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半蔵門かきもの倶楽部コミュの【加筆終了】第114回 王都作 「あのバカ・・・Christmas and New Year,Snow and Starry Blue Sky」(三題噺:「ツリー」「冬」「星空」)

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雪結晶画像のクリスマスカードの絵柄は、大体のイメージです雪結晶

日記版
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988823942&owner_id=9270648

概要
〈執事風喫茶シリーズ外伝〉
バカ扱いしながら気にかけ合う二人

出てくる人
◆瀬尾縞摩子(セオシマコ 32):マギル大学医学部生。元OL。
◇エレン・ウォーカー(19):縞摩子のルームメイト。フリーのナレーター。
●平岡公威(ヒラオカキミタケ 42):縞摩子の知人のひとり。経営者。
話に出る
◯春野康子(ハルノヤスコ 31):縞摩子の長いつき合いの悪友。お笑い系芸能事務所の営業。
◯空知晶(ソラチアキラ 46):公威が経営する喫茶店の常連。健康系ライター。

本文
 ここはモントリオールにある某医学部近くの女子会館内集合郵便受けの前。
 岩顔野郎で知人の公威からなぜか11月に届いたクリスマスと新年挨拶を兼ねたグリーティングカード。
 見るなり視界は青と白に染まる。画は、山に刺さって雪かぶってる「ツリー」を背景に、「冬」季の「星空」。とても美しく幻想的。
 私は思わず首を傾げたらしばらくそのままになった。
 間の悪いことに、その姿をルームメイトのエレンに見られてしまった。
 ルームメイトから速攻「シマコ、どしたの?」
 私は「エレ、、ン。だ、いじょうぶ。すぐ、なおるから」
 ロビーの椅子にもたれてひと息つけた。
 ルームメイトが通路壁沿いに設置されたドリンクの自販機で買ってくれたホットの無糖紅茶を缶ごと渡してくれた。
 私、一度うなづいて「あの岩顔に似合わず・・・「まだ早いですよ」って書いて返送しようかしら」
 ルームメイトからは間を置かれず「そんな面倒なことしなくてもFBのメッセで済ませられるんじゃない?」
 私、すぐに「そうね」と返して、視線を外す。

 数年前、私と公威はバンクーバーの空港内に併設されたサロンで知り合った。私は久々の里帰り、岩顔は北海道でスキーするつもりだったという。互いに東京にいた頃の話で盛り上がって連絡先を交換して今に至る。
 ちなみにあの頃の岩顔は、住まいを川崎に移し猫一匹と女一人と同棲してた。今も続けてるあの喫茶店……たしか執事コンカフェ?だっけ?は今も都心で営業中。ゆくゆくは過去に修験道を齧った山林への移住を考えているとか。あまりの突拍子もなさに呆れてその場じゃリアクション取れなかったっけ。
 さらにこのカード、スマホ動画で中学時代の転校先の同窓で一番の悪友・春野康子に見せた。彼女にはかつて洟垂れ野郎から届いた恋文のお断り返信を代筆してもらったこともある。ちなみにもう解散してる地下アイドルもどきユニット「ルミタージュ」の元メンバーでもある。
 妙な歴のある彼女からは「そんなんが何気取ってんの?」って即座に指さしてゲラゲラ笑われる始末。どうにも成長しないわあいつ……。まあそうだけどいくら何でもあんな物言いはないから、しばらく連絡しないことにする。ってか、私も何であいつに見せちゃったかな。やっぱあの場で笑い飛ばしてもらいたかったのかもしれない。ここでただ一つ言えるのは……脳が疲れてる、これは間違いない。

 とりあえず部屋に戻った私たちは、手にしていたドリンクを飲み干した。ドリンクが冷めるのにそれほど時間はかからなかった。

 ―――

 コチラは東京・渋谷郵便局入口付近。
 「よしっ、これで全員分書けた!っと」
 本局で大量のグリーティングカードを投函した平岡公威は、都心某所の自店舗へ足を進めた。
 その途中、公威の鼻歌が約50cm間隔で通り過ぎた青年の耳にも漏れ聞こえるくらいの大きさで聞こえてくる。
《ルンルンルンルン、ラッタッター♪》
 スキップしたさを何とか抑えながら小走り。
「そいや……何人か宛のコメント末尾に“あること”を書き忘れた。どうせプライベートなつき合いの連中ばっかでまぁ、クレーム来ないでしょ。この時期みんな忙しくて細かく目ェ通さねぇだろうしw」
 この公威、アバウト過ぎる。
 ただ、数人の女の知り合いからは……
 公威は、目を伏せる。
《う〜ん、名前挙げると「ソラチアキラ」と「セオシマコ」の二人、それから「イタガキサユリちゃん達」と今は「スズキキョウコ」さん。あの面々から何かお小言ぽいの来そうだな特にフリーライターで多忙を極めるソラっちゃんからは、
“ただでさえ年末進行で忙しいのに、こんな下らんことで邪魔すんなむかっ(怒り)
 とか、ね。
 シマちゃんから、というか、アイツはキレると止まらないなぁ。空港つきのサロンにいたときだって所構わず暴走しちゃうのよね。何てんだろ、その……まさに「ドラマ・クィーン」!あれ!普段は白石麻衣なのに突然アンミカじゃあついてけないって冷や汗あのコは。
他の……からはあせあせアタフタ》

 ―――

 再びモントリオール。
 縞摩子の手にはiOSがある。興奮して少し汗ばんでいる手から、少しだけ滑らせそうになった。
 通話ボタンをタップする。

【Canada携帯電話ー(長音記号2)携帯電話Japan】

 ほどなくして、公威が出る。
「あっ!シマちゃん久しぶりぃ。カード届いた?」
 縞摩子は彼の言葉には答えず、いつになくけたたましい勢いでまくし立て、
「びっくりしたわよ!何でこんな早いの!?って」
 縞摩子に通話越しに問い詰められた公威。おもむろに口を開くと、
「新しい店……執事風コンカフェの(祝)2号店立ち上げ忙しすぎて、年末入る前に出しとかなきゃたらーっ(汗)って。まぁ遅れるより良いだろうってあせあせ(飛び散る汗)シマちゃん混乱させちゃってゴメンな」
 縞摩子はそれでも許すつもりはないようで、機嫌を直そうとしない。彼女はさらに続け、
「もう、こういうのは、送らないで。むやみに疲れることになるから」
 思わず涙目になりかける公威。そして、
「そんなに思い詰めさせちゃってたんだね、とってもとってもゴメン!……ってか、そんなに怒られることしたかな俺」
 縞摩子、目を伏せつつ語り始め、
「ごめんなさい。私も……イライラしていて言い過ぎました。ここ最近考査のスコアが芳しくなくて。どう見ても八つ当たりです……かっこわるい」
 公威、大きな頭を勢いよく横に振り、
「ナイよ。シマちゃん今激してて……まぁ、人あるあるの中で収まってるから」
 少しだけホッとした縞摩子。そして、彼女から公威にビデオ通話に切り替えたいと申し出て、Meet通話が始まった。

 【Canada携帯電話ハンディカムー(長音記号2)携帯電話ハンディカムJapan】

「ねぇ話変えるけど、どうしてまだ紙なの?」
 公威はスラスラと、
「紙のほうが良かったりすんのさ。例えばウチの常連婆ちゃん、毎年取っといてるんだよ一枚ずつ。すげぇよな」
 縞摩子もつられたのか、似たような話を持ち出した。
「ずいぶん昔の話だけど、私、本屋でアルバイトしてたことがあって。季節ごとに絵柄の変わる栞を入れ替えるタイミングに必ず一葉(よう)だけ取っていくお客さんがいたの。そしたら、こっちも何気にその人のこと気になるじゃない?公威ならどう思う?」
 公威は数分くらい考えて、おもむろに話し出し、
「まぁ、その本人が客かそうじゃないかで変わるなぁ俺は。客ならもてなして、反応良かったら他にもサービス、なんてね。あっ!ヤバいな……昔これで駄菓子屋の店番辞めさせられたっけ」
 公威は少しだけ恥ずかしがりつつ頭を軽く掻く。
 縞摩子は、思わず吹き出した。公威にはめったに見ることのできない、屈託のない笑顔からプラスな波動が出ているように思えた。いいなぁ、こういうの。
 ここで突然彼女から、
「ちょうどいい距離の知り合いなあなたと久々にネイティブな日本語で話せてよかった!ありがとう。これで少しは落ち着けたらいいけど、私は……」
 公威、すかさず言葉尻を捉え、
「私は?」
 縞摩子、頬をほんのりと赤らめながら、ゆっくりと、
「なんか、こう、、たいしたことないワガママにつき合わせちゃってごめんなさい……いまは、心ゆるせる誰かに絡みたかった。それだけなの。誤解ないように」
 彼女からの熱量が伝わったのか、公威からもするりと返される。
「正直ちょっと気にしてて。店開けてても意識の片隅にチラっと“来るぞ!来るぞ……誰かからフライング送付にツッコミがっ!!”どうにも治らねぇな、俺の悪い癖あせあせ(飛び散る汗)
 公威が言い終わる頃くらいに、縞摩子からゆるめの優しげな視線が送られた。
 公威は、少しだけ、はにかんだ。

(終)

―― cahier ――
◆ルミタージュは架空です。
◆drama queen
“英語のスラングの一種で、自分がドラマのヒロインであるかのように、大袈裟で同情を誘うような、感情的な振る舞いをする女性を指して、批判的に用いられる語。時に男性に対しても用いられると言う。” (実用日本語表現辞典)
https://www.weblio.jp/content/DramaQueen
◆かけてもいい迷惑に入るんだろうな、公威の考える範疇なら。
―― Materials ――
もう一つ考えてたカードの絵柄 author︰Gurgen Voskanyan
https://www.hdwallpapers.in/christmas_winter_4k-wallpapers.html
渋谷郵便局
https://www.post.japanpost.jp/cgi-shiten_search/shiten.php?id=6098

コメント(9)

すみません、三島由紀夫の顔ばかり浮かんで、話の内容があんまり入ってきませんでした……
あの三島が、郵便局で大量のカードを世界中に送り付けている姿を想像すると、おかしくてたまりません…w
オーマイゴッシュ!! ヒラオカサン ハ ユキオ・ミシマ ノ リアルネーム デシタカ!

クリカ イイデスネ!!
ちなみに、上記のコメントは、作品の中で、さらに王都さんの作品を読んでいるという、小説の中の登場人物の在日外国人のモハメド・楊という中東系の華僑のキャラになった感じでのコメントです。
ちなみにモハメド・楊さんはバナナの輸入の仕事をしていますが、このところの円安で、バナナの仕入れの価格が高騰し、困っています。そこで、ネットで無料の小説を読むことが唯一の楽しみになっています。宗教上の理由で酒も飲まず、禁欲的な楊さんなので。
そこで、発したコメントが上記の発言です。
>>[4]

小説を読み直して、モハメド・揚がどこに登場していたか、探してしまいました笑
(見落としていたらすみません…)
モハメドさん、三島に詳しくてびっくりですw
>>[5]
モハメド・楊さんは王都さんの小説を読んでいる小説の外側にいる、私の頭の中のキャラです。笑い
>>[3]
興味深いポストをありがとうございます。
静かな笑いが止まりません(笑)
モハメド・楊氏、なかなかに来ますね〜ぴかぴか(新しい)
ここで素朴な疑問、楊氏は何語で私の小説を読んだのでしょう?
そして翻訳サイトを利用していたとすればDeepL翻訳辺りかな?なんて想像したり。
>>[1]
三島のウラ設定?をご存知ですと、そうなっても不思議はなさそうですね(笑)
マジレスすると、彼は自決していなければノーベル賞に手が届いていたかも説が出回っていたくらいなので、「郵便局で大量のカードを世界中に送り付けている姿」は実現した可能性は考えられます(キリッ
まぁ、たられは書いても仕方なくはありますが^^;

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