 5 威力3
AP11
LP●●●
使用不可:知力
備考:整形美人、過去はブス、豆吉と遭遇

【3番 トビ(♂17)】
リタイア

【4番 遠藤豆吉(♂16)】
エレクトリック・グランドファーザー(中)
体力1 知力4 人徳1 威力1
AP11
LP●●●●
使用不可:人徳
備考:虚弱、行動力

【5番 松平長船(♂20)】
リタイア

【6番 マダヲ・マーベラス(♂?)】
リタイア

【7番 ピノ・エスキーモ(♂14)】
リタイア

【8番 川宇(♂?)】
ツーサイド・ラバーズ(近)
体力5 知力1 人徳1 威力1
AP10
LP●●●●●
使用不可:体力
備考:チャンピオン、ホームレス、灯と対峙

【9番 雨宮宇土(♂27)】
ストレンジ・カメレオン(遠)
体力3 知力3 人徳3 威力2
AP13
LP●●
使用不可:知力
備考:Bと血縁関係

【10番 鬼灯美紗(♀?)】
リタイア


プレイヤーは行動を指定してください。


【名前】灯/ブラックウィドー
【行動】指定行動/川宇
【使用】威力4
【AP】5
【合計】スタンド使用9(スタンド未使用17)
【内容】スタンドで物理攻撃
【還元】なし


【名前】雨宮宇土/ストレンジ・カメレオン
【行動】指定行動/灯
【使用】威力2
【AP】
【合計】2
【内容】灯と場所交換
【還元】なし
【名前】ハルル/シーカー
【行動】指定行動/豆吉
【使用】人徳/5
【AP】
【合計】5
【内容】
衣服を整えながら、なるべくセクシーに、
豆吉に自分の知っていることをすべて教える。
といっても天井のことぐらいしか教えてあげられることがないけど…
豆吉からもいろいろ教えてほしいとしなだれかかる。
【還元】
【名前】遠藤豆吉/エレクトリック・グランドファーザー
【行動】反応行動/ハルル
【使用】体力1
【AP】4
【合計】5
【内容】
戦う意志はないみたいだし情報交換はこちらにしてもありがたいが、雨宮がいないのであれば探しに行かなくては…。
いや、わざわざ灯に嘘をついて別行動しているということは、これが彼の策なのかもしれない。

まずは、灯と合流するべきだ。

「移動しながらでよければお話します」

ハルルを連れてエレベーターに乗り込む。

次回に持ち越しという所は伏せ2人脱落したことを教えるが、しなだれかかられてパニックになり口を滑らしてしまう。

「ちょ、あの…わかりました!言いますからちょっと離れて!!」


【還元】あり
【名前】灯/ブラックウィドー
【行動】反応行動/雨宮
【使用】体力4
【AP】1
【合計】5
【内容】入れ替え回避
【還元】あり
【ACT14】

■2番、4番

ハルルは声をかけてきた豆吉をちょろい童貞だと見抜くと、
衣服を整えながら、なるべくセクシーに接することにした。

ハルルの情報を信じるなら、死体は松平という男のものだという。

雨宮さんはここに来ていない?

雨宮には何か考えがあるらしいと言っていた。わざわざ灯に嘘をついて別行動をしているということは、これが何らかの策なのかもしれない。
豆吉はまずは灯と合流しようと考えた。

「さあ、美しい私が情報を提供したんだから、童貞くんも脱出の方法を教えないさい」
「やめてくださいよ、誰が童貞くんですか…」

紛れも無い純度100%の童貞くんだ。

しかし、ここで話し込んでいては灯の居所が分からなくなってしまう。
「急ぎますので、移動しながらお話します」

成り行きで同行することになってしまったが、3人しか生き残れないこのゲームで、豆吉、灯、雨宮、ハルルの4人が生き残ることはできない。

(とはいえ、こんな綺麗な人を僕がやっつけられるわけもないし…)

このゲームが終了しても、また同じゲームを繰り返すだけだということは、この人がパニックになる恐れがあるから伏せておこう。

「童貞くん、何か隠しているわね? 童貞の考えは美しい私には全て筒抜けよ」
「いや、だから何で僕を童貞だって決め付けるんですか?!」

話す訳にはいかない。

特に雨宮が何かしらの策を持っているという話は、監視者の耳に届けば、即座にゲームを強制終了されかねない。

「そう…、胸が見たいのね! 胸を見せれば白状するのね!」
「うわあああああやめろおおおお!!?」

豆吉は当たり障りのない情報だけを提供するつもりが、しなだれかかられてパニックになり口を滑らしてしまった。
■1番、8番

世界最強の男は暴力事件によって、ただの浮浪者へと堕ちた。

彼にとって世の中はおかしなことばかりだ。
自分を尊敬していると言った、期待していると言った、愛していると言った、媚を売っていた大勢の人間が、一瞬にして誰一人いなくなってしまったことも、
無いはずの暴力事件によって、生きがいだったリングに二度と上がれなくなってしまったことも、
自分より弱い連中が、自分のいないところで最強を名乗っていることも、腹が減ることも、

だから、川宇にとってこの異常な状況こそが癒しだ。強ければ勝つ、そして目の前の少女には格上に対する尊敬の姿勢がある。なんて正しい世界だろう。

「さあ、思う存分やろうぜ」
川宇はこれ以上になく上機嫌だ。

灯は数回の手合わせで、自分が格闘において相手より優位な部分が何一つ無いことを自覚した。
ならば、それはスタンド能力で覆すしかない。【ブラック・ウィドー】は参加者の持つスタンドの中で、圧倒的なパワーを誇る【デフ・テック】に告ぐ攻撃力を有している。

問題は使いどころ。

灯は距離ができるたびに、無駄な動作を混ぜる。川宇は先ほど見た攻撃的なスタンド能力を警戒して【ツーサイド・ラバーズ】を構える。
そのラケット状のスタンドにできることが、「打ち返し」であることは想像に難くない。
灯はスタンドを発動する振りを、相手の動きを限定する為のフェイントとして利用しているのだ。

しかし、灯の攻撃は届かない。質量が倍もある自分よりも格上を相手に、灯のスタミナは一瞬で底を尽きそうだった。

「楽しいなぁ!! またこんな気分になれる時がくるなんてなぁ!! 最高にハイッてやつだぜッ!!」

一方、勝ち目の無い、しかし勝たなくてはいけない勝負を強いられている灯に、そんな余裕は無かった。

この男と勝負になるのはきっと自分しかいない、少なくとも雨宮が遭遇してしまえばお終いだ。
この絶望的なゲームにおいて、雨宮だけが残された希望。彼が死んでしまえば、何も無い、死ぬまで戦い続け、やがて死ぬだけの未来しかない。

それに気付いたから、彼女は彼を生かす為だけに行動する。
それは、これまでずっと、こんな自分勝手で馬鹿な自分を守り続けてくれた彼への恩返しでもあるし、他の強い感情に後押しされた行動でもある。

膝が震える。今にも力が抜けて座り込んでしまいそうだ。けれど、この足で地面を蹴って飛ばなくてはならない。

二人の間に雨宮の【ストレンジカメレオン】が出現する。

あの心配性、別行動とか言って見張ってやがったな…。

【ストレンジカメレオン】は満身創痍の灯に手を伸ばす。それに触れれば、勝ち目の無い勝負から脱出することができる。

「いらねぇよ! 私はな、いま最高に楽しんでるんだ! 邪魔するなぁっ!!」

灯は雨宮の救いの手を振り払う。川宇はそれを見て、歓喜した。

「そうだ、戦ろうぜ! こんなに楽しいことはねえ!」

川宇にとってこのゲームは、終わってしまった人生を輝かせる、待ち焦がれたステージだ。
もう、あんな不当な扱いは御免だ。俺は全力で戦いたい、戦い続けたい!

拒絶したストレンジカメレオンが消えた場所に、灯は声をかける。
「ありがとう、雨宮、勝機が見えたよ…」

強がりじゃない。心細さが、悪いイメージが払拭された。足を、踏ん張ることができる。

二人は改めて向き合い、構える。

「いくぞ!」
「おお!」

■9番

深追いするなと釘を刺したにも関わらず、これ以上ないくらいの死闘に身を投じていた灯に、雨宮は半ば呆れていた。
いざとなれば、川宇の方を強制的に位置交換する。二人の思惑はどうであれ、雨宮には灯を死なせない以上に優先すべきことはないのだから。

小さく溜息をついた雨宮のフロアに、美間坂の声が響いた。

「やあ、雨宮くん。元気かな?」
「ええ、おかげさまで」

十五年以上も自分を監禁し続ける男の声に、雨宮が感情をあらわにすることはなかった。

「君もいいかげん往生際の悪い男だね、また三人に残りそうじゃないか。さすがに鬼灯の娘は死んでしまったけど、鬼灯の娘は無残に死んでしまったけどねぇ」

雨宮は相手の感情を逆撫でしないように、感情を押し殺していた。ここで自分がぼろを出すわけにはいかない。全てが無駄になってしまう。

「君はあの娘のためにがんばっていたから、俺は心配してたんだよ。けどまあ、思いのほか平気みたいだ。そのモチベーションはどこからくるのかな? やっぱり自分だけになっても生き残りたいのかなぁ?」
「なにか用件があっての通話では無いのですか?」
「そうそう、君さ、何か企んでるんじゃないのか?」

「…企むとは?」
「なんか、生き残ってる病弱そうなガキが、整形女相手に粋がって話してたんだよ。雨宮は何か脱出の手立てを用意しているって」

雨宮がそれを話したことはないが、どうやら灯が豆吉に想像程度でした話が漏れたことを把握した。

「さあ、俺はそんな話を誰ともしたことがありませんし、検討もつきません。彼の単なる思い違いでしょう」
「そうか…、うんそうだよなぁ。10年以上どうしようもなかったことを、今更どうしようもできないよな」
「ええ、残念ながら」

「でもさ、10年以上このゲームを生き残っている男だ、油断はできないよなぁ? 念の為、君にはここでリタイアしてもらうよ」

美紗がいなくなったゲームで、俺にさしたる興味も無いか…。

雨宮はそれに対して弁明も命乞いもしなかった。
残りの人数は自分を入れて4、5人。灯を生き残らせるには、一刻も早く人数を減らせればいい。

ならば、これで労せず1人減らすことができる。雨宮はそう考えた。

「美間坂さん、先に行って待ってますよ」
「ああ、4、50年待っててくれるかい。さようなら、雨宮宇土」

雨宮が立っていた空間が瞬時に無くなる。フロア全体が埋め尽くされ、一瞬にして消滅した。
雨宮が天井に潰される間際、「約束を守ってください」と呟いたのを、美間坂は聞き取ることは無かった。

【雨宮宇土/ストレンジカメレオン 死亡】
【1番 灯(♀16)】
ブラックウィドー(近)
体力4 知力3 人徳1 威力4
AP9
LP●●●●
使用不可:体力
備考:Aと血縁関係、黒帯、川宇と対峙

【2番 ハルル(♀25)】
シーカー(遠)
体力1 知力2 人徳 5 威力3
AP11
LP●●●
使用不可:人徳
備考:整形美人、過去はブス、豆吉と遭遇

【3番 トビ(♂17)】
リタイア

【4番 遠藤豆吉(♂16)】
エレクトリック・グランドファーザー(中)
体力1 知力4 人徳1 威力1
AP12
LP●●●
使用不可:体力
備考:虚弱、行動力

【5番 松平長船(♂20)】
リタイア

【6番 マダヲ・マーベラス(♂?)】
リタイア

【7番 ピノ・エスキーモ(♂14)】
リタイア

【8番 川宇(♂?)】
ツーサイド・ラバーズ(近)
体力5 知力1 人徳1 威力1
AP6
LP●●●
使用不可:体力
備考:チャンピオン、ホームレス、灯と対峙

【9番 雨宮宇土(♂27)】
リタイア

【10番 鬼灯美紗(♀?)】
リタイア


プレイヤーは行動を指定してください。


【名前】灯/ブラックウィドー
【行動】指定行動/川宇
【使用】知力3
【AP】5
【合計】8
【内容】川宇の弱点を分析
【還元】あり
【名前】遠藤豆吉/エレクトリック・グランドファーザー
【行動】指定行動/ハルル
【使用】知力4
【AP】9
【合計】13
【内容】
まずい!!うっかり、口を滑らせてしまった…
どうやら、ゲームの強制終了はないようだけど、雨宮と灯は無事だろうか。

いや、強制終了の可能性がなくなったわけじゃない。早くクリアするに越したことはない…

そのためには、まずッ

「あなたの能力を教えて下さい!」

【還元】あり
【名前】ハルル/シーカー
【行動】反応行動
【使用】知力/2
【AP】11
【合計】13
【内容】
この子…童貞とはいえ、頭が悪い子には見えない。
私のスタンド能力を教えて、それでここを脱出する策でも考えてくれるのなら喜んで教えるわ。
私が今まで出会った中では一番危険人物と思われる、突然攻撃してきた格闘技の使い手らしき浮浪者のことも教えるわ。
さあ、あなたのは私のためにその脳を使いなさい。
【還元】あり
■1番、8番

川宇、灯、両者とも動きを止めた。

灯は、強大な相手に勝利する糸口を見つけるために、
川宇は、自らの最高の一撃を放つ為に。


■2番、4番

うっかり、口を滑らせてしまった…。

豆吉は後悔していた。
もしかしたら管理側に聞かれていなかったのか、ゲームの強制終了はないようだけど、雨宮と灯の安否は気になる。
今の軽率な行為が悲劇を招く前に、一刻も早くゲームを終わらせなければ。

「ハルルさん、どうかあなたの能力を教えゴバァッ…!?」
「何よ、何を言っているの? ていうか、何を吐き出したの?」

「ハァハァ…、気にしないで、こんなに歩いたことがここ数年なかったもので…、スタミナの限界なんです」

状況を好転させられる可能性があるのは、スタンド能力だけだ。豆吉は、ハルルのスタンド能力に何か打開策があることを願った。

「あなたは童貞とはいえ、頭が悪い子には見えないわ。そうね、美しい私のスタンド能力を教えて、それでここを美しく脱出する策でも考えてくれるのなら、喜んで美しく教えるわ」

ハルルは豆吉に自分の能力を明かした。
【1番 灯(♀16)】
ブラックウィドー(近)
体力4 知力3 人徳1 威力4
AP9
LP●●●
使用不可:知力
備考:Aと血縁関係、黒帯、川宇と対峙

【2番 ハルル(♀25)】
シーカー(遠)
体力1 知力2 人徳 5 威力3
AP5
LP●●
使用不可:知力
備考:整形美人、過去はブス、豆吉と遭遇

【3番 トビ(♂17)】
リタイア

【4番 遠藤豆吉(♂16)】
エレクトリック・グランドファーザー(中)
体力1 知力4 人徳1 威力1
AP8
LP●●
使用不可:知力
備考:虚弱、行動力

【5番 松平長船(♂20)】
リタイア

【6番 マダヲ・マーベラス(♂?)】
リタイア

【7番 ピノ・エスキーモ(♂14)】
リタイア

【8番 川宇(♂?)】
ツーサイド・ラバーズ(近)
体力5 知力1 人徳1 威力1
AP7
LP●
使用不可:知力
備考:チャンピオン、ホームレス、灯と対峙

【9番 雨宮宇土(♂27)】
リタイア

【10番 鬼灯美紗(♀?)】
リタイア


プレイヤーは行動を指定してください。


【名前】灯/ブラックウィドー
【行動】指定行動/川宇
【使用】威力4
【AP】5
【合計】9(17)
【内容】スタンド攻撃
【還元】なし
【名前】灯/ブラックウィドー
【行動】反応行動/川宇
【使用】体力4
【AP】9
【合計】13
【内容】EXスパイラルアローでの波動回避から、瞬獄暗転返しによるジャイロドライブスマッシャー
【還元】あり
【名前】遠藤豆吉/エレクトリック・グランドファーザー
【行動】指定行動/ハルル
【使用】人徳1
【AP】4
【合計】5
【内容】

「もう辛抱堪らんッッ」

ハルルに抱きつく。

そして、小声で耳打ちをする。

「そのスタンドで僕を攻撃して下さい。恐らく残りの参加者は4〜5人。これで終わるはずです…」

【還元】なし
【名前】ハルル/シーカー
【行動】指定行動/豆吉
【使用】威力/3
【AP】2
【合計】5
【内容】
豆吉の言っていることを理解する…
あなたを隠すことで、この殺し合いの管理者の隙をつけるということね!
最後の力を振り絞ってシーカーを発動!豆吉を隠す!
【ACT16】

■1番、8番

灯は最後の勝負に出た。

両手を前に突き出すように構え、【ブラックウィドー】を最硬度にして最も薄い状態で、最大限可能な10本の螺旋状の槍として打ち出す。
その内の数本が返され、たとえ自分の体に突き刺さろうと、残りの数本が必ず相手の心臓を貫く。決死の覚悟だった。

しかし、川宇は【ツーサイド・ラバーズ】を発動させることなく、まっすぐに特攻してきた。
螺旋鋲に体を打ち抜かれながら迫ってくる川宇に、灯は刹那パニックに陥りかけた。
川宇のその表情は獣のように獰猛で、それでいて満足げだ。

ああ、そうか、この人はこのまま地上に出て、闘いの無い、死んだような生活に戻りたくないんだ。
全力で闘って、それ自体が生きる意味で、それ以外に死に場所を見出せない人に違いない。

彼の人生は外には無い。ここにしかない。

【ブラックウィドー】の攻撃性能は圧倒的だ。
川宇がどんなに優れた戦士であっても、この拳銃よりも優れた兵器に生身で立ち向かえるものではない。すでに勝負は決着しつつある。

灯はスタンドを解除する。

この人が闘いを死に場所に選ぶなら、私をそれに相応しい相手だと認めてくれたなら、最後は最も相応しい方法でなくてはならない。

突進してくる川宇の目はすでに焦点が合っていなかった。しかし、その何かを求めるように突き出された腕に捕まってしまったが最後、瞬時に千発もの打撃を打ち込んできそうな気迫があった。

灯は手の届く寸前で体を翻してかわし、自分がもっとも得意とする後ろ回し蹴りを打ち上げるように川宇の頭部に叩きつけた。

このゲームがこれで終わりではなく、延々と続くものだと知れば、この人は嬉々として闘い続けたに違いない。

こんな世界から出たくない人間もいるんだ。

頭を蹴り上げられ、完全に棒立ちの川宇にとどめの一撃を入れる。
高く飛ぶことに憧れすぎて、地面の歩き方を忘れてしまったような男に、灯は最後まで敬意を払い続けた。
【1番 灯(♀16)】
ブラックウィドー(近)
体力4 知力3 人徳1 威力4
AP9
LP●●●
使用不可:体力
備考:Aと血縁関係、黒帯

【2番 ハルル(♀25)】
シーカー(遠)
リタイア

【3番 トビ(♂17)】
リタイア

【4番 遠藤豆吉(♂16)】
エレクトリック・グランドファーザー(中)
体力1 知力4 人徳1 威力1
AP4
LP●
使用不可:人徳
備考:虚弱、行動力

【5番 松平長船(♂20)】
リタイア

【6番 マダヲ・マーベラス(♂?)】
リタイア

【7番 ピノ・エスキーモ(♂14)】
リタイア

【8番 川宇(♂?)】
リタイア

【9番 雨宮宇土(♂27)】
リタイア

【10番 鬼灯美紗(♀?)】
リタイア
【ACT17】

川宇が倒れると同時にゲーム終了のブザー音が鳴り、
1階への出口が現れる。

美間坂のアナウンスに従い、灯は上階へ出た。それは前回と同じ光景。

武装した兵士たちが20人もこちらに銃口を向けている。
逆らえば蜂の巣だ。
そして倒せたとしても、建物から空間までがスタンド能力でできている、この施設からの脱出方法は無い。

灯は不安になって辺りを見回す。何故、誰も出て来ないんだ…?

「おめでとう灯、今回の勝者は君だ」

ゲーム終了後も美間坂は姿を現さない。

「私…?」
「君だけだ」

そんなハズない、
そんなハズがあるわけない、

「…雨宮は?! 雨宮はどうしたんだよ!!」
「おいおい、可愛い私の灯。そんなに他の男の名前を連呼しないでくれよ、お父様は嫉妬しちゃうぞぉ」

川宇が相手ならいざ知らず、雨宮はそう簡単にやられるような男じゃない。
灯はまったく状況が飲み込めなかった。

「なんの冗談だよ!」
「物わかりの悪い娘だな、雨宮は死んだんだよ」

死んだ? 誰が?

「ふざけるなよ! もうそういうのやめろよ!」
「口の利き方に気をつけろぉ、殺すぞ」

だって、あの人がいなければ、私はもう次を戦い抜く意思さえも持てない。

「まあ、混乱するのも解る。あの男がまさかリタイアするわけがないものな。でも、現に上がってこないだろう? 生き残りはまだいるんだ、ハルルとかいう女がエレベーターで倒れている」

すでに3人以下になっている、スタンドの使いすぎで力尽きて倒れている女を殺すこともない。
次のゲームの駒に使うだけだ。

「…どうして? いったい誰に!」

まだ、信じられない。

「パパだよ」
「…え?」
「あの男は何か怪しかったから、パパが殺した。うん、念の為だ」

言葉も無い。灯は糸の切れた人形のように崩れ落ちた。

「さて、立って歩きなさい。お前はまたゲームの駒が揃うまで、あの部屋で生活するんだ」
「……やだ」
「パパの言うことが聞けないのか? 立ちなさい」
「…もう…いやだ」

「困った奴だな、いったいどうしたいんだ?」
「どうもしない、もう、次のゲームなんて戦わない…」

灯は全てを投げ出して、楽になりたかった。今はもう、生きる意味も分からない。

「殺せ」

美間坂は躊躇いも無く、兵士達にそう指示を下した。
兵士達は一斉に引き金に手をかける。

ごめん…、全部わたしのせいだ…。死んでも、仕方ない。


『切って候』

その声は、兵士たちのうちの一人から発せられた。兵士はいつの間にか、武器を銃から刀に持ち替えている。
その刀で、二人が瞬時に斬られて倒れ付した。

「切捨て、御免」

その男は、兵士達が反応して銃口を向けるよりも早く接近し切り捨て、引き金を引くより早く動いた。
正確には、彼以外の全ての動きは遅くなり、結果、男は瞬時にして全員を斬って倒していた。

「峰打ちでござる」

天井と床の間に消えた松平は、圧殺されることなく簡易的にできた柱に飲み込まれ、無傷で施設の外へと吐き出された。
施設内に残された識別不能な残骸は、松平が入れ替わっていた兵士の物だった。

脱出不能の空間から松平を追い出したのは、空間の主であるスタンド使いだった。彼は美間坂に従わされている身だ。

けして美間坂に逆らうことのないはずの彼は、ある少年に一方的な約束を持ちかけられていた。その約束は、
「もし自分が、10回目のゲームにも生きて参加していることができたなら、このゲームを終わりにして欲しい」というもの、
このゲームを10回生き抜くことは不可能に思えたし、その約束を彼が守る義務もない。
それでも彼にその約束を守る気にさせたのは、10年以上に渡る戦いぶりを彼が全て見てきた為だ。

雨宮の戦いは、彼が立場を危うくすることを厭わないほどの価値があった。

そこでどうやって責任者である美間坂の目を誤魔化して、このゲームを終わらせることができるか、まずはリタイアに自分が関与することができた松平の死を偽装、彼の能力を見込んで協力を申し出た。
松平は快く協力を受諾してれた。

一箇所に集まった兵士達を殲滅するのに、松平の能力はうってつけだった。あとは監視役である美間坂を始末して、自分の情報を抹消して姿をくらませば、しばらくこの計画は中止にせざるをえないだろう。

美間坂の興味はすでに完全にゲームからは外れていた。

今回の生き残りは露出狂の女が一人、あとは部下達に任せて自分は今日やっと訪れた勝利を祝う方法を考えよう。
美間坂は帰宅の準備を終えた。すでにモニターを見てなどいなかったが、見ていたとしてもこの施設から脱する方法は無い。

「美間坂正義ッ!!」

出口へ向う美間坂。その前に立ちふさがる人影が一つ、その人物に美間坂は驚愕する。

「あ、灯…どうやってここにっ!?」

少女の瞳には怒りが凝縮して輝いている。獰猛な獣と遭遇してしまった子供のように、美間坂はパニックに陥る思考の沈静化に勤める。

どうしてコイツがここに!? 兵士たちが取り逃がしたのか、だとしてもここに到る道はないはずだ…、マズイ、何とかしなければ殺されてしまう…!!

「ま、待つんだ灯! そうだ話し合おう、お願いだ、話し合おう、なっ?!」

「……お父様」
灯の瞳には攻撃性と、そして明らかな悲しみが滲む。

そうだ、何を恐れることがあるんだ。こいつは俺の娘じゃないか、血こそ繋がっていないし、本人もそれを知らないが、15年間育ててきた正真正銘の娘だ。言い聞かせれば、絶対に自分を殺さない。殺せる訳がないだろう、父親であるこの俺を!

「灯、よく生き残ってくれたな! 俺の可愛い娘、大切な灯!」

それは勝負だった。指先一つ動かさずに自分の命を奪える猛獣を相手に、美間坂は恐怖を乗り越え、一歩も下がることなく灯との距離を詰めていく。

手馴れた大人の嘘で、最大限に心配を装った声と、安堵の表情を作り、娘の帰りを喜ぶ父親のようにその肩に触れた。

打ち捨てられた孤独と、精神をすり減らす殺し合いの仲で、限界を迎えていた少女の瞳に閉じ込められた激情は、今にも瓦解して涙となって吐き出されそうだ。固く結ぼうとした唇はわなないて、戦う意思を奪っていく。

「可愛い、可愛い俺の娘。父さんはな、本当はこんなことしたくなかったんだ。そうだろう、当たり前だ! 誰がこんな愛くるしい、小さなお前にこんな辛い仕打ちをしたいものか!」

「…なら、なぜ! なんで、こんなことになったの! どうしてお父様はこんな酷いことを!」
「ああ、許してくれ…、許してくれ灯。仕方の無いことなんだ、これは、仕方の無いことなんだよ」
ちょろいことだった、餌を与えさえすれば、野良猫は懐く。
あとは寝首を掻こうが、保健所に送ろうが、こちらのものだ。

「言いたいことはたくさんあるだろう。だが、これはとても根深くて難しい問題なんだよ。必ずお前が納得できる説明をするから、父さんを信じておくれ」
「…なら、今はせめて一つだけ、一つだけ教えてください」
「ん? なんだ? なんでも言ってみろ」

言葉でこの場を逃れられるなら、どんな嘘でもつこうじゃないか。

「お父様は、まだ私を愛してくださいますか?」
「ああ、勿論だとも、」

美間坂さんは、本当に灯さんを愛していますか?

「愛しているわけ『ない』だろぉ、お前みたいな化け物を……あ、へぇ?」

美間坂は、勝てる勝負を自ら台無しにした。

「ああ、良かった。嘘でも、心を折られるところだった。これで、私は引き金を引ける…」
「待て、灯!」

灯は【ブラックウィドー】を纏い、漆黒の獣へと変貌する。完全に鎧われた姿から、表情をうかがい知ることはできない。

「ひぃ!! やめろっ! 何でだ、何でそんなことができるんだ! お、お前、分かっているのか?! お前達がしていることは人殺しだぞ! なんでそんな恐ろしいことができるんだッ!!」

「もう何を言っても無駄だ。直接手を汚していない自分のしていることが、私達の生きるための闘いよりもずっと卑劣であると気付けもしない、貴様にはッ!!」

「ま、待て! お、お前は父親を、父親を殺すのかぁぁぁッ?!」

灯さんは、本当に美間坂さんの大事な娘さんなんですよね?

「くそぉぉぉ!! お前は鬼灯の娘の子供だ、本当は俺の娘なんかじゃないぃぃぃひぎぃぃッ!」

どんなに人の命を弄んでも、やっぱり自分だけは死にたくないですよね?

「殺せぇぇぇ!! 俺を殺せぇぇぇ!!!」
「あああああああああああああああッッッ!!!」

【ブラックウィドー】を纏った灯の拳は、美間坂の頭部を一撃で叩き砕いた。

「さよなら」

スタンドを解除した灯の視線の先に、豆吉が姿を現した。
ハルルが最後に放った【シーカー】で姿をくらまし、存在を忘れさせてここま来ていたのだ。

「ありがとう、豆吉」
「いいえ、発言を操作するような真似をして、ごめんなさい…」

「……いいんだ、そうでなければ私は手を下せなかった」

たとえそれが【エレクトリック・グランドファーザー】の力で捻じ曲げられた返答であろうと、きっと真実に違いなかったのだから。

美間坂灯は、時間を逆行して事実を失っていく鬼灯美紗の娘だった。
【エピローグ】

鬼灯美紗の父、鬼灯義一と美間坂正義は同僚であり、彼らはスタンド使いの調査員であった。
未知なる物の解明が彼らの仕事であり、その活動も始めは歩み寄りに近いものだった。
しかし、それはすぐに差別めいたものに変わってしまう。

圧倒的に有利な超能力を持つ者がいるという事実への、持たざる者の嫉妬と恐怖はとても耐えられるものではなかった。
同時に、持つ者の持たない者に対するある種哀れみにも似た意識や選民思想も、彼らの劣等感を刺激し、次第に彼らのスタンド使いに対する態度を攻撃的な物へと変えていった。

彼らが存在することが許せない、耐えられない、気が狂いそうだ。そうした感情の共感が、正義と義一を強い絆で結んでいた。

そんなある日、義一の娘がスタンド能力に目覚める。それは触れた物に時間を与えたり奪ったりする、およそ神のごとき能力だった。
娘が能力に目覚めてからというもの、義一の価値観は一変した。まるでそれは自分の力だと言わんばかりに、スタンンド使いを擁護するようになった。
いいや、それはスタンド使いの立場を危うくすることが、娘の存在を危ぶめることに対する親心から来るものだが、彼らの上司である委員会はそれをよしとせず義一を暗殺したのだ。

そして、残された娘の所在は正義に一任された。

対等だと思っていた盟友に出し抜かれたような、裏切られたような苦い思いを抱えていた正義は、その憎悪を美紗にぶつけることにした。
拉致していたスタンド使いの少年との間に、子供を産ませてみたりもした。それが灯だ。次第に美紗の記憶もスタンドも変質していく。

それから正義はこのゲームを開始した。
ただ美紗を殺してしまいたいが為に思いついたゲームだが、憎きスタンド使いたちを弄び消費するこのゲームが、委員会の偉い方にはとても評判がよく、不安や嫉妬に狂う彼らの溜飲を下げることが正義の仕事の全てになった。

それが今までのあらまし。


スタンド使いたちは勝利し、美間坂正義のゲームを叩き潰すと、無事に元の生活に戻ることができた。

豆吉はまた退屈な入院生活だ。
家族がとても心配してくれていたことに幸せを噛み締めながらも、豆吉はほとんど一生分じゃないかと思えるほどの緊張感を味わったあの冒険を、不謹慎ながらも良い思い出になるに違いないと思っていた。

何より友達ができた、これは凄い進歩だ。

ここまでついて来てくれたハルルの派手さは両親を驚かせたし、何だか頻繁に顔を出すみたいなことを言っていたのは心配だけど、

「童貞なんて守ってても良いことは一つも無いのよ、私が卒業させてあげるからいつでも言いなさい!」

そう言って美しい胸を露出していった部分には期待しなくも無い。
ただ、残念ながらここは病院だ。

もしも元気になれたら、きっとその日は訪れないけど、松平さんの道場に行って日本刀を握らせてもらったり、あとは灯さんをデートに誘ってみたりしてみたい。欲が出すぎだろうか?

「灯さんの胸はハルルさんに比べて大分薄いけど…」

美間坂が最後に言っていた通り、灯は美紗の娘だろう。そう思うと、豆吉には特別な相手に思えた。

彼女も見舞いに来てくれると言っていたし、そうしたら電話番号を交換してもらおう。その為にはまず、母さんに言って携帯電話を買ってもらわないと。
その電話が無駄にならないようにするのが、当面の目標だ。


灯は半年振りに家に帰ってきた。
時間が経ちすぎていることもあるが、何もかもが変わりすぎた灯には、そこはまるで居心地の悪い別世界だった。

訳も分からず人をたくさん殺してきた。その内の一人である美間坂正義の妻が、そこにはいるのだ。

足取りが重い。正直、これからどう生きていけばいいか分からない。消えてしまいたい。
だけど、灯にはこの家に帰らなくてはいけない理由があった。

施設を脱出した後、松平に経緯を聞いた。
雨宮の孤独な闘いが身を結び、自分たちを勝利に導いてくれたと。そして松平が生きているように、雨宮もきっと生きているに違いない。
けれど、空間に施設を作るスタンド使いも、雨宮の姿もついぞ発見することはできなかった。

雨宮が私のことで知っているのは、美間坂の娘だということだけだ。会いに来てくれるとしたら、その手掛かりはこの家しかない。
いいや、いっそこっちから探しに出かければいいじゃないか、もう学校とかに行けなくなるけど、仕方が無い。

「うん、そうしよう、それがいい」

灯は家に帰るなり二階の自室に駆け上がり、携帯電話を回収した。
預金通帳などを確認していると、誰かが階段を上がってくる音がした。

相手は一人しかいない、危険の無い人物だ。だのに、パニックを起こしそうなくらい恐ろしかった。

「灯ちゃん?」

15年間、血の繋がった母親だと思い込んでいた他人。仲の良かった親子だっただけに、どう接していいか分からない。

「あ、うん、お母さん…」

目を合わせられない。彼女がどんな顔をしているのか、恐ろしくて振り返ることができない。

「帰ってきたのね」
「ああ、えと、半年も行方不明でごめん、その、心配した…、よね?」

次の瞬間、腰の辺りに冷たい感触があり、それは瞬時に爆発のような激痛に変わる。

「うあああッ!?」

刺された、包丁で。

灯は転倒して床を転がる。おびただしい量の血液が流れ出ている。致命傷だ。

「あなた、何で帰ってきたの?! 何で、何で帰ってきたのよぉぉぉッ!!!」

母親はヒステリックに絶叫して、凶器を灯の大腿部に突き立てる。

「いぎィ! 痛いっ! お母さん! 痛いよ! 痛いィ!!」

母親の元にはすでに夫の死が報告されていた、娘が帰ってきたことの意味を理解していたのだ。

灯は母親がどういう人物なのかをよく知っていた。生来のお嬢様で、自分では何もできない、優しく、弱虫な、綿菓子みたいにふわふわとした女性だ。
夫に依存し、言いなりで、夫がいなければ生きていけない、そんな弱い女性。

灯は反撃ができなかった。
夫の命を奪われたこの人には、自分を殺す権利がある。しかし、自分にはこの人を殺せるほどの理由が無い。それどころか育てられた恩しかないのだ。

「やめてお母さん! お母さんっ!」
「お前なんか娘じゃない!! よくもぉ! よくもあの人をぉぉぉ!!!」

ああ、そうなんだ…、これが人を殺すということなんだ。人を殺すことの罪深さなんだ…。

執拗に刃を灯の体に埋め込み続ける母親を突き飛ばす。反撃はできない。

でも、行かなきゃ、私は、あの人に会いに…。

出血のせいで視力はすでに失われていた。
灯は大量の血液で床を塗りつぶしながら這って進み、階段を転げ落ちる。

「あ まみ ぁ …」

意識はそこで途絶えた。


人影の少なくなった商店街を、大柄な男が歩いている。フードで顔を隠しているのは、過去の栄光を傷つけたくない、彼のそんな無意味な感傷によるものかもしれない。

「腹、減ったな…」

川宇は空を見上げて、あの地下施設での死闘を思い出した。夢見心地だ。確かにあの瞬間自分は輝いていた。
そして、これからはまたゴミクズを漁るような、どんよりとした毎日の繰り返し。

死に損なった…。

戦士は闘って、それが一番輝かしいときに死ねることが幸せだ。衰え行く日々を昔を懐かしみながら、見下されていく人生は、ひどく退屈だ。

「ああ、また会いてえなあ…」

自分に果敢に挑んできた少女を思い出した。そしてまた、あのゲームのような舞台に自分が出会うことに期待しながら、川宇は街を彷徨い続ける。



AC+第二回  END
【クリア記念NPC座談会】

雨宮
「この度は第二回AC+、滞りなく終了いたしまして、おめでとうございます。プレイヤーの皆様方、お疲れ様でした」
美紗
「ドンドン パフパフ ヒューヒュー」
灯
「滞りなく、じゃねえよ!?」
雨宮
「ん、どうした灯。何か不満な点でもあるのか?」
灯
「不満もなにも、わたし死んでんじゃん! ねえ何で? 私、ちゃんとクリアしたじゃん!」
美紗
「アヒャヒャ」
灯
「笑ってんな母親!」
雨宮
「しかし、美紗からその事実は消滅している」
美紗
「チョウドイイ タイミング デ」
雨宮
「今回は、三人までは必ずクリアできるルールで開始されたな」
灯
「なぜか私と豆吉の二人しか残らなかったけどな」
美紗
「ドウトンボリ ニ セイサンカリ ヲ マク」
雨宮
「第一回の結果を考慮して、ステージを限定、ゲームクリアが必ずできる親切使用になったわけだ」
灯
「うん」
雨宮
「しかし、それではゲームとして面白くないので、プレイヤーが脱出の糸口を作らないでゲーム終了した場合、ゲームを繰り返すバッドエンドが用意されていた」
灯
「プレイヤーは生き残るのと同時に、脱出の手段を見つけなければいけなかったんだな」
雨宮
「施設そのものがスタンド使いであること、電話で美間坂と通話ができること、我々が全ての情報を持っていること、どの側面からでもいいから能動的に物語を進めることがハッピーエンドの条件だ」
灯
「確かに、ほとんどNPCが誘導したという事実はいなめねえけど……、それでバッドエンド?」
雨宮
「まるっきりのハッピーエンドにするには、物足りなかったのだろう」
灯
「でも、私たちが脱出に向って物語りを動かしだしたのは、豆吉の関与のおかげだろ? もし、豆吉が美紗と交流が無く死んでたら、私達はプレイヤーにとって最後まで謎の敵だった訳だし」
雨宮
「まあ、落ち着け。死亡と書かれたわけじゃなし、生き延びているかもしれないぞ」
灯
「なんでバッドエンドのしわ寄せが、全部わたしにきてんのかってことなんだよ!」
美紗
「ウケル」
灯
「笑うなぁっ!!」
雨宮
「確かにな、灯を殺した時、自分は頭がオカシイんじゃないかと思った。そうゲームマスターも言っていた」
灯
「殺したって言っちゃった!?」
雨宮
「ヨコヲ氏が『灯が死ぬのは当然』との感想を寄せていたが、そんなことを言っては、バトル物の登場人物はほとんど死ななくてはならないからな、やはり単にハッピーエンドにするには足りなかったというのが本音だろう」
灯
「そうか、プレイヤーのせいか…、じゃあ、豆吉だ! 豆吉も不幸になるべきだ! なんか爽やかに締めくくりやがって! アイツには何かペナルティーないのかよ!」
雨宮
「さあな」

美紗
「イッショウ ドウテイ」
豆吉
「それは嫌だ」

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