プチ論文.comュコミュのオレンジの道。誰がそこを歩いたのか、若しくはその先で待つのは誰か。

舶来のある種の罌粟が静かに日本に蔓延中だという。一説によれば車について運ばれて繁殖したとの事だが、そんな事って有るだろうか。それを餌とする動物の毛皮にくっつくのなら兎も角。

腑に落ちない思いで朝の通勤電車の窓からその花を追い求めれば、派手なオレンジだが小さなそれは確かに至る所で見られる様だ。云われる通り道路沿いに多い気もするが、自動車が伝播したとするには生え方がどう考えてもおかしい。なぜこうも、点々と生えるのか。繁殖力が強いならば、空き地や線路沿いの草原全面を席巻しても良さそうな物なのに、此処に十本、彼処に十本というように、纏めて/ばらばらと生えている。そう、まるで人がわざわざ其処此処へと種を撒いたかの様に。では誰が派手なような地味なようなその花の種を日本中に撒いて廻っているのか、一体何の目的で。

推測1
多分母さんが撒いて居る。日本中あちこちをふらふらと移動しながら、帰る道が判らなく成らないように、きっと目印としてその花の種を撒いておいたんだろう。春になれば花が咲いて、その花をたどれば帰れると思って。でもあんまりにも彼方此方に撒き過ぎて日本中が花だらけになって、結局どれがたどるべき道かが判らなくなって帰ってこられなく成っちゃったんだ。母さん、かわいそう。どれか一本の道を除いて後の全ての罌粟を刈り取ったならば、母さんは帰ってきてくれるだろうか。

推測2
日本中を廻ってる奴と言えば、母さんじゃなければグゥグルの人だ。写真を撮った道路には目印として種を撒いてるに違いない。目立つようで目立たないその花は、彼らにとって格好の目印なんだろう。

ところで、グゥグルは一体何処へ向かって居るのだろうか。初めてグゥグルを使ったときは感動的であった。ヤフゥ検索が今よりもまだ更にバガヤロで、其れは例えば爪切りを探してるのに誇らしげに高枝鋏を差し出すような、挙げ句

「貴方はいつもあたくしのする事が気に喰わないのだわ。ええいもう一層の事死んで仕舞いたい、ぎゃああ」

とか言い出す女並に間抜けな上に鬱陶しい感じだった頃に、グゥグルはと言えば、かちりとワンクリックするだけですぱりすぱりと世界の新しい面を切って見せて呉れたものだった。ところが最近の彼らと来たら、遣る事成す事胡散臭い。世界の知識を僕らの手にと言っていた彼ら目が綺羅綺羅と輝く様に見えたのは、実は強欲から染み出す腐臭を放つエキス故だったのか。世界中にオレンジの花が溢れた時、彼らが、僕らが目にする物は一体何なのだろう。

いずれにせよ、僕らはその花が日本中に蔓延するのを手をこまねいて見て居てはいけないのかも知れない。母さんが無事帰て来られるように、若しくは、僕らがどこかに連れて行かれて仕舞わない様に、その花は刈り込まれる時に来ているのかも知れない。